魔王退治の道中、耳が敏感になる呪いをかけられてしまった勇者(あなた)。
そんなあなたが森を歩いていると一羽のハーピィに出会う。
彼女はふわふわの羽毛と耳かきであなたを誘惑し、魔王軍に勧誘してくる。
たとえどんなに心地よくとも、勇者は決して屈しないのだ！

(バッサバッサ)
あは♪おにいさん、こんな森の中で一人じゃ危ないよ？一体どこへ行くのかな？
……魔王退治？……へえ、じゃあキミが噂の勇者サマ？全然強そうに見えないけどなー？
あはは、怒った？でも剣なんて私には届かないよ？それに……えい！
(押し倒す)
キミって隙だらけだし……ふふ、こんな簡単に負けちゃうようじゃこの先不安だね？

(耳元で囁く)
ね、勇者サマ？旅なんてやめてさ、一緒に魔王軍に入らない？
もちろんタダでとは言わないよ？
入ってくれたらお礼に、毎日私のふわふわの羽で、キミのお耳をこしょこしょしてあげる。
知ってるよ？キミってお耳が弱点なんでしょ？

……ふふ、驚いた顔してるね。私たちの間じゃ有名だよ？
お耳が敏感になる呪いをかけられちゃった勇者サマは、こうやって耳元で囁かれるだけでとろとろになっちゃうんだよね？
……あはは、それで隠してたつもり？可愛いー。
ね、どうかな？仲間になってくれたら、勇者サマの大好きなカリカリのお耳掃除もしてあげる。悪い話じゃないでしょ？

(一旦耳元から離れる)
うーん、断られちゃったかー。意外と強情なんだねー。
困ったな、どうしようかなー？
……それじゃあ

(耳元で囁く)
……今日は体験コースってことで。
魔王軍に入るのがどんなに素敵なことか、その身体にたっぷり教えてあげる。
……ふー。
くすくす、お耳、本当に弱いんだね。
じゃあ、勇者サマのこのよわよわお耳を、私のふわふわの羽毛で……

(羽毛撫で開始)
ふわ……ふわ……ふわ……ふわ……
どう？気持ちいいでしょ？毎日欠かさずお手入れしてる自慢の羽なんだから。
あはは、すごい、お顔とろけちゃってる。いいのかな？敵の前でそんな無防備なお顔晒しちゃって。

ふわ……ふわ……ふわ……ふわ……
どうかな？少しは気が変わってきた？
……まあ、魔王軍に入るっていっても特にやることないから、この森でだらだらするだけなんだけどね。
ここはとってもいいところだよ？

好きな時に果物を食べて、お腹いっぱいになったら木の上で日向ぼっこして……
気が向いたら動物たちと追いかけっこ、
汗をかいたら水浴びして、疲れたからまたお昼寝……
嫌なことなんてなーんにもない、楽園みたいなところだよ。

ね、もう旅なんてやめて、ここで私と一緒に自由気ままに暮らさない？
……まだ強がるんだねー。でもそんなとろとろのお顔じゃ説得力ないぞ？

そろそろお耳ほぐれたかな？
じゃあ次は……じゃーん。これ、何か分かるかな？そう、勇者サマが大好きな、耳かき棒。
いやーこんなこともあろうかと持ち歩いてて良かったよー。
それじゃあ、じっくりなでなでされて敏感になったお耳を、この耳かき棒で……

(耳かき開始)
カリ……カリ……カリ……カリ……
ふふ、どうかな？とっても気持ちいいよね？
うんうん、答えなくても分かるよ、喜んでくれて嬉しいな。

カリ……カリ……カリ……カリ……
……この耳かき棒は、森の大樹の枝で作ったんだよ。
森の真ん中におっきな樹があってね、たまにそこに集まってみんなで遊ぶの。

私が歌って、エルフちゃんが笛を吹いて、ピクシーちゃんたちが踊って
アルラウネちゃんは木の実と花の蜜で作ったお菓子を皆に振舞ってくれたり
ドライアドちゃんは……ずっと寝てるかも。
この森には私以外にもいろんな子がいるんだよ？
みんなキミのこと気に入ると思うな。

さて、そろそろ綺麗になってきたね。じゃあ最後に……ふー。
ふふ、ビクビクしちゃって……よっぽど気持ち良かったんだね。
それで、どう？魔王軍に入る気にはなったかな？……あはは、まだ耐えるんだ、勇者サマは強いなー。
でもこれで終わりじゃないよ？反対側のお耳もあるからね。この気持ち良さをもう一度味わえるなんて幸せ者だねー？

じゃあ反対側のお耳も、まずは私の羽で優しく撫でていこうねー。

(羽毛撫で開始)
ふわ……ふわ……ふわ……ふわ……
ふふ、どんなに強がってても、お耳を触られると一瞬でとろけちゃう勇者サマ、可愛いー。

ふわ……ふわ……ふわ……ふわ……
……ねえ、キミは一人でここまで来たの？
あんなに遠い王国から、はるばるこの森まで？とっても大変だったんじゃない？
……そうだよね？すっごく疲れたよね？頑張ったんだね。

ふわ……ふわ……ふわ……ふわ……
ねえ、キミはもう十分頑張ったんじゃないかな？ちょっとくらい休んでも、誰もキミを責めないよ。
ね？私と一緒にこの森で暮らさない？
毎日好きなだけ葉っぱのお布団の上でごろごろしようよ。
寒い日は私がぎゅってしてあげる。きっとふかふかで気持ちいいと思うんだ。
……ふふ、気持ちが揺らいできた？

さて、こっちのお耳もとろとろになってきたかな？それじゃあ今度は耳かき棒で……

(耳かき開始)
カリ……カリ……カリ……カリ……
……ふー。ふふ、知ってるよ。こうやって不意に耳ふーってされるの、ぞくぞくしちゃうんだよね？

カリ……カリ……カリ……カリ……
どうかな？私の耳かき、とっても気持ちいいでしょ？時々森のみんなにもしてあげるんだ。
みんな上手いって褒めてくれるから、私もつい嬉しくなって、どんどん練習しちゃって……今じゃ森一番って評判なんだよ？

私と一緒に暮らしたら、いつでも耳かきしてあげる。……丁度私も練習台が欲しかったところだしね。
今日は持ってこなかったけど、私のおうちには沢山耳かき棒があるから、色々試させて欲しいな。
ね、いいでしょ？

さて、じゃあこっちも最後に……ふー。
うん、綺麗になった。これでおしまい。
さて、肝心のお返事は……って、もう目がとろんとしちゃってるね。眠くて答えられないかな？
よしよし、じゃあこのままぎゅってしながら一緒に寝ようね。
また目が覚めてその気になったら、いつでも言って、ね？

・台本（ゆるボイ！）
からかい好きハーピィの『ふわふわ羽毛耳かき』から 勇者は逃げられない！
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
あまに