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わたしはキミを選びたい
written by 雨竜三斗
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公開日2024年02月22日 20:04 更新日2024年02月22日 20:04
文字数
4622文字(約 15分25秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
クラスメイトの女の子
視聴者役柄
『選ばれない』ことで弱ってしまった男の子
場所
放課後の教室
あらすじ
『選ばれない』ことで弱ってしまったひとに、寄り添うこと『選ぶ』女の子のシチュボ台本です。
放課後の教室で『キミ』はひとり泣いていました。忘れ物を取りに来たクラスメイトの女の子は『キミ』を見つけて声をかけてくれます。選ばれないことの辛さに塞ぎ込んでしまった『キミ』に、女の子はそばにいたいと言って……。
本編
(場所:放課後の教室、夕日が眩しいほど入っている)
(位置:正面、少し上、中距離)
(SE:教室のドアが開く音)

ねぇ、そろそろ完全下校の時間だけど、
ひとりぼっちで教室にいるなんて、どうしたの?

机に伏せてるけど、調子悪くて動けない?
保健室の先生呼ぼうか?

違う? もしかして泣いてる。

違う? 本当に?
じゃあ、なんで? 答えてくれないとわからないよ。

(SE:教室のイスが動く音)
(位置:正面、少し上、近い)

気にするななんて言わないの。
そりゃ……わたしは部活帰りに、
忘れ物のタオルを取りに来ただけの、
通りすがりのクラスメイトだよ。

他人になっちゃうけど、
誰かが辛そうにしてるんだから、
わたしは見て見ぬふりできない。

(10秒ほど、近づいて様子を見る息遣い)
本当は泣いてたね。
隠さないでいいよ。誰にも言ったりしないから。

涙声だったとか、肩が震えてたとか、
見聞きしてわかったんじゃなくて、
こういうのは雰囲気でわかるよ。

よければ話してほしいな。
そりゃ、キミとちゃんと話をするのは
これが初めてだけどさ。

今のキミはあまりに心配すぎるよ。
そんなふうになっちゃうほどつらいなら、
解決するしないに関わらず、
誰かに話したほうがいい。
わたしはそう思うな。

(10秒ほど、心配する息遣い)

わたしに顔を見られるのが恥ずかしいなら、
そのまま話をしてほしいな。
ちゃんと耳をすませて、聞いてあげる。

ふむふむ……ふむふむ……。

キミはそういうことをしてたんだ……。
わたしはキミのがんばってることに詳しくないけど、
大変な目標なのはわかるよ。

(10秒ほど浅めの息遣い)

わたし、本当に君のこと知らなかった……。
ごめんね、無関心ってあまりよくないよね。

わたしとキミはクラスメイトだったのに、
何も知らなかった。

自分のしてること、
誰かにちゃんと話したのは初めて?

そっか、キミにはごめんなさいだけど、
わたしはちょっとうれしいかも。

だって、わたしにちゃんと話してくれたってことは、
わたしのこと選んでくれたってことだよ。

選んでもらえるのはうれしいこと。
わたしもスポーツやってるからわかるかも。
エンジョイ勢だけど。

あ、ごめんね。今はわたしのことじゃなくて、
キミのことを聞かなきゃ。
続き、話してほしい。

(10秒ほど優しい息遣い)

えっ、な、なんで泣いちゃうの?
わたし、悪いこと言っちゃった。
ごめんね、ごめんね、
なにが悪かったか言ってほしいよ……。

(10秒ほど優しい息遣い)

つらくて話せないんだね。
いいよ。
そのかわり、そばにいさせて。

キミがせめて顔をあげられるまで、
見守らせてほしいな。

2:頭なでなで

(10秒ほど優しい息遣い)
あ、ちょっと目、見せてくれた。
わたしが本当にいるのか
気になっちゃったんだ?

もちろん、ここにいるよ。

そうだ、頭なでなでしていい?
キミに触れてたら、わたしがいるってわかるでしょ?

つらいつらいなっちゃうくらい、
いっぱいいっぱいがんばってるキミを
ねぎらいたいの。

キミが努力をしていることは、
詳しくないわたしにも想像できるから。
その分はほめてあげたい。

泣いちゃった理由は
まだ話してくれなくていいから、
キミのがんばりをわたしに認めさせて。

ありがとう。それじゃ頭、失礼するね。
なでなで……なでなで……。

キミはいっぱいがんばってる。
それは間違ってない、確かなことだよ。

どのくらいとか、誰かと比べてなんていいの。
キミががんばってることは、否定できないこと。

(10秒ほど優しい息遣い)

もしもだよ。もしもの話。
誰かが『お前はがんばってない』
なんて言ってきたら、

ぎゅ……。
(両手で『キミ』の両耳を塞ぐ 続ける)

こうして耳をふさいでいいの。
がんばりを続けたり、
がんばりを増やしたり、
誰かの言うことを聞くのは大事だけど、
キミのがんばりを認めない言葉はないないだよ。

あ、幼稚な言い方だったかも。

(両耳塞ぎここまで)

……いいの?
うれしかった?

