大学生のころから付き合っている彼女。
社会人になり、会社も業種も違うことから2人の時間を作ることが難しくなっていた。

それでも2人は時間をやりくりし、頻度は少ないもののデートを続けている。
近いのに遠距離。そのもどかしさを彼らは、絶えぬ愛で乗り越えていくのだろう…。

今日のデートは、イルミネーションデートだ。

【最寄り駅中】
久しぶり～。
うぅ…今日は一段と冷えるね。


まずはお疲れさま。
お仕事大変だったでしょ？


あはは…。
何だか緊張しちゃうな。
付き合いたてのカップルみたい。


どうかな？
洋服似合ってる？


…そ？ならよかったぁ。


なにせ今日のために新調したからね。
似合ってなかったら泣いちゃってたかも？


…うそだようーそ。


こちとら社会人5年目ですよ？
そんなので泣くわけないじゃん。


まぁ、でも…。
気合い入れてたのはホント。


だから…その…。
君が褒めてくれてとってもうれしい、かな。


//「そうだ、行きにこれ(HOTのペットボトル)買ってきたからあげる」


えーなに？
買ってきてくれたの？


気が利くね～。
私その頭全然なかったや…。


じゃ遠慮なくもらっちゃおっかな。


…うん。暖かい。


キャップついてるとカイロ代わりに出来るからいいよね。
さすが君。わかってるなって思う。


よいしょっと…。
次の電車までまだあるけど…行こっか。


手、繋いでくれる？


【目的地駅前】


わぁ…綺麗…。
スマホで見たときよりも、ずっと綺麗…。


君が隣にいてくれるからかな？とか言っちゃって。
…あ、君の瞳にもイルミネーションの光が反射してる。


何かエモいかも。


ねね、見てよ。
道の奥～まで全部彩られてるよ。


私…この雰囲気すきだな。
街全体が特別な日って感じがするし。


暗い夜のなかでこうぼやっと暖かい光が灯ってる感じがとってもすき。


寒いのにさ、この光景見てると何だか暖かくなるんだよね。
自分が広がっていって遠くまで飛んでいくような、街の雰囲気に包まれていくような…。


近くにいる人との距離がじんわり混じり合っていくような…？


この感じ。すきだなぁ。


…なに？
詩人みたい？


う…なんとかこの良さを伝えたくて語彙力を総動員したんですー…。


//「そこまで言わなくても伝わってくるよ」


ほんとかなあ？


でも、…ふふそっか。
ならこんなに言葉に頼らなくてもいいよね。


こうして隣で歩いてお話して。
それが幸せなら、それが一番いいもんね。


目的地までまだありそうだし…
大切な時間だもん、ゆっくり過ごそ？


君に話したいことたくさんあるんだ～。


【ツリー前】


あ、おっきなツリー！


やっぱりここがメインだね。
人もたくさんいるし、みんな写真撮ってる。


…そだ。
私たちもどうせだし…撮っていこーよ。


うん、思い出としてさ。


うーんと…、じゃあここらへんで。
どの角度がいいかな～？


ふむふむ…。なるほどね。
奥も写すような感じでさっきの人たちは撮ってたね。


…やってみよ！


ぐ…
ぐぬっ…ぐ、ぐぬぬ…！


うまくいかない…。
私手短いからな～…よかったら君が撮って──


//撮りましょうか？と話しかけられる


あっ、えっ、そ、そんな…！


え、えぇ…？
い、いいんですか？


じゃあお願いします…。
はい、はい、そこのボタン押せば撮れると思うんで…！


な、なんだか見られてると照れるね…？
…もうちょっと近づいて～だって。


こ、このくらいかな？
も、もうちょっと…？


これ近すぎるような…うぅ…。


だんだんと恥ずかしくなってきた…。
は、はやく撮ってもらお！ね！


//間


ふぃ～…たくさん褒められて何だか変な汗かいちゃった。
ああいうところで欲出しちゃいけないね。私学んだ。


でも聞いた？私たち…お似合いカップルだって。
えへへ…そう見えるかな？


んぇ…？
嬉しそうなのが顔に出て…る…？


