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何も言わずに短期留学に行こうとしたら幼馴染が黙っていなかった
written by 夜木嵩
公開日2021年08月06日 00:00 更新日2021年08月08日 14:11
文字数
2617文字(約 8分44秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
夏休み、君との日々を計画する幼馴染
視聴者役柄
夏休み、短期留学を計画する少年
場所
空港→幼馴染の部屋
あらすじ
一か月だし、隣の家のアイツには言わなくてもいいかな。
……と思っていたら彼女は空港まで追いかけてきた。それも、彼女はお怒りの様子で……
本編
おーい! こっちこっち!

私を無視しようとしなーい!

今君、私の声が聞こえた途端にスマホ取り出していじり始めて、まるで私の声なんて聞こえないかのようにやり過ごそうとしたよね。

ほんっと君は酷い人だなー?

来たんだ、って、そりゃ来るよ!

だって、なによりもいっちばん大切なことを言ってくれないじゃない。

言わなきゃダメって、隣の家の幼馴染は今年も君がいる想定で夏休みの計画を立ててたんだよ?

今年も海で遊んで夏祭りに花火大会、君と特別なひと時を過ごそうって算段だったのに、今朝も今朝、両親から手を振られながらスーツケースを引いて駅の方へと向かう君を目にして、ただ事ならぬ事態を感じ取った私は家を飛び出して君の後をつけたんだよ。

一人で君はどこへ行こうってつもりなの?

しかもここは国際線ロビー。

まさか、一人で海外に行くだなんてどういうことよ?

……留学、ね。

ってことは、しばらく帰ってこないの?

一か月、か……

それで、どうして私には言ってくれなかったの?

私には言う必要ないって思ってた?

……何年も行ったっきりじゃないんだからいいだろ?

……よくないよ。

だって、だって一か月なんだよ!?

一か月は君にとってわずかな間かもしれないけど、一か月もの間君に会えないなんて、私、耐えられないんだから!

本当は毎日君を感じていたいくらい。

いつだって君と一緒がいい。遊ぶ時も、勉強する時も、寝る時も。

君はそうじゃないってわかってても、それくらい想ってるんだよ。

私は君と幼馴染のままでいたくない。

この夏だって、君を惚れさせるつもりでいろんなことしようとしてたし。

……君は、どうしても行くの?

一か月もの間、私のことを置き去りにして、遠い場所で生きていこうって思ってるの?

……そうなんだ。

肝心なことを聞いてなかったね。

どこ行こうとしてたの? チケット見せて?

へー、ニューヨークか。一か月で英語でも学ぼうと思った?

そっか、でもダメ。行・か・せ・な・い!

 (チケットを破る)

私、君のこと許してないんだ。

何も言わなかったことも当然だけど、そもそもこの留学自体認めるつもりはないから。

どうしてくれるんだって、私から離れられるって思ったわけ?

どうしても分かってくれないなら、無理にでもわからせるつもりだけどっ!

 (スタンガン)

おはよー。

どうかな、手錠きつくない?

君、結構眠ってたからお腹空いてると思うし、ご飯にしよっか。

はい、君の憧れのアメリカンスタイル。

ハンバーガーを作ってみたんだ。

これなら君の手が使えなくても、食べさせてあげやすいからね。

あ、というか手錠してても食べられるかも。掴めるんなら自分で食べれるよね。

ほら、お食べ。

ふふふ、がっついちゃってかわいい。

そんなにおいしい?

そっか。褒められても何にもしてあげないけどね。

食べ終わったら、本題に移ろっか。

早速ですが問題です。

何で君は私に監禁されちゃったのでしょうか?

私に黙って留学に行こうとしたから?

うーん、間違いじゃないけど、完璧な答えでもないかな。

正解は、勝手に私から離れようとしたから、でした。

私、前にも一度だけ怒ったことあったよね?

確か、君が友達とお泊り会って名目でその友達の家に泊まった時だったはず。

毎朝一緒に登校してたから、君がいないことを君の親から朝になって聞いたの。

学校で怒ったでしょ?

私に言わないで勝手にどこかへ行かないでって。

その時の言葉、響いてなかったのかな。

まさか、小さい時の話だから真面目に受け止めてなかった?

それとも、本当の意味が伝わってなかった?

あの時から私は、片時たりとも君と離れたくないっていう気持ちを持ってたの。

別に、毎朝一緒に登校するのが約束みたいな日課だったから、というだけじゃなくて、君といられる幸せを感じてたかったんだよ。

君といられる幸せを感じていたいのは、今も変わらず。

ねえ、普通の幼馴染ってこれくらいの年になると疎遠になるものなんだよ?

実際君は私のことそこまで大事に思ってくれてないみたいだからわかると思うけど。

だから、私がこんなにくっついてくること自体をちょっとは好きなのかなとか、疑ってくれなきゃいけなかったんだよ。

そうしたら今回みたいに無言で海外に行こうだなんて思わないはず。

私としては、知らせてくれても海外なんて行かせたくないっていうのは言ったけどね。

何よりももっと、私のことを大事にして欲しいの。

まず、君がどこにも行けないようにしないとダメかな?

勝手にどこかに行っちゃう君にはお仕置きとして私から離れられないようにしてあげないとね。

え? どうせなら立ててた夏休みの計画通りにすればいいんじゃないかって?

君は、一番の目的を結局理解してないんだね。

私は君さえいれば別にいいの。

海も祭りも花火も全部、君と一緒にいるための口実。

君さえいれば、他は正直どうでもいい。

どんなにきれいな海でも、君を綺麗に映すための引き立て役でしかないし、

どんなに騒がしくて楽しいお祭りでも、君といる時間を焼き付けるBGMにしかならない。

どんなに大きな花火が打ち上ろうとも、君が笑っている瞬間の背景にしか見えてない。

だから、君が今私のベッドの上で縛り付けられて、恥ずかしい姿を晒していたとしても、今だって大切な君との時間の一部なんだ。

むしろ、これからずっとこのまま一緒にいられるというのならどんな思い出よりも私には嬉しいの。

だから決めたの。もう、これからは一秒たりとも離さない。

君を感じられない時間がないくらい私は君のことを愛し続けるの。

だから、多分君の力では無理だと思うけど、逃げようとしないで欲しいんだ。

君にだって私を感じない時間を与えてなんかあげないんだから、私のこと、幼馴染よりも大事な存在として見て欲しい。

……もしかして、幼馴染として破って来なかった一線を越えてしまえば、もう君は私のことを幼馴染として見られなくなっちゃうのかな。

そうだとしたら、無理にでも君の私を見る目が変わっちゃうようなこと、しちゃいたいんだけど。

……そうしたら、取り返しがつかなくなる?

いいんじゃない?

どうせ君に私を刻むのなら、君の心の奥底深いところにまで私の愛が染みて消えなくなってしまうぐらいのことがしたいの。

というか、こんなことしてる時点で私たちの関係は壊れていく一方だもの。

私が知ることの出来る限りの君をこの身で感じられるようにする以外、私は後悔してしまうだろうから、君の意思に関係なく、もうこれからのことは決まってるんだ。

さあ、今宵は君を離さないから。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
何も言わずに短期留学に行こうとしたら幼馴染が黙っていなかった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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