(安心した大きなため息とともに)
ちょっと元気になってくれたんだ。

ならわたしも声をかけて
よかったって思えるよ。

(10秒ほど優しい息遣い)

なでてくれたら、続き話してくれる?
なでなでほしい?
それでよければいくらでも。

いいこいいこ……キミはいいこだよ……。
きっとみんなが認めるすごいひとになるよ。

おりこうさん……おりこうさん……。

えっ?

選んでもらえない?
選ばれないことを誰も残念に思ってくれない?

なにがあったの?
なでなで続けるからお話して?

ぜったい大したことなくないよ。
誰かにとっては些細なことでも、
キミにとってはおおごとってことあるもん。
それを聞かせてほしいの。

(10秒ほど優しい息遣い)

うん……、
うちの学校、スポーツにちからを入れてるもんね。
どの部活だったかは覚えてないけど、
選抜に選ばれなかったみたいな話だね。
学校内どころか、県内ニュースにもなってたから。
残念――

(『キミ』の言いたいことに気がついて、言葉を止める。息も止まる)

――あ、そっか。
たった一回選抜に選ばれなかっただけで
あんなに残念がってもらえるのに、
キミは残念がってもらえないって
悲しくなっちゃったんだ。

……『選んでもらえない』ことが
いっぱいあったんだ。
ずっとがんばってるのに、
選んでもらえないことが続いてるんだ。

ううん、情けなくないよ。
キミは嫉妬しちゃったことが
情けないって思ったかもしれないけど、
嫉妬しちゃうのは誰だってあることだよ。

いっぱいいっぱいがんばって、
うまくいってれば嫉妬なんてしないのにね。

がんばってる疲れがでちゃったり、
誰にも話したくなくて抱え込んじゃったり、
お外の話題に嫉妬しちゃったり、
うまくいかなくて焦ったり、
いろんな感情が頭の中でぐちゃぐちゃ~ってして、
ここで溢れちゃったんだ……。

くすっ……、ごめんね。
ちょっとタオル取る。

(10秒ほど、タオルに顔を埋めて泣く声)

なんで泣いてるのって、
キミと同じだよ。

すっ……キミの気持ち、わかってきたから。
つらくてもいっぱいがんばってたすごいひとが、
こんなに近くにいたなんて知らなくて……。

わたしは本気でスポーツしてなくて、
なのに偉そうなことばっかり言っちゃった……。

ごめんね、ごめんね……。

(『キミ』の頭を抱くので、声が少しこもる。トラック終わりまで続ける)
ぎゅ……。

3:キミを選びたい

(すすり泣く声フェードイン、だんだん泣き止む)
(声がこもるのここまで。『キミ』の頭から離れる)
(位置:正面 『キミ』は顔を上げる)
キミがわたしのこと心配そうに見てる……。

ごめんね、キミのこと元気にしようとしたのに、
わたしがこんなになっちゃった。

ぎゅってされて、苦しくなかった?
心が苦しいのに、体も苦しくしちゃったらよくないのに。

うれしかった……?

えへへ、ありがと。
お世辞でもうれしいよ。

それに、やっと顔を上げてくれたね。
ずっと泣いてたから顔がぬれぬれ……。

タオルで拭いてあげる。
わたしの涙で濡れちゃってるとイヤかな?

自分の涙で汚すのは気が引けるって思った?
キミががんばって流した涙を拭けるんだから、
むしろ光栄だよ。

はい、顔拭くよ。

(SE:タオルで顔を拭く、続ける)

わしゃわしゃわしゃ……。

なんだか気持ちよさそう。
ふきふき……ふきふき……。

お世話させちゃってるとか思わなくていいよ。

いつもがんばってるんだから、
これくらいのご褒美は当然。
足りないくらいだよ。

(10秒ほど優しい息遣い)

えっ、また泣いちゃってる。

(SE止め:タオルで顔を拭く、ここまで)

なにか思い出しちゃったの?

(5秒くらい心配な息遣い)

うれしくて泣いちゃった……?
いいよ、もっと泣いて……。
でも体がたいへんかも。

わたしのタオルに顔を埋めて、
また机に伏せたら楽かな?

