オッス！俺、息吹（いきふき）カケル！
待望の学園生活がスタート！……と思ったら
早くもテストで赤点続き！？
なんでだよ先生！俺の耳かきは最高のはずだ！
こうなったら、耳かきバトルではっきりさせてやるぜ！

先生：
オーノー！
カケルくん！また赤点デース！

カケル：
赤点！？
先生、俺の耳かきのどこがダメだって言うんだよ！

先生：
いつも言ってマースが、カケルくんは力をいれすぎデース！
そんなに強くしたら、耳が削れてしまいマース！
アト～声も少し大きすぎマースね～？
それに比べてトオルくんはマーヴェラス！
基本に忠実ながらもハイクオリティな耳かきでしタ！

カケル：
……納得いかねえ！
俺の耳かきは最高のはずだ！

先生：
ンー！若いってとても素晴らシイ。
バーット、時には間違いを認めることも重要デース。

カケル：
うるせえ！
先生、俺と耳かきバトルしろ！
どっちが正しいか証明してやる！

先生：
（急に真面目な口調になる）
……やれやれ、これも教育、かしら。

カケル：
……先生？

先生：
……熱意があるのはいいことね。
でもそれだけじゃどうにもならないこともあるって、私が教えてあげるわ。
……トオルくん？あなたは公認審判員の資格を持っていたわね？
私とカケルくんのどちらが耳かきが上手いか、判定してくれる？

カケル：
のぞむところだ！先生だからって容赦しないぜ！

先生：
いくわよ！
ルールはスタンダード、ショートバトル！

カケル：
スタンダード、ショートバトル！

（コオォォォォ！！）

先生・カケル：
耳かきバトル、オン！


（カケル、強めのゴリゴリ耳かき）
（先生、優しめの耳かき）

先生：
トオルくん、耳ふーされながらの耳かきは、お好きかしら？

カケル：
な、耳ふーだと！ズルいぞ先生！

先生：
カケルくん、これは真剣勝負なのよ。
使える道具はすべて使う。
それに、耳ふーも耳かきの一部。
私はルール違反は全くしていないわ。
そうよね、トオルくん？

カケル：
くっ、俺はぶれたりしねえ！この耳かき一本で勝ってやるぜ！


（しばらく耳かき）


先生：
終了！

カケル：
トオル！俺の勝ちだよな！

先生：
トオルくん！判定は……！？

カケル：
トオル……？

（先生の方に手を挙げる）

カケル：
……なっ！

先生：
トオルくん、公平なジャッジをありがとう……
これもカケルくんの未来のため……

（スッと元の口調に戻る）

先生：
……と、言うワ～ケで、耳かきバトルは私のヴィクトリーデース！
でもでも、耳かきが好きという気持ちはブリリアント！
その気持ち、決して忘れないでくださいネー！
ではではー！シーユーアゲイン！

（去っていく）


以下カケル：

そっか……情熱だけじゃ……ダメなんだな……
ごめん、トオル……俺、勘違いしてた……

……もう一回、耳かきしてもいいか？
今度は……優しくするから……

（少しの沈黙、トオル、うなずく）



（耳元で吐息交じりで）
そ、その、こんな感じか？
なんか……耳元でしゃべるの……恥ずかしいな……
じゃあ、耳かき棒、入れるぞ。
優しく、だよな……


（耳かき開始）


……どうだ？上手く出来てるか？
そ、そうか？えへへ……良かった。

なんか、力を入れないって、落ち着かないけど……
これが、いいんだもんな……
うん、なら、俺頑張ってみるよ。

……そうだよな、強くするだけが愛情じゃない。
相手を思ってするのが耳かきなんだ。
こうやって、優しく……
カリ……カリ……

（耳ふー）ふー

……！今、俺、何を……！？
……そうだ
耳ふーだ……
かあさんが言ってた……


（回想）

お母さん：
この子はカケル。
息吹（いきふき）カケル。
世界一耳ふーが上手くなりますようにって。
そう願って付けたの。
……ふふ、きっとなるわよ。だって、私とあなたの子だもの。


カケル：
……トオル、もう一度、いいか？
（震える唇で耳ふー）……ふー
……出来た
俺にも耳ふーが、出来た……


（耳かき終了）





（カラスの鳴き声）


……今日は付き合ってくれて、ありがとな、トオル。

（沈黙）

……なあ、トオル。
……俺、もっと耳かきが上手くなりたい。
教えてくれ。どうやったら上手くなれるのか。

……当たり前だろ？
だって俺は……
世界一の耳かき師になるんだ。

・台本（ゆるボイ！）
対決！耳かき教師！情熱のその先へ！
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
あまに