- ファンタジー
- 終末
- 微甘
公開日2022年12月12日 18:27
更新日2022年12月12日 18:27
文字数
2246文字(約 7分30秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
少女
視聴者役柄
指定なし
場所
海辺
あらすじ
彗星が衝突して地球を滅ぼす日。
せめて最後は美しい景色が見たいと、都会の狂騒から逃れ、遠い海辺の町に訪れたあなた。
そこには、同じことを思っていたのか、海を茫然と眺めている少女がいた。
その時を待つふたり、人生最後の出会い、人生最後の光景。
せめて最後は美しい景色が見たいと、都会の狂騒から逃れ、遠い海辺の町に訪れたあなた。
そこには、同じことを思っていたのか、海を茫然と眺めている少女がいた。
その時を待つふたり、人生最後の出会い、人生最後の光景。
本編
(SE:波 最後までずっと)
とうとう、来てしまったんですね……。
こんなの、創作の世界にしか存在しない、一種のファンタジーのようにしか思ってなかったです。
あなたは、怖いですか?
地球が滅びるの。
そうですよね。
自分たちの死を嬉々として待つことなんて、まだ私たちにはできませんね。
でも、ちょっと興味深くありません?
私たち人類が、何千、何万年とかけて築き上げてきたこの世界が、一瞬でまっさらになってしまう呆気なさ。
それを悠々と眺める余裕も強さも、人間にはないんですけど。
……そっか、終わっちゃうのかぁ。
私、これから大人になって、いろんなことをしていくはずだったんだけどなぁ。
何十年もの、あるはずだった出会いと別れ。
もしこんなことにならなかったら、私はどんな人生を送っていったんだろう。
でも、怖いな。
この人生に続きがある方が幸せになれたのか、こうやって終わってしまう方が、結果幸せだったのか。
人生には喜びと悲しみが等しく存在する、みたいな考え方もあるみたいですけど、あなたは、どう思いますか?
(間)
……そうですね。
ですけど、それでも人って、選べなかった選択肢とか、自分にはないものをどうしても羨ましく思ってしまう習性、みたいなものがありますよね。
私にとって……いや、今の場合は、この世界のたくさんの人たち、でしょうか。
私たちにとってそれが、明日へと続いていく未来、なんでしょう。
明日の私は、笑っていたのかな……
知りたくなってしまうんです。
知りようもないのに。
知りようもないからこそ。
……そんな私と比べたら、ここにある空も、海も、何にも変わりませんね。
あ、海は消えてなくなっちゃうのか。
けれど、この海が明日はどうなるかなんて、期待もなければ、不安もない。
ただ青いだけなんて言ってしまえば、これほどつまらないものはないのに。
それなのに、私、今日この地球最後の日のために、都会からここへ来たんです。
なんとなく、海が見たいと思ったんです。
なんでなんでしょうね。
街を出た理由はあなたも知っての通りでしょう。
終末というものは、創作と同じように人の心を狂わせます。
押し寄せる、終わりという名の恐怖に駆り立てられ、日常では制限の掛けられていた欲求が、暴れ出すんでしょうね。
一体、人々のどこにそんなエネルギーが眠っていたのかというばかりの無法地帯。
あんな場所で最期を迎えることは、私にはできませんよ。
というより、今頃は私のいた家だって燃やされてたりして、とっくにあの街に居場所はないんじゃないかと。
あなたは、ここの方なんですか?
あ、あなたもなんですね。
つまり、私たちは無性に海が見たくなった仲間。
気が合いますね。
私は、来てよかったと思いますよ。
なんか、今まで向き合ったことのない自分と向き合えた気もしますし、喧騒の中で忘れていた世界のきれいさを思い出せた気がします。
やり残したことは溢れんばかりで、まだこんな現実を受け入れ切れないところだってありますけど、求めていた平穏がここにはあるみたいですから。
この動乱の中じゃ当然、日常にだって消えかけている、何にも求められない、穏やかな時間。
今となっては、のんびりとそれを求めるのも許されるみたいですし。
一番の幸せ……はきっと他にある気がしますけど、今までで一番、気持ちのいい深呼吸ができます。
人生って、なんだかんだ面白いですね。
もう、終わっちゃいますけど。
私が最後に出会う景色は、この一面の、静かに波が寄せては引いていく、いつも通りの青い海。
最後に出会う感情は、何にも囚われることのない、自由な平穏。
最後に出会う人は、こうやって、ただ私の話をぼんやりと聞いてくれるだけの、物静かなあなた。
今日だけの出会いですけど、どれも、私の心には刺激と癒しがあるんです。
あなたも、そうですよ?
