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義姉の愛情の真実を、僕はまだ知らない
written by 夜木嵩
  • ヤンデレ
  • 義姉
  • 運命
公開日2022年11月20日 18:34 更新日2022年11月20日 18:34
文字数
2526文字(約 8分26秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
お姉ちゃん(義理)
視聴者役柄
弟くん
場所
おうち
あらすじ
あなたには、実の親を亡くし、さらに育ての親も亡くしたあなたのことを、一人で本物の弟のように、あるいは子のように守り、愛し続けてくれた義姉がいた。
これ以上彼女に負担をかけさせまいと、独り立ちする決断を告げたのだが、彼女はそれを拒んでくる。
なぜなら、彼女にとってあなたとの出会いは、運命にして宿願だったのだから……
本編
それで?
お姉ちゃんに話したいことがあるって言ってたけど、何?

家を……出る……?

そ、そんな……お仕事するにしても、ここにいたって、通えるはずなのに。
っていうか、そもそも、弟くんがお仕事なんかしなくていいように、私、頑張ってるんだけどなぁ。

それでも、弟くんはお姉ちゃんのもとを離れたいのかなぁ。
ねえ、考え直してほしいな。

そりゃ……お姉ちゃんが寂しいからっていうのは、そうなんだけど……
弟くんを私は守ってあげたいって、心から思ってるんだよ。

それは、義理だとか本物だとか、関係ない。
弟くんは、私のこの世で一番大切な人だから。

ここで、お姉ちゃんに愛されながら守られていれば、弟くんに何も怖いことも、苦しむこともないはずなんだよ?

お願い。
一緒に、幸せになろう?
ここで、永遠の愛、深めよう?

そう……決意は、固いんだね。

弟くん……

ごめんね。
生憎、私の気持ちも、揺るがないんだ。

 (姉、弟を押し倒す)

離したくないよ。
弟くんにはずっと、お姉ちゃんのものでいて欲しい。

またあなたを失うことになったら、私、どうすればいいの……?

そっか、弟くんは覚えてないんだよね。
私の胸は、ずっとこの苦しみに侵されてるというのに。

弟くんも、この気持ちを知ったら、私から離れないでくれるのかな。

私たちの決して断ち切ってはならない深く強い関係は、前世のことが原因なの。

その時の私たちは、恋人だった。
身分とか、そういうのが厳しい時代で、決して恵まれた二人ではなかったけれど、その出会いだけは、当時の貴族なんかより、はるかに幸運で運命的だったはずよ。

愛し合うほどに惹かれ合って、より愛しく愛し合う。
あれはまさに、神の導きのような恋だったの。

でも、そんな運命的な愛は、泡沫の夢のようなものだった。

あなたは、私と出会って間もなく、戦争に駆り立てられた。
農民が国に逆らう術もなく、私も、見送ることしか出来なかった。

それから、長くもしないうちにあなたの死が知らされた。

今でも、思い出すのはつらいな……
目の前にあなたはいるけれど、感情すらも忘れられないの……

何より、私だって、その失意のままに後を追ったのだもの。
天国でも地獄でも、来世でも、また会えることだけを願ってた。

もしかすると、私だけがあなたのことを覚えてるのは、前世、あなたに会えることを強く祈って、命を絶ったからなのかな。
覚えているのは、どうしても、もう一度結ばれたい運命の人がいるということと、そんなあなたとの記憶ばかりなの。

どう?
あなたにも、思い出せる?

……そう。
わからない、か。

それでも、あなたはあなたよ。
私は決して離したくない。
もう一度、やり直すようにまた愛したいの。

不思議だなぁ……
前とは姿も全く違うのに、運命というだけで、弟くんの顔を見てると勝手にゾクゾクしてくるの。
胸も高鳴って、もう決して離すまいとする心が私の中にあるのを、確かに感じられる。

ね? これを運命と言わずして、なんと言おうか。
そして、この運命の繋がりを断つなんて、どうすればできるの?

そもそも、私のこの人生は、あなたと結ばれるためにあるの。

生まれてから、まずあなたに出会うことを一番に考えてきたんだから。
といっても、あなたが生まれてくるのは、私より何年か後だったけれど。

何?
どうして、この家の養子になったか知りたい?

元々、親の知り合いの子で、事故で身寄りがなくなったから、母が引き取ることにしたって前に言ったはずなのに、疑ってるの?

……もう、いいか。
こうなったら、隠すほどのことじゃないから。

たぶん、あなたが思っている通り、私が家に連れて来たの。

最初に会ったのは、どこか、街中だったはず。
強烈に私を惹き付ける直感があって、その方向には、妊婦さんがいた。

だから、やっと生まれてくるんだって、確信したの。

それで、その人を調べて、生まれてくる時を待った。

大変だったよ。
病院も忙しいとはいっても、なかなか隙がなくて。

でも、そんな危険を冒すだけの価値がある、愛しいあなただから。

そうして、今日まで、あなたが私を思い出してくれるか、そうじゃなくても、愛してくれることを願って、愛情を注いで待ち続けてきた。

今、どんなにあなたが私のことを怖がっていても、私の愛のもとにあなたが生きてきたことは、決して変わらないんだよ?

ずっと一緒に生きて来たし、母が亡くなった時、私もどうにかしてあなたを守らなきゃいけないって、やっと働き始めたばかりで、不安もあったけど、私があなたの母の役になるって決意もした。

運命だからというのもあるけれど、弟くんとしてのあなたへの新たな愛情も溢れんばかりでね。

もはや、この気持ちは恋でも愛でもなくて、私の人生全てなんだよ。

あなたのために生きていて、あなたがいるから生きられる。

私ね、弟くんが一人の大人になろうとしている成長は、嬉しく思うの。
だけれど、それが意味するのは、弟くんにとって、私が必要なくなるということ。

そんなの、嫌だよ?

むしろ、私にとって、弟くんが必要なくなる瞬間なんて、永遠にやって来ない。
一生どころか、来世も、その次も、あなたを愛していたい。あなたと求め合っていたい。

離さないなんてものじゃない。
私は、弟くんから離れられないの。

どんなことをしてでも、あなたと一緒に生きていられるなら、何だっていい。
親離れするように私を必要としなくなるのなら、今度はずっと待っていたように、恋人として私を必要とさせてあげればいい、そうだよね?

弟くん。
あなたには、私が必要なんだよ?
弟くんは、一人でなんか、生きていけない。
お姉ちゃんが、恋しくてたまらない。
お姉ちゃんと、一秒たりとも離れたくない。
お姉ちゃんを、逞しいその腕で抱き締めて、逃がさない。

今から、お姉ちゃんが弟くんにも愛おしく思えるように染め上げてあげる。
大丈夫、もし上手くいかなくても、何度でも、何度でも、繰り返して、私以外のこと、考えられなくなるまで、愛し続けるから。

思い出させてあげる。
遥か昔からの運命を。
沢山注ぎ込んだ、あの愛情を。

私たちを愛へ導く神がいないのならば、私が導けばいいのよね?

ほら、弟くん。
家を出たいとか、そんなバカなことは忘れて、あんなに愛し合ったあの日々を、思い出して。
私に溺れて。
私を求めて。

今から、あなたの忘れた愛の続き、始めるから。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
義姉の愛情の真実を、僕はまだ知らない
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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