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1TBの片想い
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  • 告白
  • 純愛
  • 切ない
  • 片思い
  • 幼なじみ
  • 病弱
公開日2022年11月23日 01:14 更新日2022年11月23日 17:17
文字数
3169文字(約 10分34秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
Vtuberをやっている病弱な女の子
視聴者役柄
幼馴染
場所
部屋
あらすじ
げほげほっ…。咳をする度に自分の身が裂かれそうな痛みが走る。
痛み止めを処方されてこれなのだから、身体が感じる痛みはこの数倍もあるのだろう。

痛みを抑えては、痛みに怯え、寛解しては再発し…。
そんな生活をもう何年送ってきただろう。

生きる気力も削がれていくような毎日。
そんな中私は、動画配信というものに出会った。

外にも出掛けられず、暇と時間を持て余す自分にとってこの出会いは必然だったとも言える。
活動を始めていくうちにファンがついていく。
それが私にとっての、外との交流だった。

幸いと言うべきか、時代の産物というべきか…。
予約投稿という機能を知ってから私はある考えが浮かんでいた。

仮に私が亡くなっても、生きる方法。
…SNSと動画を更新することで生存が確認される活動だからこそ出来る延命方法。

気付けば私はそれに躍起になっていた。
ノベルゲームは特にその目的に役立ったと言える。

自分の考えを喋りながら…撮れるのだから。
すなわちそれは…自分の生きた証を残すには適した実況だから。
本編
*SE:本を閉じる音


今日は来てくれてありがと。
…外寒くなかった?

ううん、それならいいの。
朝窓を開けてもらったら肌寒く感じたから。

大丈夫かなって思っただけ。
呼んでおいて心配するとか意味わかんないよね。

…早速でわるいんだけどさ。
今日は君にお願いがあってね。

聞いてくれる…かな?
話せるうちに話しときたくて。

ありがと。
…私ね、入院することが決まったの。

いやこれ自体は何度目だよって感じだし、どうってことないんだけどさ。
何となく…もう戻ってこれない気がしてるんだよね。

簡単に言っちゃうと…
たぶん私は年を越せないと思う。

まぁこれは勘に近いかな。
長年この病気と生活を共にしてきたからね。

悪くなるのが手に取るようにわかるというか。
薬もあんまり効かなくなってきてるからそろそろ何だと思う。

あぁ…ごめん。
君が聞きたいのは頼み事についてだよね。

でね、君にお願いしたいのはこれ。


//あるVtuberのSNS画面が表示されている


そう。私であって、私じゃないもう一人の自分。
この子を君に任せたい。

って急に言われてもわかんないよね。

順を追って説明するね。
予約投稿…って機能は知ってるかな?

例えば明日が忙しくて動画あげれない~!ってなっても、昨日から事前に投稿できる神機能。
その場に存在していなくても存在しているように見せかけることが出来る優れもの。

それでね、思いついたの。
ネットの中だったら、私もう少し生き長らえるなって。

まぁそこまで生に執着しているかと言われると別というか逆なんだけど。
どうせなら…年を越して、3周年祝ってから消えたいなって。

そんなわがまま。

だから、そんなわがままに少しだけ付き合ってくれないかな。
具体的には、このアカウントで投稿している間私のふりをしてほしい。

そんな頻繁に交流するタイプではないし、そこまで苦労はかけないと思う。

…あと少しの間だけ私を生きさせてほしい。
せめてこの私だけは、綺麗に終わらせてあげたいの。

…これは私の生きた証でもあるから。

隣で私のことを見てくれてた君にしか頼めないことだから。
私の次に私をわかってくれている君だから、頼みたい。

…ダメかな。


//少しの間


ありがとう。
…ごめんね。最後まで君のこと振り回しちゃって。

いままで大変だったでしょ。
でもこれが、本当の最後だから…安心してね。

よしっ。
となれば、これとこれとこれ!

登録したときのメールアドレスとパスワードとこの子の設定!
言動とかはwikiにまとめてくれる人がいるし、
動画も…追ってくれてるからわかるよね。

投稿自体は予約してあるし、お姉ちゃんに任せてあるから
君は『私を演じること』に専念してほしいなっ。

というわけで、あと数か月。
"私"のことをよろしくね。

じゃ、また動画で会お。

うん。
実はまだ収録終わってなくて…笑

もー…。
意外と編集とか字幕とか大変なんだぞ~。

まぁ大丈夫。
最後の動画だけだから安心して。

じゃまたね。


【3周年動画】

というわけで!
この3年間ありがとうございました!

