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青春感溢れるシチュエーションと思いきやヤンデレだった
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • 青春
公開日2022年06月21日 18:54 更新日2022年06月21日 18:54
文字数
2326文字(約 7分46秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
指定なし
視聴者役柄
指定なし
場所
指定なし
あらすじ
まるで青春のような理解者の女友達が、あなたを慰める。
そんなよくある話の一場面のようだが、あなたの失意の原因は彼女の好意ゆえの計略で……

当作品は「青春っぽい」という設定であり、各役の年齢は使用者の自由とします。

():読み方に関する指示・役の動作(効果音の発生するもの)
[]:場面指定・変更

[@河川敷]
本編
……やっぱりここにいたんだ。

もう帰ろうよ。
夜になっちゃう。

どうしてここがわかったって、私、あんたとどれだけ一緒に過ごしてきたんだか。
あんたの大体の思考は見当がつくものよ。

で、今日は何を悩んでここに?

あんた、悩み事抱えてムシャクシャしたときはいつだってここじゃない。
ただ物思いに耽るように空を眺めてる時もあれば、バカヤローって、叫んでた時もあった。
無意識なのかもしれないけど、ここがあんたの好きな場所ってことでしょ?

……でも、その気持ち、なんだかわかる気がする。

電線だらけの街で、まともに空を眺められる場所って、この河川敷くらいだもん。
夕陽……きれいだね。

でもさ、私ちょっと気になるんだよね。
男子の習性なのかはよくわからないけど、なんでか男子って夕陽に向かって叫びたがるところあるじゃん。
やっぱり、気持ちいいの?

叫んでみればわかるって、今はそういう気分でもないし。
だけど、その時はやってみてもいいかも。

あんたのバカヤローって叫んでやるんだから。

ふふっ、私の悩みの種は大体あんたなんだから仕方ないでしょ?

いや、ゴメンって言われても、あんたが悪いってわけでもないし。
……どうせ、気付かないし。

え、当てられる?
なら言ってみてよ、ほら。

……ほら、何にも出てこない。

だけどね、私はあんたが何で悩んでるのか、知ってるよ。

告白、ダメだったんでしょ。

あ、いいよ、わざわざ思い出そうとしなくて。
辛いでしょ。

私が代わりに、勇気を振り絞って想いを伝えたその強さを褒めてあげる。
結果は上手くいかなかったみたいだけど、告白できなきゃ、振られることすらできないでしょ?

なんというか、あれだよ。
PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ。
……ってやつ。

想い人に振られることが出来るのは、想い人に告白する勇気を持った者だけだ。

別に、嫌われたわけじゃないんでしょ?
誇りなよ、振られた数なんて、男の勲章みたいなものだし。

私は、本当に悲しいんなら今日ぐらいは泣いていいと思うよ?
その代わり、今日涙で流しきって、過去のこととして置いていくこと。

あ、泣くほどじゃない?
ならいいんだけど。

……そーれーとーもー。
私の前で涙なんか流せない?
恥ずかしいとこ見せられない?
女々しいとか揶揄われたくない?

もー、別に私そんなこと言わないし。
なんか、ちょっと酷いなぁ。

ん、なんか聞きたいことある?

え、振られた理由……?

それさ、その子に聞かなきゃ意味ないんじゃないの?
それとも、単純に女子の立場からあんたが男としてどうダメなのかを聞きたいってわけ?

それなら、答えてやらんこともないけど。
答えは簡単。

私以外に告白なんてするからだよ。

……どう、驚いた?

ふふっ、よかった。
私ね、いま私にそんなこと聞いてきたから、もしかしてあんたはそのことに気付いてるんじゃないかって、内心ヒヤヒヤしてたよ。

たまーに、あんたも鋭いところあるからさ。
あー怖かった。

でも、今はあんたの方が怖いのかな?
私が他の女に何か働きかけてるってことだもんね。

そうだよ。
あんたが告白しそうな女とか、あんたに告白してきそうな女とか、あんたに関わりそうな女には全員脅してるんだから。

張りついてればわかるけど、人間、生きてれば弱みの一つくらい誰だってあるみたいだし。
例えば、あんたとかは、持ってるエッチな本なんて、バラされたくはないでしょ?
あ、それとも、中二病患ってた時のポエムでも晒しちゃう?

ほらね、やめてって思うでしょ?
みんなそんな感じで、あんたとはくれぐれも結ばれないように脅しておいたのよ。

でも、意外と大変だったから褒めて欲しいなぁ。
人気者ってほどでもないのに、ちょっとモテてるし、あんたはあんたで惚れっぽいし、好きであんた以外の興味もないような人間の生活を覗き見るような趣味なんてないから、つらいし疲れたよ……

それに、本当は誰にも告白が上手くいかないあんたを支えてやって、今までの付き合いもあって、惚れてくれたらなって思ってたんだけど、全然こっちに好意向かないし、とうとう私はバラしちゃうし、今、あんた完全に引いてるでしょ。

あんたが私に惚れないのがいけないんだからね?
いつもベッタリで、愚痴とか雑談とか、気兼ねなく接していられるのも、どうせあんたは私のこと、女というより友達って思ってたんだろうね。

でも私は、あんたが好きなひとりの女の子なの!
この気持ちは、誰にだって負けない……!

あんたが好きって言ってた、真っ直ぐにあんたの事愛してくれそうな女の子がここにいるっていうのに、どうして気付いてくれないのよ……!

それどころか、明日あの子に告白しようと思うとか、あの子って気があるのかなとか、他の女のことばかり私に話してきて、何の当て付けなの!?

本当なら、とっくに私は告白されてて、もう私たちは恋人で、それはそれは仲睦まじいカップルになってるはずだったのに、まだ私の心は暗いまま……

ああぁぁ……

(叫ぶ)あんたのバカヤローッ!!

……はぁっ、なんだか、スッキリした。
結構効果あるんだね。

それでね、私、決めたんだ。

なんとしてでもあんたと結ばれてやるって。
どんな手段さえも厭わない。

だからさ、あそこの橋の下……あそこなら誰も来ないでしょ?

ついてきてくれる?

……嫌がるんなら、さっきのあれ、バラしてもいいんだよ?
それとも、もっとみんなが引くようなスキャンダルの方がお好みかなぁ?

あれとか、皆に広まったら、もうあんたを見る目が変わっちゃうだろうなぁ……

あれ、どうしたの?
私、何も言ってないのに、やっぱりマズいんだ?

それじゃあ、私の言うこと、聞くしかないよね?
私の言いなりに、なるしかないよね?

ふふっ、急に大人しくなった。

(囁き)わかった? あんたには私しかいないんだからね?

よし、それなら、日が暮れないうちに早く済ませよっか。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
青春感溢れるシチュエーションと思いきやヤンデレだった
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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