確かに、私の初恋の男の子に魅力で勝るなんてことはないですけど、あなたほど信じてもいいかなと思える人は、私欲にまみれた世の中、そうそういませんから。
もったいないなぁ。
明日からも、ちょっとあなたのこと、知ってみたいって思っちゃいます。
でも、私たち、明日がないからここに来たんですもんね。
神様も、意地悪なものです。
でも、粋な心はあるみたいで、憎めませんね。
手、繋いでいいですか?
そろそろかと思うと、やっぱり心細くて。
あぁ、人肌もいいものですね。
理由もなく心が落ち着きます。
……このまま、まどろむように終わってしまえるのなら、それもまた幸せなのかな。
あの、ちょっと聞いてみていいですか?
もし、私があなたの事を好きと言ったとしたら、どうします?
付き合ったところでどうせ、今日の限られた時間だけの出来事に過ぎませんけど。
……ふふっ、そうですか。
夕陽、きれいですね。
さっきまで青かった海も、ゆっくりと染められていってます。
あの夕陽が沈んでしまえば、ここにはまるで太陽なんて存在しないみたいな夜がやってくるように、私たちも、消えてしまえば、何もかもなかったことになってしまうんでしょうね。
なんだか、儚いものです。
人生、夢や希望を抱いていても、どんな記憶を胸に刻んでいても、こんなものなんですね。
……あ。
あの光、もしかして、そうなんですか?
じゃあ、もうすぐなんですね。
あの光に、願い事を三度唱えても、流石に叶いませんよね。 あははっ。
でも、皮肉なまでにきれいですね。
これからこの星を消し去ってしまうものだというのに、見惚れてしまいます。
ようこそ、地球へ。
そして、さよなら。
これから、何が起こってしまうのでしょうか……
すうぅ……はあぁ……
あぁ……何もかも……きれいです。
(間)
とうとう、来てしまったんですね……。
こんなの、創作の世界にしか存在しない、一種のファンタジーのようにしか思ってなかったです。
あなたは、怖いですか?
地球が滅びるの。
そうですよね。
自分たちの死を嬉々として待つことなんて、まだ私たちにはできませんね。
でも、ちょっと興味深くありません?
私たち人類が、何千、何万年とかけて築き上げてきたこの世界が、一瞬でまっさらになってしまう呆気なさ。
それを悠々と眺める余裕も強さも、人間にはないんですけど。
……そっか、終わっちゃうのかぁ。
私、これから大人になって、いろんなことをしていくはずだったんだけどなぁ。
何十年もの、あるはずだった出会いと別れ。
もしこんなことにならなかったら、私はどんな人生を送っていったんだろう。
でも、怖いな。
この人生に続きがある方が幸せになれたのか、こうやって終わってしまう方が、結果幸せだったのか。
人生には喜びと悲しみが等しく存在する、みたいな考え方もあるみたいですけど、あなたは、どう思いますか?
