（ノック音）
お兄ちゃん、ちょっと良い？
実は少し用事があってさ……
（ドアの開閉音）
とりあえず入、る……よ……!?

えっと、あー……うん、とりあえず……ごめんね。
急いでたから返事待てなくて……それで、その、鍵かかってなかったから……本当にごめん！
（小声）
なんとなくそんな気はしてたけど、まさか本当に──
あぁいや、何でもないよ！
まぁ趣味趣向は人それぞれだし、私は可愛い格好してるお兄ちゃんも悪くはないと思うよ！
お兄ちゃん昔から女の子みたいって言われてたし、私はけっこう似合ってると思う！
だからほら、そんなに恥ずかしがらなくても──
「慰めは大丈夫」……いや、うん……本当、ごめん。
なんか悪い事しちゃったなぁ……そうだ！
お詫びって訳じゃ無いけど、お昼ご飯……お兄ちゃんの好きな物、買ってこよっか？
「それも大丈夫」……分かった。

え、あぁいや……ごめん、ちょっと考え事してた。
お兄ちゃんさ、その恰好のまま私の部屋まで来てもらって良い？
大丈夫、変な事はしないって約束する。
誰かに言いふらしたりとか、そういう事もしないから……ありがと。

（ドアの開閉音）

ほらほらこっち、ここに座って。
「何するの」って……気になる？
今からお兄ちゃんの事、私が生まれ変わらせてあげる♪
ほらお兄ちゃん、そこの鏡を見て……鏡に映ってるのはどんな人かな？
ふふ、そうだね♪
女の子の格好をしてるお兄ちゃん──私さ、お世辞とかじゃなくて今のお兄ちゃん、本当に可愛いって思ってるよ？
悔しいけど私と同じくらい、というか私より可愛い気もするし……まぁとにかく、お兄ちゃんには女の子になる才能があると思うの。
でも今のお兄ちゃんはちょ～っと物足りないって言うか、まだ改善の余地ありって感じ。
だからその足りない部分を、私が補ってあげる♪


はい、目を開けて──ふふ、けっこう良い感じになってると思わない？
お兄ちゃんって素が良いからさ、メイクで女の子っぽさを強調してあげるだけでも……って、聞いてないか。
そりゃ自分がこんなに可愛くなってたら、誰だってビックリしちゃうよね。
それにしたってこれ、間違いなく私より可愛いな……なんかちょっと妬いちゃうかも。
さてと、それじゃあお腹も減ってきたし──お兄ちゃん、今からお昼ごはん食べに行かない？
大丈夫、今のお兄ちゃんどっからどう見ても女の子だし、周りの目なんか気にする必要ないってば。
服は私のを貸してあげるし、今日は私が奢ってあげるからさ──やったぁ！


さてと、私の準備は出来たし……お兄ちゃん──じゃなくてお姉ちゃん、準備は大丈夫？
了解、それじゃあ駅まで歩いて行くよ。
ちょっと遠い所にあるから電車で……お姉ちゃん、もしかして緊張してる？
大丈夫、心配する事なんか何にもないよ。
だからほら、肩の力を抜いて？
お姉ちゃんはとっても可愛いんだから、もっと自分に自信を持たなきゃ！
そうそう、深呼吸して──よし、これで大丈夫そうかな。
さてと……それじゃあお姉ちゃん、今日は可愛い自分をいっぱい楽しんでね♪



ただいま……めっちゃ疲れた！
ご飯を食べに行くだけだったのに、ついつい色んな寄り道しちゃったね。
でもでも、お兄ちゃんが女の子になる時用の服もいっぱい買えたし──それに、めっちゃ良い物も見れちゃった♪
初めての外出で二回もナンパされちゃうとか……やっぱり、お兄ちゃんって女の子の才能あるよ♪
「恥ずかしいから言わないで」……って、なんで？
私は全然良い事だと思うよ？
だってさ……ナンパされるって事は、お兄ちゃんがめっちゃ可愛く見えたって事じゃん！
この調子なら、お兄ちゃんが最高に可愛い女の子になるのも時間の問題だと思うけどなぁ……ん、どうかしたの？
「メイクとか色んな事を教えて欲しい」……ふふ、了解♪
お兄ちゃんが可愛くなれるように、私が精一杯レクチャーしてあげましょう！
今日は流石に無理なんで、明日から女の子になる為のお勉強……いっぱい頑張ろうね♪

私がお兄ちゃんの事、素敵な女の子にしてあげる♪

・台本（ゆるボイ！）
妹に女装バレしたと思ったら女の子に仕上げられた
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
霜月鷹