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記憶喪失になったら彼女が二人現れた
written by 夜木嵩
  • 恋人同士
  • ヤンデレ
  • 看病
公開日2021年08月05日 14:30 更新日2021年08月05日 14:09
文字数
2845文字(約 9分29秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
2 人
演者役柄
彼女と名乗る女性×2
視聴者役柄
記憶喪失の青年
場所
病室
あらすじ
あなたは目覚めると病室にいた。
どうやら交通事故で数日記憶がなかったらしい。
目が覚めたということを知った人が病室にお見舞いに来る中、彼女と名乗る女性が二人も現れた。
一体、本当の彼女はどっちなのか? そして何が起こっているのか?
本編
A「……こんにちは。
君に何があったか、覚えてる?
事故で三日、意識がなかったの。
全部医者から聞いた? 事故があったことも?
そっか……

だったら、私のことは、覚えてるかな……?

ううん、謝ることはないよ。忘れられてるのは寂しいけど、忘れたくて忘れてしまったわけじゃないってことぐらい私もわかるから。

今から、私のことをまた知っていけばいいの。それで十分だから、無理に思い出そうとしなくていいんだよ。

あ、励ますだけ励まして、自分のことを明かすのを忘れてた。
私は、君の彼女だよ?
それも結構ラブラブな。

え? どんなことしてたんだろうね、私たち。
仮に、してたことがあったとしても今の君にはすべてが初めての経験に映るんだよね?
それなら、記憶が戻らなかったとしてもいつかは教えてあげるから、思い出を作り直すようにいろんなことをしようよ。

大丈夫。君の記憶が戻ることは信じてるし、記憶が戻らないとしても君のことは絶対に嫌ったりしないから。

……でも、まず君はその怪我を直す方が先だね。
骨折だから時間がかかるとは思うけど、またいろんなところに行けるように頑張ろうね!
私も出来る限りのことは何でもするから!

それじゃ、明日もまた来るね」

(ドアの開く音)

B「事故に遭ったって聞いたけど大丈夫!?
かなりの大怪我みたいだけど、とにかく生きててくれてよかったー!!

私、この三日間寝られなかったんだよ。
もちろん、一番大変だったのはあなただと思うけど。

あの、さっきからどうしたのかな?
そんな、不思議そうな顔で見つめないでほしいんだけど……

え? 記憶喪失?
そっか、事故のせいでそんなことになってたんだ。

だったら、改めて自己紹介しないとね。
私、実はね、あなたの彼女なの。
あなたのとってもとっても大事な人。
あなたが忘れてても、私はあなたに愛してるって言ってもらえたこと、ちゃんと覚えてるから。

……そんなに驚いた顔して、どうしたの?
私が彼女だってこと、そんなに変かな?

……え。先に来た女の人が彼女だって言ってた?
そんなはずはないんだけどな……間違ってもあなたは浮気なんてする人じゃないから、冗談で言ったことを真に受けただけなんじゃない?
だって、あなたの彼女は私なんだから。

その人、名前分かる? 私から、あなたに勘違いさせちゃったこと言っておくから。
はい、わかった。

えーと、一番はあなたが大丈夫か尋ねたかったんだけど、思わぬところで問題があったから聞き忘れるところだった。
身体は、痛くないかな?

流石に、何もないなんてことはないか。
でも、よかった。あなたが生きていてくれて、私に笑ってくれて、ひとまず安心したよ。

また明日来るつもりだから、連絡……そういえば、あなたのスマホは壊れちゃったんだっけか。
じゃあ、連絡なしにいきなり来るけどよろしく」

(翌日)

A「昨日振りー!
君の彼女は、病室の君がどうしても心配で、お仕事早めに切り上げて急いできたんだぞー?

さ、私のこと、思い出した?
……なんて、寝て覚めて記憶が戻るんなら記憶喪失は苦労しないか。

大丈夫。慌てないでいいよ。
そもそも記憶を取り戻す方法なんてはっきりしてないんだから、早く思い出せなんて言っても無駄だしね。

ん? 何か言いたいことがありそうな顔だね。いいよ。何でも言ってみて。

『あなたは、本当に僕の彼女なんですか?』

……それって、どういうこと?
私は確かに君の彼女だけど、昨日私が病室を出た後に、誰かに変なこと言われたのかな?