(間)
……そうですね。
ですけど、それでも人って、選べなかった選択肢とか、自分にはないものをどうしても羨ましく思ってしまう習性、みたいなものがありますよね。
私にとって……いや、今の場合は、この世界のたくさんの人たち、でしょうか。
私たちにとってそれが、明日へと続いていく未来、なんでしょう。
明日の私は、笑っていたのかな……
知りたくなってしまうんです。
知りようもないのに。
知りようもないからこそ。
……そんな私と比べたら、ここにある空も、海も、何にも変わりませんね。
あ、海は消えてなくなっちゃうのか。
けれど、この海が明日はどうなるかなんて、期待もなければ、不安もない。
ただ青いだけなんて言ってしまえば、これほどつまらないものはないのに。
それなのに、私、今日この地球最後の日のために、都会からここへ来たんです。
なんとなく、海が見たいと思ったんです。
なんでなんでしょうね。
街を出た理由はあなたも知っての通りでしょう。
終末というものは、創作と同じように人の心を狂わせます。
押し寄せる、終わりという名の恐怖に駆り立てられ、日常では制限の掛けられていた欲求が、暴れ出すんでしょうね。
一体、人々のどこにそんなエネルギーが眠っていたのかというばかりの無法地帯。
あんな場所で最期を迎えることは、私にはできませんよ。
というより、今頃は私のいた家だって燃やされてたりして、とっくにあの街に居場所はないんじゃないかと。
あなたは、ここの方なんですか?
あ、あなたもなんですね。
つまり、私たちは無性に海が見たくなった仲間。
気が合いますね。
私は、来てよかったと思いますよ。
なんか、今まで向き合ったことのない自分と向き合えた気もしますし、喧騒の中で忘れていた世界のきれいさを思い出せた気がします。
やり残したことは溢れんばかりで、まだこんな現実を受け入れ切れないところだってありますけど、求めていた平穏がここにはあるみたいですから。
この動乱の中じゃ当然、日常にだって消えかけている、何にも求められない、穏やかな時間。
今となっては、のんびりとそれを求めるのも許されるみたいですし。
一番の幸せ……はきっと他にある気がしますけど、今までで一番、気持ちのいい深呼吸ができます。
人生って、なんだかんだ面白いですね。
もう、終わっちゃいますけど。
私が最後に出会う景色は、この一面の、静かに波が寄せては引いていく、いつも通りの青い海。
最後に出会う感情は、何にも囚われることのない、自由な平穏。
最後に出会う人は、こうやって、ただ私の話をぼんやりと聞いてくれるだけの、物静かなあなた。
今日だけの出会いですけど、どれも、私の心には刺激と癒しがあるんです。
あなたも、そうですよ?
確かに、私の初恋の男の子に魅力で勝るなんてことはないですけど、あなたほど信じてもいいかなと思える人は、私欲にまみれた世の中、そうそういませんから。
もったいないなぁ。
明日からも、ちょっとあなたのこと、知ってみたいって思っちゃいます。
でも、私たち、明日がないからここに来たんですもんね。
神様も、意地悪なものです。
でも、粋な心はあるみたいで、憎めませんね。
手、繋いでいいですか?
そろそろかと思うと、やっぱり心細くて。
あぁ、人肌もいいものですね。
理由もなく心が落ち着きます。
……このまま、まどろむように終わってしまえるのなら、それもまた幸せなのかな。
あの、ちょっと聞いてみていいですか?
もし、私があなたの事を好きと言ったとしたら、どうします?
付き合ったところでどうせ、今日の限られた時間だけの出来事に過ぎませんけど。
……ふふっ、そうですか。
夕陽、きれいですね。
さっきまで青かった海も、ゆっくりと染められていってます。
あの夕陽が沈んでしまえば、ここにはまるで太陽なんて存在しないみたいな夜がやってくるように、私たちも、消えてしまえば、何もかもなかったことになってしまうんでしょうね。
なんだか、儚いものです。
人生、夢や希望を抱いていても、どんな記憶を胸に刻んでいても、こんなものなんですね。
……あ。
あの光、もしかして、そうなんですか?
じゃあ、もうすぐなんですね。
あの光に、願い事を三度唱えても、流石に叶いませんよね。 あははっ。
でも、皮肉なまでにきれいですね。
これからこの星を消し去ってしまうものだというのに、見惚れてしまいます。
ようこそ、地球へ。
そして、さよなら。
これから、何が起こってしまうのでしょうか……
すうぅ……はあぁ……
あぁ……何もかも……きれいです。
(間)
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ヤンデレとか書きます。
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