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乙姫さんは帰さない
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
公開日2021年07月31日 08:30 更新日2021年08月02日 07:44
文字数
2172文字(約 7分15秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
ヤンデレ乙姫
視聴者役柄
浦島太郎
場所
竜宮城
あらすじ
もしも乙姫がヤンデレだったら浦島太郎はどうなるのか的昔話IF台本。
本編
「ようこそ竜宮城へ。
貴方様のことはその亀から聞かせていただきましたよ。
その度はどうもうちの亀がお世話になりました。

今回招いたのは私からのお礼でもあるんです。
なんて優しいお方なのでしょうと今日こうして会うのが楽しみでした。

ふふふ、驚きますよね。
ただ亀を助けただけなのに、お礼でこんな豪華な宮殿に招かれるなんて思わないですものね。
でも、貴方様の行為はこれに値するほど私も感謝しているのです。
私の大切な使いである亀を救ってくださったのですから、これくらい当然ですよ。
大したおもてなしも出来ませんけど、どうか中でゆっくりしていってください。
それでは、お食事を用意していますので上がってください。案内しますよ。

一応聞いておきますが、貴方様は嫌いな魚はございますか?
そうですか、ならば問題ないですね。
あ、着きましたよ。
こちらに座ってお待ちください。今すぐ持ってきますね。

はい、お待たせしましたー。
どうです? 魚は魚でも、漁師をしていらっしゃる貴方様も食べたことのないような絶品ばかりを用意しましたよ。

すごいですね、もう私に目もくれずに御馳走だけを見つめちゃって。
それならよかったです。わざわざこんなものを振る舞った甲斐があったということですものね。
どうぞどうぞ、こちらは全部貴方様のものですから遠慮なく。

あ、どうせなら私が食べさせてあげましょうか?
ふふふ、顔赤くなりましたね。想像しちゃいました? 興奮しちゃいました?
これは否定されてもしてあげることにしましょう。

口開けてください。あーん。
どうですか? 美味しいですか?

よかったです。なんせ海中ですから、いくら漁師相手といえども鮮度では負けない自信、ありましたもの。
まだまだありますよ。あーん。

んふふ、こうして見ると、貴方様っていい顔してますね。
え? 私? いやーもう、褒めても何も出ませんよ?
でも、ありがとうございます。

それじゃ、食べ終わりましたし、私と楽しいことしません?
他にすることもないですし、いろいろな遊び、しましょうか。
……漁師の仕事? ここではそんなことしなくていいんですよ。
地上での日常を忘れて、こののんびりとした暮らしを楽しんじゃいましょ?」

(数年後)

「……そうなんですね、地上には四季という様々な季節があるのですか。
貴方様の話を聞いていると、ぜひ地上に行って見たいとは思うのですが、生憎私はここから出られないんです。
使いからも話を聞いて、この竜宮城の中に四季を感じられるような部屋を作ってみましょうか。
特に、花というものは海にはありませんから、どうにか見てみたいものです。

……あの、貴方様? なんだか、さっきからずっと茫然としていらっしゃいますけれど、どうかしたのですか?

……両親、ですか。
大丈夫です。二人は何の心配もなく過ごしていますよ。
貴方様はずっとここにいてもいいのです。

え? 貴方様が来てからどれくらいの時が経ったか?
そうですね……地上ほど時を気にすることはないので、正確にはわかりませんが、ざっと3年といったところでしょうか?

ちょ、ちょっと、急に立ち上がってどうしたんですか!?
帰る?
そんなつまらないこと言わないでくださいよ!
貴方様だってこの日々を楽しんでいたじゃないですか!
3年と言わず、何十年も、何百年もずっと、ずーーーーーっといっしょに暮らしましょうよ!

……そうですか。それでも帰るというのならば仕方ありません。
力ずくしかないみたいですね」

(スタンガン)

「あ、目、覚めましたね。
おはようございます、貴方様。

え、動けない、ですか?
そうでしょうね。
貴方様の四肢に絡む海藻、ただの海藻だと見くびってはいけませんよ?
私はもちろん、世の猛き男を以てしても千切ることは不可能なはずですから、貴方様にはどうすることも出来ないはずです。

これも、貴方様をここに引き留めるためには仕方ないことなのです。
どうしても帰ってほしくない私の気持ち、貴方様は受け止めてくれますよね?
ここで貴方様が強いられることなど何一つないのです。貴方様のいた地上よりずっと快適な暮らしができると喜んでいたではありませんか。

この不老不死の楽園で私と一緒にいる方が、幸せだと思いませんか?

……それでも帰りたいと言いますか。
それならば、教えてあげましょうか?

貴方の帰りたがっている地上の真実。

どうしても帰りたいというのならば、言わなければいけませんよね。
両親思いで心配をするのは人として仕方ないですし、素敵だとも思います。

ですが、貴方様が帰る時には、地上では300年の時が過ぎているはずです。

竜宮城の時の流れは地上とは大きく違うので、ここでの1年は地上の100年、3年ならば300年。
貴方様の帰る地上には、両親は疎か、亀をいじめた子供たち、それどころか貴方様の知る村の人など誰一人残っていないはずです。
人間の寿命って、100年もないですからね。
ここでは私も貴方様も不老不死ですが、地上では等しく寿命が来るはずです。

そういうことですから、両親を心配する貴方様が地上に帰ったところで何の意味もありません。
恐らく貴方様の家は住む人を失って、今はなくなってるんじゃないですか?
帰ったところで何の意味もないどころか、そもそも居場所がなくなってるってことです。

それでも貴方様は、地上に帰りたいと考えますか?
まあ、そう考えるうちは動けるようにはしてあげませんけどね」
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
乙姫さんは帰さない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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