いやあ、意外と長いようで短かった!
本当にあっという間の時間でした。

辛い時も苦しい時もあったけど、励ましてくれる人たちがいたからこそ、ここまで頑張って来れました。

私を支えてくれた人、応援してくれた人、その全てが私の糧でした。
みなさんのおかげで、私は楽しくこの活動を続けられることが出来ました。

本当に感謝してもしきれません。

さて…。
そろそろお別れの時間が近づいてきましたね。

時折話していましたが、
私の動画はこれでおしまいです。

私の活動も今日をもっておしまい。
動画や呟きは残るかもしれませんが、更新はありません。

本当は…。
出来ることならもう少し…続けたかったんですけどね。

でも心配はいりません。
ネガティブな意味は全然なくて、ポジティブな転機ですから。

少しだけ…頑張ってこようと思います。

私はもういなくなってしまいますが…。
これからみなさんにはもっといろんな出会い…そして別れがあると思います。

私はみなさんのその中の1人になれたことが、とてもうれしいです。
昔から、それがひとつの夢でしたから。

みなさんにとって、私は忘れられることのない人間になれたでしょうか。
季節が来たら、思い出してくれるような…そんな人間になれたでしょうか。

数年先…。

少しでも…私のことを思い出してくれる人がいたら、私は幸せです。

…しんみりしてしまいましたね。

もうちょっと明るくお別れ…したかったんですけど。
…私は最後の最後まで、わがままで泣き虫みたいです。

…。
ほんとうに。

…ほんとうに、こんな私を愛してくれて…本当に…っ!
ありがとうございました…っ!みなさんお元気で!

また…会える日が来たら会いましょう。
では、本当に…またね、ばいばい。


//配信が終わり、通知が鳴る。

//その膨大な通知の中に、ひとつのメールが届いていることに気付く。

//動画のURLを開くとそこには彼女の姿があった。


やっほ。
私の卒業…見届けてもらえたかな。

ううん。
まずは…お疲れさまだよね。

長い間、私と一緒にいてくれてありがとう。
そして、2回も私のことで悲しませちゃってごめんなさい。

本当はこの動画も撮るつもりはなかったんだけど…
どうしても伝えたいことがあったから、いま動画を回しています。

まぁちょっと気持ちの準備が整うまで雑談しよっか。
ねぇ…私を演じてみてどうだった?

正直大変なこと押し付けちゃったよね。
見ず知らずのファンと当たり障りなく交流してさ。

何もトラブルが起きてないことを願ってはいるけど、
実際変なことに巻き込まれてないかなってちょっと不安。

…でも君は器用だから。
最後までやり遂げてくれたと信じてるよ。

君のおかげで私は年を越すことも出来たし、
仮とはいえ綺麗な終わりを迎えることが出来た…。

私はとても満足してる。
ありがと。

…だから悲しまないで。

君はお医者さんがどうにも出来なかった私の寿命を延ばしてくれたんだよ。
どうか誇りに思ってほしいな。

その涙はもっと大切な人にとっておいてほしい。

あ、いま何で泣いてるのが分かった?みたいな顔してるでしょ。
何年幼馴染やってると思うのさ、君が私を知っているように私も君のこと知ってるんだよ。
それに君なら、きっと悲しんでくれる…って思っちゃったから言ってみた。

外れてたら自信過剰だなぁこれ。
はずかし…。

まぁそしたら笑ってね。
私君の笑顔結構好きだからさ。

…。
意外と話したいことたくさんで、長くなっちゃうね。

伝えたい気持ちがあるときは簡潔に!

さんざん私が言ってたのに、こういうときは忘れちゃうんだから都合がいいと言うか何というか…。

あのとき言えなかった言葉を伝えて、この動画は終わりにするね。

…うん、大丈夫。

だいすきだったよ君のこと。
1度も言えなかったけど、本当に大好きだった。
大好きな君の隣にいれて、私は幸せだった。

…どうかな。
君の気持ちがわかるって言ったばっかなのに、いま君がどう思ってるのかわからないや。

まぁでも、言わないで去っちゃうのも嫌だったからさ。結果は玉砕でも何でもいいかな。

私の愛の重さが十分に伝わってくれればそれでいい。冥土の置き土産ってやつだよ。

一世一代の告白。
ちゃんと受け取ってね。

……。

はぁ…ごめん。
やっぱり君が来てくれた時に伝えればよかったかな。
君の答えが聞けないのが心残りになっちゃいそう。

幽霊になって出てきたら、しっかり答え伝えてね。
YESもNOも聞けなかったら、憑りついちゃうから。

…そろそろ動画切るね。
でももう一度だけ…。

私のことを生かしてくれてありがとう。
私のことを覚えていてくれてありがとう。

…私は君のことがだいすきです。

もしよかったら…。
私のことがどこかあなたの片隅にありますように。

…じゃあね。
とってもとってもあなたのことを愛してました。

不器用なりに、ね。

お先に。
待ってるかもしれないし、待ってないかもしれないから。来たいときに来てね。

早めに来たら追い返してやる。
だから、安心して君は君の人生を歩んでください。

またね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
1TBの片想い
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者

ライター情報
pixivにて、台本を投稿し始めました。
ヤンデレや甘々、わからせなどを学び中。
シチュエーションボイス採用を目指しております。

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