病気で入院を繰り返すあなた。お見舞いに来た彼女と、七夕の笹を発見します。ノリ気ではないあなた。しかし彼女は、サプライズを用意していて。

あ、ねぇねぇ！

笹があるよ、笹！

……去年もここにあった？　そうだったっけ。

そっかぁ七夕かぁ。もうそんな季節なんだね。

ついこの間、節分とかやってた気がするのになぁ〜。

……早いね、時間が経つのは。ふふふっ。

え？　もう、大丈夫だよ！

最近落ち着いてきたんでしょ？　もしかしたら、8月には退院してもいいかもしれないじゃん。

ね？　だから大丈夫だよ。

あ、なんならここにお願い事していこっか！

えーなんで？　いいじゃん書くぐらい。せっかくだしさ。

むう……。いいもんわかったもん。私一人で書いちゃうもんねー！

さて、何個書こうかなぁ……。

え？　そりゃあね！　私、やりたいこといっっぱいあるから！

全部書いたらさすがに迷惑かなぁ？　あははっ。

ふふふふふーん、ふふーふーん♪

ふーふふふーんふふーん♪

……なぁに？　書いてるんだから動かさないのっ。

子供みたい？　いやいや、こういうのは、楽しんだもん勝ちだよ。君も書けばいいのにー。

え？　あぁ、そんなの当たり前だよ。

一人でできること書いたってしょうがないじゃん？

君と一緒がいいんだもん。

……あれ、ちょっと赤くなってる？

もーかわいいなぁ。　子供みたいなのは、どっちかな？

ふーふーふーん、ふふふーふーふふ♪

ふーふふふふふーん♪

…………んー？

…………。

そうかな。私は全然、無駄だなんて思わないけど。

…………。

……わかってるよ。そんなの。

君の病気が簡単には治らないこともわかってるし、

こんなこと、本当は気休めにしかならないこともわかってる。

でも私、なぜか叶わないとは思わないんだぁ。

ここに書いたこと、全部できるって信じちゃってる。

……なんでだろうね。

ねーえ？

もし、今年が駄目だったら、来年できればいいよ。

それも駄目だったら、また来年できればいい。

この先ずーっと一緒にいるんだからさ。

ゆっくりでいいから、全部叶えていこうよ。　　

……ね？

とーぜん。恋人でしょ、私たち。

うん。……うん？

いや、思うわけないでしょ、そんなの。

重りにだなんて、ぜっったい思わない。

………………。

まったくもうっ。これだけ言ってもまだ心配？

じゃあね、ちょっと目閉じてよ。

いいから！　ほらはやくー。

……………。

ちゅっ。

……………。

はい、開けていいよ。

……ふふっ。びっくりした？

買っちゃった、指輪。全然、高価じゃないけどね。

……うん、大丈夫だよ。病気なんて気にしない。

……いいよ、全然。不安なこと全部、好きなだけ私に言ってよ。

………………。

……ん？　ぎゅーしたい？

いいよっ。思いっきり、ぎゅーってして。

……ふふっ、みんな見てるね。

ねぇ。

私、ずーっと君の側にいるからね。

君も私のこと、離さないでね。

信じてるからね。

……愛してるよ。

………………。

………………。

よし、じゃあ短冊、全部飾っちゃおっかな。

あ！　ねぇねぇ！

この短冊はさ、私の隣に、君の名前も書いてほしいんだけど……、いい？

ふふっ、やったっ。

何十年先でも、二人で、幸せに、ずーっと一緒でいられますように。

……なんか、夫婦みたいだね、これ。

でも、いいよね。そうなるんだもんね。



絶対、叶えようね！

・台本（ゆるボイ！）
病気のあなたと彼女と七夕
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
俳音