私以外に、彼女を名乗る女がお見舞いに来たんだ……
もしかして、浮気だったりしないよね?
君のことだから、ないとは思いたいんだけど、それってそういうことも考えられるでしょ?

……なんて、今の君には答えられないか。
でも、他に彼女を名乗る女なんて誰なんだろう。
私、直接会って言わないといけないね」

B「どうぞ、言いたいことがあれば好きに言ってください?」

A「うわ、背後に立たないでよ!」

B「気付かなかったのね。
それで、私に直接会って話したいと聞いたのだけど、何かあるのかしら?」

A「そう言うってことは、彼に彼女だって名乗ったのはあんたなのね?
やめてくれないかな。
本当の彼女は私なのに、記憶喪失をいいことに彼を騙そうとするの」

B「へー、それ、自分に言ってるの?
私が彼の彼女だっていうのは事実だから、言わない方がおかしいでしょ?」

A「うう……白々しい……彼は騙せても、私は騙せないんだから!」

B「そこまで言うのなら、証拠でも見せないとダメかしらね。
妄想の中にいるあなたには到底受け入れられないようなものかもしれないけど」

A「何よ、ハッタリのつもり?」

B「残念、それがちゃんとあるんだな。
ほら、私と彼のトーク履歴。」

A「何っ、しかも内容は……デートのお誘いに愛の言葉……
まさか、本当に浮気だったなんて……
私だって、彼とのラブラブなトーク履歴ぐらいありますとも!
ほら見ろー」

B「……どうやら、それは確かなようね」

A「あっ!」

B「何? 急にうるさい声出して、病院内では静かにって教わらなかったの?」

A「ふっふーん、私、あんたの決定的なミスに気づいちゃいましたー!」

B「へー、面白い嘘をつくのね。
それなら何がその決定的なミスだと言うのか、教えてくれる?」

A「お互いのトーク履歴に表示されている彼のアイコンをよーく見てみるとわかるけど、これ、ちょっと違くない?」

B「ぱっと見だとわかりづらいけど、確かにそうね……
で、正しいのはどっちなの?
当の本人は記憶喪失、スマホは壊れて使用不可。
どっちかが彼と会話しているように見せかけてるのはわかったけど、それはあなたの方っていう可能性は全く消えていないわよ?」

A「うう、肝心なところが彼頼みだったの、失念してた……
でも、どっちが本物かは私もあんたもわかってるはず。
彼と本当に付き合っている女と偽物の彼を作り出して彼女を騙る哀れな女、どっちが前者でどっちが後者か」

B「ええ、そうでしょうね。でも、お互いに認めるつもりはないみたいよ?
だったら、どうやって決着をつけるつもりかしら?」

A「やっぱり、そうなると本人に聞くしかないじゃない?」

B「つまり、記憶はなくとも彼女は本能的にわかるはずと?」

A「そんなとこ。

ねえ君。私が彼女だってこと、信じてくれるよね?
(囁き)今まで育んできた愛を、嘘だって言わないよね?」

B「いいえ、私こそが本当の彼女だって、あなたは気付いているはず。
……こうやって、頬を合わせれば、懐かしい感触と温もりが蘇るはずよ。
あなたの一番好きな人の温もりを感じ取って、いつもあなたは安らぎを覚えると言ってくれた。

それが、私なの」

A「もう、彼の頬に勝手に触れないでよ!」

B「いいでしょ? 私は彼女なんだから」

A「それは彼が決めることよ?
どうせ、私って言ってくれるはずだけどね」

B「ふふっ、それはどうかしら。
彼だって結局は本物を選ぶのだから」

A「そうね、私たちが勝手に言い争って決められることじゃないもの」

B「ねえ、あなた」

A「ねえ、君」

(同時に)
A  「君は、私を彼女だって言ってくれるよね?」
B「あなたは、私を彼女だって言ってくれるわよね?」
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
記憶喪失になったら彼女が二人現れた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

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