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地元の幼馴染は恋人を作った僕を許さない
written by 夜木嵩
  • 幼なじみ
  • ヤンデレ
公開日2021年08月18日 01:00 更新日2021年08月18日 00:56
文字数
2598文字(約 8分40秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
あなたを好きな幼馴染
視聴者役柄
彼女を作った男
場所
地元の田舎町
あらすじ
都会へ出て行った貴方は数年経てやっとこの夏、地元に帰ることに。
都会では彼女を作り順調な生活だが、そんなことも知らない幼馴染は貴方への好意を捨てずに駅まで迎えに来た。
本編
あ、来た来た。

おかえりなさい!

話したい事はいくらでもあるんだけど、ここで立ち話してると真っ暗になると思うから行こっか。

家行く前に私のとこ来る?

うん。久しぶりだし、懐かしさに浸りながらちょっと遠回りしよっか。

どう? 久しぶりのこの町は。

都会を知ってしまった君にはひどく寂れたように見えるかもしれないね。

君、何年ここに戻って来てなかったっけ?

出て行ってから、一度も帰って来ないし手紙の一つもないんだもん。

私はただ幸せにやってるって信じるしかなかったんだよ。

そう、ならいいわ。

でも、私は君の一人暮らしには心配だったんだよね。

君はしっかりしてるところはあるから、一人で生きていくこともできるだろうけど、料理だけは……ある意味で天才的なセンスを発揮させてたじゃない?

君は今何を食べて生きているの?

……料理? 君が食べられる料理を作れるようになったの!?

やっぱり環境が変わると人も変わっちゃうのかな。

え、違うの? 自分で作ってない?

……へ、へぇ、彼女に作ってもらってるんだ。

ん……待って。ということは、君ってもう一人暮らししてないの?

そっか、そりゃ月日は経つよね……

どういうことって、それ以上の意味はないわ。

ちなみに、その同棲生活はいつから?

最近なんだ。

で、それって……結婚とか、考えてるってこと?

そう……なんだ……。

いやいや、別に、君の幸せが私の不幸なわけないじゃない。

私はそんなひねくれた人じゃありませんー。

確かに私に彼氏はいないけど、そんなことで嫉妬なんかしないんだよ?

私は私で、今の日常に満足してるんだもん。

うん。今は両親のお店のお手伝い。

ゆくゆくは私が店を継ぐつもり。

え? 経営していけるのかって?

今のところは大丈夫だよ。

漁師の溜まり場みたいになってて、常連客がいっぱいいるからね。

ただ、この町自体がこれからどうなっていくのかなって言うのは心配だね。

漁師どころか、人そのものが減ってるのは確かだから。

そう。君みたいに都会に出て行っちゃうからね。

もしこっちでやっていけなくなったらさ、頼むよ。

え? そのころには家庭を持ってるだろうから無理?

まったく、彼女と順調なだけでしょ。

へー、そろそろ彼女の両親に挨拶に行こうか検討中、ね……

大変かもね。お前に娘はやらん、って言われたらどうする?

え? 同棲前に挨拶しに行った時に打ち解けてるから快諾してくれるはず?

というかその時に娘をよろしくって言われた?

じゃあ、次こっちに帰って来るときは彼女を連れてくるってこと?

それなら、君の彼女をちゃんと私にも見せることね。

……幼馴染としての当然の義務なんだから。

そうだ、飴いる? 君を迎えに行く途中で買ったんだけど。

そう。私が子供のころから好きなやつ。

はい、どうぞ。

そうこう話してたら、もうトンネルまで来ちゃったね。

覚えてる? よく海で遊ぼうって言って、自転車でこのトンネルを通って行ってたこと。

君は車の排気ガスが立ち込めてて嫌って言ってたっけ。

でも、私は好きだったな。

上り坂が終わって、トンネルを駆け下りていくときの自転車の音が響いて、ちょっと気持ちよかった。

もちろん帰りは上り坂できつくなるんだけどね。

そう考えると、君とはいろんなことをしたね……

海はもちろんだけど、町中を探検したり、山の中でかくれんぼなんかもして、私、女の子と遊ぶより君と遊んでた気がする。

え、君も? そうだよね。

休みの日に男子たちが野球やってて君も誘われたのに、私と遊ぶからって断ってたんでしょ? それも、一度だけじゃなく何度か。

そりゃ夫婦なんて言われるよね。

私なんか八百屋に買い物に行った時に、今日は旦那さんは一緒じゃないのかい、って言われたんだよ。

まさか、町中に広まってるとは思わなかったな。

さすがに……もうみんな忘れてるとは思うけど。

はい、トンネルも抜けたし、もうそろそろ私のお家兼お店に着くよ。

今の時間だと、両親は買い出しに行っちゃっていないかな。

でも、どうせ君は何日かはここにいるんでしょ?

店、やってるときに来てよ。

お父さんもお母さんも喜ぶだろうから。

でも、それじゃ営業妨害かな?

とにかく、それについてはよろしく。

じゃあ、今日は私の部屋、来てくれる?

部屋でゆっくり話したい事もあるし。

あ、うちの車。

私たちに気付いてたら意地でも引き返してくるんだろうけど、行っちゃったね。ふふふっ。

うん。やっぱり誰もいない。

さあ、二階に上がって。

それで、君に話したい事なんだけどさ、実物を見せた方が早いと思うから持ってくるね。

ねえ、この手紙……覚えてる? 君が書いたんだけど。

どうしたのって、君は大事なことを忘れてるみたいだから。

この手紙の最後の方にね、こんなことが書いてあったの。

『(話し手の名前)をお嫁さんにしてほしいって話、返事はOKだよ』って。

ねえ、おかしくない?

私、ずっとこの言葉を信じてきたんだよ?

都会に行ってもちゃんと戻って来るって思ってたんだよ?

それなのに、今日まで何年も戻って来なくて……

やっと帰ってきた君は、違う女と結婚秒読み。

ねえ、これって裏切りじゃないかな!?

ふん、そうやって謝っても、どうせ彼女とは別れるつもりなんか更々なく平然と結婚するつもりなんでしょ!?

子供の頃の話なんて真面目に考えるな、なんて思ってるんでしょうね。

私は子供だったから、なんて言い訳は認めないよ。

ううん、どんな言い訳も認めない。

私をお嫁さんにしてくれるって言った君が、何も言わずに違う女と結婚しようとしてるだなんて、おかしいよね……?

君と結婚すべき女は私だよ。

君は私と初めてのキスをして、初めての同棲で夜を過ごして、結婚して、子供のいる幸せな家庭を築き上げていくはずなのに、どうして違う女が君と一緒にいるのかな……?

私、許さないから。

女のいる君の家になんかもう帰さない。

ここで、ずっと私と一緒。

昔のように仲のいい二人。

ねえ、私たち、あの時から夫婦だったもんね。

今、君のせいであやふやになっちゃったけど、あの夫婦だった私たちに戻ればいいんだよ。

それなら私、許してあげる。

まずは、君が逃げないようにしないとね。

そろそろ、飴の効果が出てくるはずだから、それで眠っている間にどうにかしないと。

そして、ゆっくりと、時間がかかってでも君にあの夫婦だった私たちの正しい未来を歩んでもらう。

あの懐かしい思い出の日々のまま、今を紡いで愛を深められるように。

おやすみ。

夢の中で、幸せな二人を見られますように。

さあ、懐かしい思い出に戻りましょ?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
地元の幼馴染は恋人を作った僕を許さない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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