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あなたの結婚相手を自分だと信じて止まない女友達の脅迫
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
公開日2021年08月20日 12:00 更新日2021年08月20日 08:18
文字数
2200文字(約 7分20秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
勘違い女友達
視聴者役柄
彼女持ち青年
場所
商業施設
あらすじ
プロポーズのためのプレゼントについて相談したい。貴方はそんなつもりで女友達に頼んで一緒にプレゼントを探しに来たのだが、どうやら彼女は自分へのプロポーズのためだと誤解していた。
本当のことを知った彼女は貴方を脅迫してでも略奪しようとする……
本編
あ、来た来た。

ん、待たせてごめん? いやいや、待ってないから大丈夫。

時間に遅れてるわけでもないし、謝ることは一切ないよ。

仮に私が約束の1時間前とかに来てたとしても、私に合わせて1時間前に来いとは怒らないから。

え、それは仮の話なのか? ……あなたは察しがいいね。

で、でも、待たせただなんて思わなくていいから。気にしなくていいから。

今日はとにかくデートを楽しむことが大事でしょ?

なに、デートじゃなくてプロポーズのプレゼントを選びに来ただけ?

えー、デートってことでいいでしょ?

でも、そんなことだらだらと話し合っても仕方ないか。どうせすることは変わらないもんね。

それで、プロポーズのプレゼントって普通に指輪を出して「結婚してください!」ってすればいいんじゃないの?

ふーん、指輪は一緒に選びたいのか。プロポーズも人それぞれだね。

それなら何がいいんだろう、大事な人生のイベントだから、生半可なものじゃ許されないよね。

指輪ほどではないけれど、誓いになるようなものがいいのかな。

そう考えると、ペアの片方を贈るのはわかりやすいと思うの。

なんと言うか、私たちは2人で1つみたいな?

あなたも共感してくれる? 嬉しい。

ただ、もちろん問題は何のペアを買うかなんだよね。

ペアルックじゃ私は軽すぎると思うし、アクセサリーは指輪があるから被っちゃうよね。

……あ、それならいいものを思い付いた。

ペアカップとかどうかな?

コーヒーとか、紅茶とか一緒に飲むときにお揃いのカップで飲むの。

デザインの凝ったペアカップだってあるし、値段以上の気品を感じられるはず。

例えば、遠い将来もこのカップで一緒に一息つきたいねなんてメッセージにもなるでしょ?

さりげない日常に誓いを混ぜて、ちょっとしたロマンになる。

どんなものにも素敵な意味を感じさせられる、これが言葉の粋すいってものなのかな。

どう? 気に入った?

そうか、やった。

じゃあそれにする? いいと思うよ。

あなたの気持ちと感性で贈る物なら、どんなものでも素敵なはずだから。

ただ、これだけ他と比べて桁一つ高いけど大丈夫?

大事な大事なプロポーズのプレゼントだから、他の安物には務まらない、か。

結構張り切ってるんだね。

でも、あなたの言うこともよくわかるよ。人生でたった一度だから、妥協も後悔も許したくないんでしょ?

はい決定だね。まいどありー。って、私店員さんじゃないけど。

会計はあっちみたいだよ。

(間)

なんか、随分と会計に時間かかってたけど、どうかしたの?

へえ、特別なラッピングか。そういうのって雰囲気出て素敵だと思う。

どれどれ、見せて。

落ち着いたデザインにカードがひとつ。

“I love you.”とは、ド直球だねぇ。

え、裏? 裏にも書いてあるんだ?

……え?

……どういう、こと?

あなたの名前と、これは、誰?

彼女……?

ごめん、言ってる意味が分からないや。

だって、あなたの彼女は私だよね?

……違う?

おかしい……絶対おかしいよ……

ねえ、もしかして、あなたは最初からその女にこのペアカップを差し出してプロポーズをしようって考えてたの? 違うよね。そんなことないよね。ありえないもんね!?

はははっ……私、何のために今日来たんだろう……!

プロポーズのためにプレゼントを選びたいって聞いて舞い上がってたのに、あなたが違う女に贈るためのものを選んでたなんて……!

ほんっとバカみたい。

え? 元からその女のためのプレゼント選びだって言ってたはず?

でも、プロポーズのためってことは、普通私のためだって思うでしょ?

あなたがプロポーズする相手なんて私しかいないはずだって信じてたんだから!

……ねえ、何で私じゃないの?

私たち、仲良くやってたでしょ?

まさか、私の一方的な気持ちだって、勝手な勘違いだって言いたいの?

いや、あなたに愛の言葉は何度だって囁いたはず。

あなたは本気で嫌がったりしてなかったよね?

それって、私の気持ちを受け入れてくれてたってことじゃないの?

冗談だと思ってた?

ひどいなぁ。私があなたに冗談で愛を囁くことなんてありえないのに。

私はあなたが素直に肯定してくれないながらも私を愛してくれてるってわかってたつもりで、これから私たちは結ばれて家庭を築くんだろうなって信じてたんだよ?

いつもいつも、私の胸の奥からの愛であなたに伝えてたのに、そんな風にしか映ってなかったんだね……

ううん、謝っても許さない。

乙女を傷付けた罪は重いんだから。

でも、私の言うことに従ってくれたら許してあげる。

大丈夫、簡単なことだから。


彼女と別れて私と結婚して?


……ほらね? 簡単なことでしょ?

今すぐ、電話で別れてくれって言えばいいだけだよ?

5分もあれば十分だもん、簡単だよ。

ほら、早く電話して。

……無理なら電話しなくてもいいよ? 私から別れてくれって言ってあげる。

もちろん彼女さんと結婚なんていう未来は残してあげない。私が許さないから。

あなたが私以外と結婚するなんて、許さないから。

あなたと幸せになるのは私だけ。

それを破る女はあなたよりも重い罰を与えなきゃいけないかな。

そうだね、彼女さんをあなたと二度と会えないようにしてあげようか?

え、彼女に手を出すのはやめてくれ?

だったら……どうすればいいか、わかるよね?

 (男、電話をかける)

そう、それがあなたの正解。

よろしく頼むね。別れられたら、すぐに婚姻届を出しに行かなきゃいけないんだから。

だって、私たちの未来は決まり切ってることなんだし、プロポーズするまでもないでしょ?
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
あなたの結婚相手を自分だと信じて止まない女友達の脅迫
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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