…見ないで。
みーないで。見ないでっ…たら…っ。


【ツリー近くベンチ前】


んー…これでおしまい、かな？


もう1周…かぁ。
何だかんだで早かったね…。


…私まだ帰りたくないなぁ。


そこのベンチ。
…ちょっと座っていこ？


その前に…っと。


自販機自販機…あ、あった。
君は何飲むー？


さっき買ってきてくれたからお返し。
暖かいミルクティー？はい、りょうか～い。


*SE:自販機のｶﾞｺﾝｯ(あれば)


よいしょ。
…じゃあさ、これ飲みながらお話、しよ？


ふぅ…。
暖かいのが身体に染みるなぁ。


うぅー、さむ…。
今日思ったより寒くてびっくりしちゃった。


でもまぁ、どうにか過ごせたね。
それでもやっぱり足元は寒いのは変わらないけど。


ん？…上着貸してくれるの？
あはは、君はやさしいなぁ。


でも大丈夫。
君が寒くなっちゃうもん。その服は君が着てて？


ふぅ…。


…今日はありがとね。
年末近くて忙しかったでしょ。


それなのに私のために時間あけてくれてさ。
君が"行かない？"って誘ってくれたとき、すごく嬉しかった。


私もダメもとでここの写真送ろうかなー？
なんて思ってたから余計にね。


実はね…？
君が送ってきてくれた写真、全部一緒だったの。


…すごくない？
見たサイトも、自分がいいなと思うところも同じ。


…私たち会えてなくても繋がってるんだなあって。
勝手に嬉しくなっちゃった。


//「それはすごいね。…寂しい思いさせちゃってるよねごめんね？」


うん、寂しかった。


でも今日でたくさんいっぱい君とお話出来たからいいかな。
おかげで、…もっとがんばろ！ってなれたもん。


//「そっか。力になれてるならよかった…のかな」


そうだよ。
いつも君に助けられてるし、お世話になってる。


結構頼りにしてるんだから。
君はもっと自信を持ってください。


君も…さ。


私とお話して少しでもリフレッシュ出来ていたらうれしいな。


してもらってばかりだと、ほら。
やっぱりどっちかが辛くなっちゃうから。


//「もちろん。こちらこそいつもありがとね」


…そっかよかった。


あんまりこういうことは言いたくないけどさ。
社会人になると、時間とれないよね…。


わかってたことだったけど、実際になってみるとしんどい。



毎日通話してても、こうして話す以上の幸福はないなって思うし。


産まれる時代が違かったらもうちょっと君と長く過ごせたのかな？とか思っちゃう。


…けど、


昔は昔でこういうイベント少ないもんね。
どっちもどっちで難しいところだなあ…って。


正直ね？出会えたこと自体に感謝しないといけないのはわかってるんだ。
でもさ…どうしてもそれ以上を求めちゃうんだよね。


そう、私、君の事に関しては欲張っちゃう。
…君の前では多少わがままでいてもいいかなって。


そう密かに思ってるの。


だから、これからも大好きでいさせてね。
来年もこうして…肩を寄せて君とお話してたい。


お互い忙しいけど、また今日みたいに時間作ってくれるとうれしいな。
それでいっぱいイチャイチャしよ。長く離れてもいいように、たくさん。


それに君から誘ってもらえると安心する。
まだ私は飽きられていないんだな、見てくれているんだなって思えるんだ。


わがままを言えば、次も君から誘ってほしい…かも。


…重すぎるかな？
でもそういうのはちゃんと伝えていきたいし…。


言葉にして伝えないといけないこともあるもんね。


//「大丈夫。ずっとだいすきだよ。いまもこれからも」


うん…。


私も、だいすき。
肩借りていい…？


もう少しこのままでいよ…？
ゆったり…時間が過ぎていくのを君と感じてたいなあ。

・台本（ゆるボイ！）
イルミネーションが灯る冬の1ページ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
鮎