0
卒業、告白、監禁
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • 卒業
  • 告白
  • 監禁
公開日2022年02月25日 19:08 更新日2022年02月25日 19:08
文字数
2581文字(約 8分37秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
内向的女子
視聴者役柄
優しい男子
場所
校舎裏→女子の部屋
あらすじ
卒業式の後、校舎裏で伝えたいことがあるから来てほしい。
クラスメイトの女の子は、あなたにそうお願いした。
あなたはその返事をしに、約束通り校舎裏に向かったのだが……
本編
来てくれて、ありがとう。
わざわざこんな誰もいない校舎裏に呼び出した理由、言わなくてもわかるよね。

うん、私、君のことがこの3年間、ずっと好きだった。
この気持ち、受け取ってくれないかな。

 (男、断る)

ご、ごめんなさい?
そ、そっか……

ううん、気にしないでいいんだよ。
だって、それならそれで……

手立ては考えてあるから。

 (スタンガン)
 (場面転換)

起きた?
こんな手荒な真似、本当はしたくなかったけど、こんなことしか出来なかったから。

だって、今日で最後だったでしょ?
卒業してしまったら、もう会う機会なんてないんだもの。

だからって、って……
じゃあ、こうする以外にどうすれば私は君と一緒にいられたのよ!?

君は、私の告白を断ったんだよ……?
私のこと、拒んだんだよ……?

ほら、こうするしかないでしょ?
私には他に何も出来なかったんだよ。

こんなこと、間違ってる?
そうかもね。
私がしてることはいけないことかもしれないね。

……で、君と倫理を天秤にかけたところで、どっちに傾くと思う?
こうなってることを踏まえたら、考えるまでもないよね?

そう、君の当たり前が通用する私じゃないんだ。
考えてることは君と結ばれること、ただ一つなんだから。
君と一緒なら、他のことはどうでもいいの。

最後のチャンス、絶対にでも掴むしかなかったんだから。

そんなに君のこと好きだったのかって?
勿論だよ?
3年間ずっと、君のこと目で追ってたの。

初めて話してくれたのは、1年生の時の5月8日、5時間目の数学のグループワークだったね。
あの頃はまだ、誰とも打ち解けずに、新しい日々の壁を感じてた時だったんだけど、その壁を壊してくれたのが君だったんだよ。
配られたプリントの問題がわからないのをグループの皆に聞けずにいたのを見た君が、丁寧に、私に寄り添ってくれるように解き方を教えてくれたんだ。

緑色のシャーペン片手に、式の変形方法とかを段階ごとに確認してくれて、君の優しさを感じたのをまだ確かに覚えてる。

その優しさが、何よりもかっこよかった。
その瞬間から、君という男性を好きになり始めたんだと思う。

そこからは、君が私のこと気に掛けてくれなくたって、気持ちは大きくなっていったんだ。
真面目に授業受けてる姿だって、友人ととりとめのない話して盛り上がってる無邪気なところだって、登校中、正門近くのヒマワリを何気なく見てしまう穏やかな君だって、全てが私の心を揺らしていたの。

そりゃ、君はこの学校生活に馴染んでて、3年間ずっとそれなりにカッコいい男子のポジションだったから、いろんな女の子と話してるところだって見たよ。

告白されてたところなんて、君がどう答えるのか気になって、こっそり見てるのバレちゃいけないのにそわそわするのが抑えられなかった。

あの時は断ってたからなんとか平静を保てたけど、君みたいな人に告白しようとする人なんて一人だけじゃないんだろうなって、あれから不安で不安でもっと君のこと、目を離さないようにしなきゃって思ったの。

だって、現に私が君のこと好きなんだもん。
他の人だって好きになったっておかしくない。

けれどね、君のことを一番愛してるのは、そして君のことを一番よく知ってるのは私だって、ずっと信じてたよ。
この気持ちは君には届かなかったけど、胸を張って言える。

だから、どうしてもっと前から私は気持ちが言えなかったんだろうって、それだけは後悔しているの。
一番のチャンスは、3年生になった9月26日、文化祭の最終日だった。

私たちのクラスでは、男女逆転カフェっていう、いかにも文化祭っていうノリのお店をやったでしょ?
あの時の君のメイド姿、恥ずかしいって言う割にはとても綺麗だったよ。

でもね、言いたいのはそのことじゃないの。
私が客の応対してる時に言い寄られて、何も出来ずにオドオドしてたところを君は助けてくれたでしょ?

「この子は俺の彼女だ、手を出すな」って、咄嗟についた嘘ではあったけど、私のこと彼女って言ってくれたのが本当に嬉しかった。
あの時、あのまま本当に彼女にしてほしいって言葉が喉までは込み上げてきてたんだ。
嘘なんて脆くない、壊れない愛にして欲しかった。

だけど、君を前にすると口がどうしても開けられなくて、片付けが終わって帰る前、小さな声でありがとうとしか言えなかった。
あの時ほど私の内向的性格を恨んだことはなかったよ。

でもきっと、あの時告白してもダメだっただろうね。
知ってる。
本当は君、好きな人がいるってこと。

だって私、3年間ずっと君のこと見てるんだよ?
あの子のことよく見てるなとか、あの子と話してる時いつもより固いなとか、些細な異変だってわかるんだ。
だから、私には気がなくて、恋心を寄せる相手が他にいることぐらいすぐにわかった。

私、その気持ちを私に向けられないかって方法は必死に考えても、君の前では何もできないから。
それに、君はその人といるときは幸せそうだから、嫉妬で狂いそうになったけど、その方がいいかなって思ったりもした。

だけど、あの文化祭の時の一言で私はわかったんだ。
絶対に君を私のモノにするって。

結局貧弱で中途半端な心は、君のことを見ることしか出来なかったけど、やっと今日、今日しかないっていう危機感で君に思いを告げることが出来た。

君はその好きな子と普段話したりはしても、何も思い立ったアプローチも出来ないままだったから、そこだけは私の勝ちだね。

だから、もういいでしょ?
あの子とは進路も違うんだし、どうせ会うこともないの。
まだこだわり続ける意味もないんだから、私と一緒にいようよ。

もうダメなんて言われても、逃がしてあげないけどね?

ふふっ、何事も、最後が肝心って言うでしょ?
私は3年間、君のことを想いながら、何度だってもどかしい経験をしてきた。

けれど、その3年間の最後、君を手に入れられたんだ。
3年間の苦しみなんて、この素晴らしき未来が待ってるって思えば苦しみなんかじゃなかったんだよ。

だけど、これまで溜めてた気持ちの反動は君にぶつけちゃうかも。
もう、恥じらう必要もないから。

今日、誰が言ってたかは思い出せないけど、未来は、不安と壁に満ちているけれど、それと同じくらい希望と驚きに満ちているって。

だから、今君が不安を抱えていようと、壁を感じていようと、ここでの日々はきっと素敵なはずだから。
気持ちを前に向かせよう。

私たちの新しい日々が、始まるよ。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
卒業、告白、監禁
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
ヤンデレとか書きます。

Twitterアカウントは@yorugi_suu以外一切関与しておりませんのでご了承ください。
有償販売利用の条件
TwitterのDM等にてご一報ください。
利用実績(最大10件)
夜木嵩 の投稿台本(最大10件)