デートの最中、キミと歩いていると、急に彼女は『缶コーヒーが飲みたい』とつぶやきました。どうしてか聞くと彼女は『缶コーヒーとかっこいいキミ』について話をしてくれます……。

（場所：３月上旬頃、通りがかりの公園）

（ふっと思いついて）
あ、缶コーヒー飲みたい。

（気軽な声で）
ううん、デートなのに用事を思い出したりとか、
忘れ物を思い出したとかじゃないよ。
ただ、そこの公園にある自動販売機を見て、
あたたか～いコーヒーがほしくなったり、
手を暖めたかったり、

（少し照れくさそうな声で）
キミが缶コーヒーを飲んでる姿を思い出したり。
それだけ。

（いたずらな声で）
不思議そうな顔してる。
缶コーヒー飲んでる自分がどんなか自覚ないんだね。

（少し照れくさそうな声で）
ほら、缶コーヒーのＣＭって
ザ・大人な感じのが多いよね？
同じ感じで缶コーヒーを飲むキミも、
勇ましく見えたから……。

（照れくさい声で）
ちょっと大げさな言い方だったね。
しかも遠回し。
つまり、キミとあたたか～い缶コーヒーが飲みたいだけ♪

（嬉しい声で）
ありがと。
お礼を言われるようなことじゃない？
いいの言わせて言わせて。

（懐かしいと思ってる声で、歩きながら）
今思い返してみたら、
キミのこと意識し始めたのは、
缶コーヒーがきっかけだったのかも。
わたしはいっつも缶コーヒー飲むキミを見てたから。

（照れくさい声で）
いつって？
ホントにいっつも♪
わたしはキミのこと、
キミが思った以上に見てるよ♡

（誇らしげな声で）
キミが好きな銘柄は、こ・れ♪
エメラルドマウンテン。
山の名前じゃなくて豆の種類なんだよね。
ちゃんと調べなかったら
「エメラルドマウンテンってどこ？」
なんて聞いちゃったかも。

（自動販売機からコーヒーを買う）
（楽しそうな声で。缶コーヒーをキミに差し出しながら）
はい、キミの分♪
わたしもこれにするよ。

（自動販売機からもう一缶コーヒーを買う）
お金？　いいのいいの。
まだまだわたしたち付き合いたてで、
手をつなぐのもぎこちないけど、
些細なこと気にする関係じゃなくなろうよ。

（照れくさい声で）
かっこいいキミがどうしても気にしちゃうなら、
お代として、わたしのお話聞いてほしいな？
（キミが頷く）
えへへ。実はわたしひとりのときに、
キミのマネしてみたんだ。
（思い出にふける声で）
ひとり、寒空の下の公園で……、
エメラルドマウンテンを……、
静かに飲む……。

（かっこつけたポーズをとりながら）
こんなふうにね。
ずずずっ……。

（笑いながら）
そんなにかっこつけてないって？
じゃあやってみてよ。

（ねだる声で）
わたしが見てないと思って、
キミはひとり、寒空の下の公園で……、
エメラルドマウンテンを……、
静かに飲む……。

（キミがかっこつけたポーズで缶コーヒーを飲む）
（ときめく声で）
……ほら、かっこいい♡

（きょとんとした声で）
わたしもかっこよくなりたいのかって？

（恥ずかしい声で）
ううん、わたしはキミのこと知りたかったの。
好きなひとのこと知るには、
同じことするのが早いでしょ？
それくらいキミのこと見てたんだ……。

（照れくさくてもじもじしながら）
えへへ、顔と体が
あたたか～くなってきちゃった。
キミも？　おあいこだね♪
ずずず……。

（ふたりともコーヒーを飲み干す）
（楽しい声で）
うん、行こっか。
飲み終えた缶はちゃーんとゴミ箱にっ♪

（照れくさい声で）
顔も体もあたたか～くなったけど、
手はまだ冷たいね。

（ねだる声で）
手、つないでくれる？
缶コーヒーの熱が逃げないうちに、
あたたか～くしながら歩こっ♪

（ときめく声で）
ぎゅっ♡
キミの手、あたたか～くて、かっこいい♡

・台本（ゆるボイ！）
缶コーヒーとかっこいいキミ
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
雨竜三斗