いいのいいの。
いろんな気持ちで、
ぐちゃぐちゃ~ってしてるんだから、
体も疲れちゃってると思う。

このままじゃ帰れなくなっちゃうから、
せめて体は休めないと。

(位置:正面 やや上 『キミ』は顔を伏せる)

汗かいちゃってるね。
わたしが拭いてあげる。
そのまま顔を伏せてていいよ。

タオルの横だけ貸して。
(SE:タオルで両耳、耳周りを拭く、続ける)

すりすり……すりすり……。

耳まで真っ赤……。
いっぱいいっぱい泣いてたんだ……。

(泣きそうになるのをこらえる)
すぅ……ひく……。

ううん、泣かない。
本当に泣きたいのはキミだもん。

それに今わたしが泣いちゃったら、
涙を拭くタオルがないし、
がまんがまん。

本当に大丈夫だよ。
むしろ強がらせてよ。

なでなで……なでなで……。

キミはこんなときでも、
わたしに気をつかってくれるんだ。
優しいね。

自分のことでいっぱいいっぱいなのに、
近くで泣きそうなわたしの心配してくれる。

キミのことほめたいな。

いいこ……いいこ……。
(SE:タオルの音ここまで)

汗拭けたよ。
少しでもすっきりしてくれたらうれしいな。

(SE:『キミ』の髪に触る音、短く。『キミ』の頭を軽く押させる)

ねぇ、タオルじゃなくて、
わたしの手でなでなでしていい?

したくなっちゃったんだ。
キミがステキな子だってわかったから。

えらいえらい……えらいえらい……。

(顔を近づけて吸う)

ん~……、がんばりやさんのにおい……。
くさくないかって?
いいにおいだよ。
わたしもがんばらないとって思うくらい、
元気とやる気をもらっちゃう。

(10秒ほど、彼のにおいを味わう息遣い)
(愛おしいため息)
ふぅ……。
今度は苦しくしないから、
またぎゅってしていい?

もちろん、ぎゅってして頭なでなでするよ。
いくらほめても足りないの。

ううん、わたしがしたいの。
多分、わたし、キミのこと好きになっちゃった。

あっ、今は顔をあげないで。
わたしもいろんな気持ちでいっぱいいっぱいなの。

そんなで顔を見られたら、
またわたしが泣いちゃう……。

キミが顔をあげられないように、
ぎゅ……。
(声が少しこもる。『キミ』の頭を抱きかかえる。続ける)

むぎゅむぎゅ……ぎゅ~っ……。

よしよし……よしよし……。
同じクラスにこんなステキな子がいたなんて、
本当に思わなかったなぁ。

もっと早く知れたら……、キミのこと、
ひとりで泣かせないようにできたかもしれないし、
わたしも幸せだったかもしれないのになぁ……。
すきすき……しゅきしゅき……。

自分でいいのかなんて思わないで。
わたしはキミがいいって決めたの。
キミのこと選んだの。

がんばっても選ばれないとか、
選ばれないことを残念がってくれないとか、
そんなの思わないくらい、
わたしに選ばれたことがうれしくなるように、
わたしがいっぱいいっぱい、
い~っぱい選んであげる。

がんばりやさん部門でも、
おりこうさん部門でも、
いい匂いがする子部門でも、
優しい子部門でも、
かわいい子部門でも、
どんなとこでも、わたしが審査員になって、
キミが一等賞、金賞、最優秀賞、特別賞、独り占め。

だから……キミもわたしのこと選んで……。

(『キミ』の頭を離す。声がこもるのここまで)
(位置:正面 『キミ』は顔を上げる)

あっ、ごめんね、
今いっぱいいっぱいなのに、
勢いで告白なんてされたら、
余計に混乱させちゃう……。

こ、告白は聞かなかったことにしていい……よ?

いい?
自分が選んだ相手だから、
そばにいてほしい?

本当にいいの?
採点と審査にもっと時間使ったほうがいいんじゃないかな?

選考理由は、
選んでくれたことがうれしかった……。

(10秒ほど、キュンとした息遣い)

そうだね。
選んでもらえるのはうれしいこと、
わたしが言ったことだったね。

うん、ウソつかないよ。

(照れくさくてワタワタする)
こんな時間になっちゃった……。
帰れる?

途中まででもいいから、
隣にいてくれたら帰れそう?
うん、隣にいるだけじゃなくて、
手も繋いでいっしょに歩こう。

ぎゅ……。

これからはわたしがいるよ。

どんなときも、わたしはキミを選ぶよ。

だからキミもわたしのこと選んでね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
わたしはキミを選びたい
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
雨竜三斗
ライター情報
女の子の声でイチャイチャ、甘々、癒やされたりするシチュエーションボイス台本を書きます。
演じても聞いても読んでもニヤニヤ、テレテレ、すやすやしていただければ幸いです。
台本随筆以外では、小説投稿サイトへの小説投稿、同人活動をしております。いずれもジャンルは恋愛ものです。
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