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私が愛せないあなたなら、殺して愛せばいい
written by 夜木嵩
  • 恋人同士
  • ヤンデレ
公開日2021年08月12日 15:30 更新日2021年08月12日 15:04
文字数
2404文字(約 8分1秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
ヤンデレ彼女
視聴者役柄
彼氏
場所
彼女の家
あらすじ
私の望む彼氏になれないのならば、そうするしかないんです。
彼に理想の恋人像を押し付けてそれでも“彼”を愛すヤンデレ彼女のお話。
本編
 (男、ドアを開ける)

はーい、やっと来ましたね。

ですが、2分遅刻です。

彼女の家に行く約束をして2分も遅刻する彼氏なんて、普通ありえなくないですか?

いえ、ごめんで済むことではないのはあなたが証明済みです。

今回が初めての遅刻ではないこと、覚えていますよね?

ええ、その時は約束の時間を間違えたと言って1時間も私のことを待たせました。

あの時、あなたの「ごめん」に免じて許してあげましたけれど、結局あなたはまた遅刻をした。

関係ないです。1時間と2分が時間として大きな差を持っていたところで遅刻という事実に変わりはないのです。

私は約束、それも恋人同士二人きりの大切な時間も守れないような人は嫌って言ったはずです。

それに、1分や2分ぐらい大丈夫だなんて意識を持つ人はまた1時間とか大きな遅刻をするというのが世の相場です。

私の彼氏として、頼みますからそういうところは必ず直してください。

 (部屋へ)

じゃあ、まず携帯出してください。

どうしたんですか? 急にどうしたって、私、彼氏は彼女の言うことに従うべきだと思いますけど。

つべこべ言わずに黙って携帯出しましょうか。

 (男、携帯を出す)

それでいいんです。では、確認しましょうか。

……やっぱり。

あの、パスワードを教えてください。

嫌って、プライバシーだって、あなたは彼女に見せられないものを携帯の中に隠しているんですか?

そうじゃないなら見せてくれて何の問題もないじゃないですか。

ほら早く。

言わないんだったら、あなたは彼女に知られてはいけないことをしているということを認めたことにしたうえで、パスワードを間違え続けて長時間ロックを掛けます。

それに、この機種だと間違え続けるとデータが初期化されるらしいですよ?

ふふふ、最初からそうやって教えてくれればいいんです。

 (ロック解除)

ちゃんと本当の番号を教えてくれてありがとうございます。

それじゃ、メールチェックの前に待ち受け画面を私の写真に変えておきますね。

なんでって、私たちは恋人同士なんです。これくらい当たり前だと思ってくれなくては困ります。

ほら、私だってあなたの写真を待ち受け画面に設定しているんですから。

あなたの携帯から私の写真を探すのも面倒ですから、今撮ってしまいますね。

 (シャッター音)

はい、設定完了です。

あと、携帯のパスワード、なんか気に食わないんですけど。

やっぱり私関係じゃないと嫌です。

私はあなたの誕生日にしてますし、あなたの携帯のパスワードは今から1017(※変更推奨)です。

はい、これであなたが携帯を使う時には私のことを考えずにはいられなくなりますね。

それではやっと、メールチェックに移れますね。

……これは酷いですね。

一体何件女性から送られてきているんですか。

別に友人なんだから責められることじゃないだろって、ダメですよ。

私以外の女性とはどんな関係であれどんな内容であれ連絡を取ってはいけません。

はい、もちろん家族と言えども例外なくアウトです。

内容を見る限りあなたの基準で浮気はしていないようですし、しつこくは言いませんが、私にとっては私以外の女性と触れるのも話すのも目を合わせるのもれっきとした浮気です。

ということで、女性からのメッセージは全削除したうえで電話帳からも存在を抹消させますね。

さて、これで危険因子の排除は完了です。

くれぐれも後でアドレスを再交換するなんてことはしないでくださいね。

今度からは釈明の余地も与えず浮気認定しますから。

もちろん、待ち受け画面とパスワードの変更も厳禁です。

それでは携帯お返しします。

頼みますよ? 

あなたは私の彼氏なんですから、私のことしか考えなくていいんです。

特に、女のことなんて一切気にする必要ありません。

実を言えばあなたには片時も私の元を離れて欲しくないくらいなんですからね?

え……? 重い? 私の愛が?

そんなはずないですよ。あなたが軽すぎるだけです。

彼氏とは愛しくて独占したくなるもの、だから私は森羅万象にさえも嫉妬できてしまう気がするんです。

本当はあなたを纏う服だって羨ましくて、あなたの糧となる食べ物さえも妬ましい。

私がいればあなたが生きていられて、その姿に幸せを感じて私は生きていく。

そんな日々を夢見ることだって、おかしくないはずですよね!?

……そうですか、怖い、ですか。

あなたから見ればそう思われてしまうのは仕方ないのかもしれませんね。

でも、ゆっくりと私の愛に慣れてしまえば何の問題もありません。

こっちに来てください、あなた。

……こっち、来てください。

何ですか、その私を得体の知れない怪物を見る目、止めてくれませんか。

 (男、脱出を試みる)

もう、無駄ですよ? 入った時に鍵を掛けておきましたから。

これじゃ、私を好きとも思えなくなっているようですね……。

正直に答えてください。仮にあなたがここから出られたとして、あなたはまた私と会ってくれますか?

 (男、首を横に振る)

……ありがとうございます。おかげで私も決断できました。

もう、生きているあなたは必要ありません。

どういうことって、あなたの想像の通りだと思いますよ?

 (彼女、包丁を出す)

私、あなたが必要なんです。

でも、それは私に幸せをくれるあなたなんです。

今の私への愛の消えたあなたと一緒にいるくらいなら、動かないあなたの身体を抱き締めているほうがずっと幸せです。

ええ。私が欲しかったのは初めから意識体込みのあなたではなくて、もしかするとあなたという人形だったのかもしれません。

その方が、頭の中だけだとしても自由な日々を描けますからね。

大丈夫ですよ。痛め付けたいわけではありませんから。

それに、原形を留めないくらい傷を作っては人形にはできませんからね。

目、閉じてください。すぐ楽にしてあげます。

……あ、腰抜けちゃった。

彼氏さん、いままでありがとうございました。

でも、私たちは終わりではありません。

これからも、深く、深く、大切に愛してあげますからね?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
私が愛せないあなたなら、殺して愛せばいい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

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