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夏祭り、駆け落ちという名の誘拐
written by 夜木嵩
  • 幼なじみ
  • ヤンデレ
公開日2021年08月18日 01:00 更新日2021年08月18日 00:54
文字数
2628文字(約 8分46秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
少女
視聴者役柄
少年
場所
夏祭り会場
あらすじ
幼馴染との夏祭りという青春の一幕。
“家”に縛られた彼女は、この村から出て行きたいとあなたに感情を吐露する。
あなたはその手を引くのか、あるいはその手に引かれるのか。
本編
うわー、思ってた以上の込み具合だねぇ……

私達人間は夏が暑いだ怠いだわーわー言ったところで結局祭りには行くんだもんなぁ。

え、君は違う?

ごめんね、わざわざ君について行かせちゃって。

家族はみんな祭りなんてそんな鬱陶しいもの興味ないって言うし、私がどうしても行きたいって言えば夜中に私みたいな年頃の女一人で出歩かせられるかって怒るし。

外出許可を得るために無理やり君を誘っちゃってごめんね。

本当は男女二人って言うのもあんまりいいと思ってくれてないみたいなんだけどさ。

でも、どうせここまで監視の目は届いてないだろうから、何したって多分咎められないよ。

はい、ちゅー。

逃げるなー。

いや、冗談だけど。

今日は君といやらしいことしに来てるわけじゃなくて、お祭り楽しみに来たんだから。

ただ、手は握っててほしい……かな。

ほら、こんな人混みではぐれるわけにはいかないでしょ?

簡単に離せないように、腕まで絡めてやる!

はい、これで安心と。

君もお腹空かせてきてるんでしょ? 屋台回ろうか。

 (幼馴染、男を連れていく)

はあー、屋台飯ってやっぱり鉄板ものがテッパンだよね。

……なーんて。

だからこそお祭りに来たって感じがするのか。

プラスチックの使い捨て容器に詰められた焼きそばをわあわあ言ってる人混みを眺めながら柵に寄りかかって食べるっていう。

……喧騒の 隅で焼きそば 夏の夜。

上手いかはともかく、思い付いた。

逆に言えば、お祭りだからそれさえも楽しく感じちゃうのかもね。

あ、奢ろうとしなくていいよ。今日は私が連れてきたんだから。

はい、どうぞ。裏行って食べよっか。

 (間)

いただきます。

美味しいかはともかく、夏祭りの味だよね。

去年も君と来たけど、多分同じことしてた気がする。

この後は花火か、会場は今から行ってもいい場所取れないだろうし、とっておきの穴場に行かない?

それに、二人きりで話したいこともあるから……

いいよね?

ありがと。

 (間)

……そこ、気を付けて。根っこに引っかからないように。

うう、自分から誘ったものの、虫が多くてちょっと後悔だわ。

あ、もうすぐ着くから。ほらそこ。

よいしょ、と。

どうよ、ここからならよく見えそうでしょ?

丁度花火が始まる時間に着いたね。

 (花火)

わあー、綺麗だね。

……ほら、ここは君の方が綺麗だねってって言わなきゃ。

君はそういう定番の台詞は嫌いか。

ん、言いたいこと?

ああ、君はずっとそれを気にしてたんだ。

わかった。じゃあ聞いてね。

……私を、あの家族から連れ去ってほしい。

私は君と出て行きたい。

あの家から、出来ることなら、私たちのことを誰も知らない場所まで。

どうしてって、あの家には自由なんてないから。

家は祖父が全てみたいなところで、両親も生まれた時から私より祖父の機嫌のことがずっと大事なの。

父も母も、祖父がダメと言うのなら私のことを叱るし、いいと言えば叱れない。

聞いた話だと、名前さえも両親に決める権限はなかったらしいの。

そんな親を見てきて、息苦しさを私から見ても感じられた。

それに、私だって束縛は受けてるしさ。

特に門限と男友達について。

家は両親は仕事に家事に介護にと忙しいからどうしても私の手が必要になるからって、夜遅くは出歩けないの。

そう、門限ってやつ。

この歳になって門限のせいでまともに遊べやしない。

誘われてもいつも断るしかなくて、私がつまらない奴に見られるんだよ。

あ、実は私今門限破ってるんだ。

まあ、君が今夜私を連れ去ってくれれば、そんなもの関係ないけど。

もう一つ、男友達の話もあったね。

私、同年代の男の子との交流が許されてないの。君を特例として。

もちろん祖父の決めたことよ。

どうも色恋沙汰を嫌うみたいで、得体の知れない男と結ばれるくらいなら俺が選んでやるって時代錯誤なことを言って聞かないの。

むしろ、こっちの方が得体の知れない男を連れて来られるなんて嫌なんだけど。

この田舎じゃ私が誰と一緒に歩いてたかとか、そういう話は簡単に広まるから決まりを無視できないし。

あ、どうして君だけが許されているのか?

それは単純に家のつながりよ。

家が近くて関わりの深い私の家と君の家、子供同士に関わるなとは言えないでしょ?

だから、君とだけはこうやって出歩けるんだけど、体裁を気にして君と遊ぶことをダメとは言えないだけだから、あんまりいい顔はしてくれないんだよね。

……はぁ、私の人生くらい、私に決めさせてよ。

実は、もう祖父の決めた相手に会わせようって話しているのを聞いちゃったんだよね。

流石にもう結婚ってことじゃないけど、早いうちから慣れさせておこうって話なんだってさ。

嫌だよ。私はもう君のことしか考えられないんだから……

これが私の逃げ出したい理由。どうか、君にこの手を引いてほしい。

 (男、悩んだ末断る)

……そう、だよね。

駆け落ちは決して簡単な選択じゃない。

私たちだけで生きていけるかって考えると、大変なことだからね。

君が私の願いを拒んだとしても、それを私は恨んだりしない。

だって、それなら私が君の手を引けばいいんだから。

 (スタンガン)

おはよう、今日からよろしくね。

え、どうかした?

ここはどこって、君が知る必要はないかな。

あの村から出て、私の家族の手の届かない場所に来たってことだけ教えてあげる。

だから今日から私たちの新しい生活が始まるの。

私の思い描いた周りに縛られることのない人生。

住まいには君がいて、私の帰りを毎日待っていてくれる。

これがどういうことかわかる?

私たちは夫婦と変わらない生活を送るんだよ。

そして、君は何もしなくていい。ここにいてくれるだけでいいの。

全ては私のわがままだから、仕事も家事も、この二人の生活を守るために必要なことはなんだってする。

……だから、絶対にここから出ようって考えないでほしい。

君がいたから私はあの家から逃げ出してしまおうって思ってしまったの。

叶うことのない君との未来を望んでしまったがゆえの今、守ってくれるものがなくなったことを感じて私は今までのあの家族の私を捨てたことに、ちょっとだけ後悔もある。

でも、戻る気なんてないから。

二人だけで生きていけるように頑張らなくちゃね。

え、本当に僕とでよかったのか?

まったく鈍感な君だよね……むしろ君以外じゃダメなくらいなんだよ。

もちろん、私一人でも逃げ出せなかった。

これは私に愛を望ませた責任。

これから、いっぱい君に求めるからね。

……うん。既に私たちは駆け落ちといういけないことをしているんだよ。

だから、私のわがままな愛を受け止めるくらい気にしたりしないよね?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
夏祭り、駆け落ちという名の誘拐
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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