多額の借金を負い地下労働施設に落とされた貴方。
そこは世界中の耳かき台本を秘密裏に作成する、闇の台本師養成施設だった！

……優しそうに見えて実は腹黒な僕っ娘にカモにされたい。

(扉を開ける)

ああ、キミが新入りくんか。
僕はD班の班長を務めている大塚だ。
よろしく。

今ちょうど他の班員は出払っていてね。
キミと僕だけになってしまうんだが
よければ、ささやかながら歓迎会といこうじゃないか。

……ははは、喜んでもらえて何よりだよ。
それじゃあ早速、ここに横になってくれ。
……何って、耳かきだよ。

……そんなに警戒しなくても。
僕はただキミを歓迎したいだけさ。
これから長い付き合いになるんだし、仲良くしようじゃないか。
ほら、おいで。

(膝枕に頭を乗せる)

はは、よしよし、いい子だね。
じゃあ耳かき始めていこうか。


(耳かき開始)


……で、新入りくんはどうしてここに来たんだい？
とぼけても無駄さ。
ここに来たってことは、キミも多額の借金を負ってるんだろう？

……音声作品の買いすぎ？
はは、そりゃ傑作だ。
これはまた有望そうな新入りくんじゃないか。

ああ、そうそう。ここでの仕事だけどね。
君にぴったりの内容だよ。
台本を書くんだ。

君が地上で聞いていた音声作品。
その台本のほとんどはここで作られている。

ここで書いた台本を地上の人たちに読んでもらい、音声作品として販売。
収益の一部が僕らに還元される。
そういうビジネスモデルなんだ。

もちろん作品が売れれば売れるほど収入も増える。
是非豊富な経験を生かして、ミリオン台本を書いてくれたまえよ。


(耳かき終了)


(耳ふー)
こっちの耳はこのくらいでいいかな？
反対向いてくれるかい？

よしよし。じゃあ、こっちもやっていこうか。


(耳かき開始)


ん？どうしたんだい？
……思ってたのと違った？
まあ地下労働施設って言うとおおげさな響きだからね。
参考までに、どんなのを想像してたのかな？

……賭博？……イカサマ？
はは、残念ながらそういうのはないね。

……ああ、でも娯楽なら、僕お手製の音声作品を販売しているよ。
もちろんイヤホンや再生機器も取り扱ってる。
……そりゃあもう良心的な価格でね。

(耳元で)
想像してごらん？
一日中台本を書いて疲れた脳に染み渡る
カリカリの耳かき。こしょこしょの囁き声。
きっととっても気持ち良いだろうね。

それ以外にも睡眠導入とか、ちょっとマイナーなところだと咀嚼音とか
長い地下生活で飽きないように、幅広い品ぞろえを用意してるよ。

それに、言ってくれたら今回みたいに生耳かきもしてあげよう。
まあ、こっちは少しばかり値が張るけどね。

……ああ、そうだ。一応お金を貯めると一日外出権も買えるんだけど
そこまで貯められた人は見たことがないな。
(耳元で) いやあ、なんでだろうねえ。不思議だなあ。


(耳かき終了)


(耳ふー)
はい、これでおしまいだよ。

じゃあ、明日から一緒に台本書きとして頑張ろうじゃないか。
(耳元で) 今後も末永くよろしくね、新入りくん？

・台本（ゆるボイ！）
ボクっ娘班長の地下労働施設耳かき
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
あまに