ゾンビになった幼馴染の女の子に、身体の縫合を頼まれた貴方。彼女からのいつもの頼み事を当たり前のように受け入れるが、貴方はふと、とある疑問を口にしてしまう。それを聞いた彼女は、自身の胸の内に秘めた感情を徐々に露わにしていって…？

ねぇ〜…腕、取れちゃったから縫合して？自分じゃ、あんま上手くできなくてさー。


いや、ちょっとね…前に自分で縫った部分なんだけど、縫い方が甘かったみたいでさー、玄関の扉開けようとしたら、ポロンって…


ありがと〜。君が手先器用で助かった〜。ほら、これがアタシの腕。これを肩部分に接合して？


(腕をつけてもらう)


お、良い感じ。振り回しても全然取れなそうだね。


はいはい、今後は気をつけますって。でもまた取れたら、そん時はよろしくね？えーっと、他に取れそうなとこは〜…胸の部分とか？


……あ、バレた？おっぱい取ったら、どんな反応するかなーって、ちょっと気になって…へへ…


え〜？そこは仕方ないじゃん。ゾンビなんだし、身体が脆いのはお約束でしょ〜？


てかさ〜、君もよく受け入れてくれたよね、アタシのこと。こんな動いてるだけの死体をよくもまぁ、人として扱えるよねー。


…ッ、そ、そぅ…ありがと。いつまでも幼馴染、か…そうだったらいいな…


…へ？あ、あぁ、アンタそれ、本気で信じてんの？流石にそれは映画ん中だけの話であって、現実にはないから。あんなの、どう考えてもフィクションだから。リアルのゾンビなんて、ただの動く死体だし。


大体、噛まれるだけでゾンビになるって何？ゾンビ自体が感染症の感染源みたいじゃん。そんな感染症はリアルでは確認されてませーん。


そうそう。確認はされてない…けど、実際噛んでみたら、噛まれた人はどうなんだろね？試してみる？


(顔を至近距離に近づける)


アタシ、死体だからさ…アンタの匂いも体温も何も感じられないし、自分の姿形も一生このまま…つまり、この先年老いてくアンタを見てることしかできない…実はちょっと寂しく思ってたんだよね〜…


(抱き込む)


ね…もし、アタシと同じ存在になれる可能性があるなら、それに賭けてみない？アタシはこの先一人取り残されるのは嫌だな…アタシの理解者なんて、アンタくらいだし。


……身体、震えてんね。死ぬの、怖い？


あはは…正直で結構。でも、そっか…やっぱ死ぬのは怖いかぁ…一回死んでるから、分からなくもないけど、大丈夫だって。アンタにはアタシがいる。アタシさえいれば、それで十分でしょ？


アタシの理解者がアンタ一人であるように、アンタの理解者もアタシ一人で十分…少なくとも、アタシはそう思ってるよ。


(抱きしめる力を強める)


アンタのことは手放したくないなぁ…ずーっと、手元に置いておきたい…今、ここで殺してでも。


ふふ…冗談だよ、一割くらい。そこまでビビんなくていいんじゃない？


それにさ…まだ分かんないじゃん？ゾンビに噛まれた人が同じようにゾンビになれるかどうかなんてさ…ちょっとした実験だよ、実験。普通に試してみる価値はあると思うけどなー。


(離れようとする彼を無理やり胸元に抱き込む)


ダーメ…離れようとすんな。おっぱい、貸してやるから…ね？


くっ、ふふ…！単純だね、アンタって。ちょっと胸元に抱き込んだだけで、抵抗する力弱めてさ…アタシの仲間になることに合意したって解釈するけど、オケ？


いいよ、勿論…好き勝手に抱きまくれば？どうせ感覚ないし、何されても何も感じないから。まぁ、冷静に考えて、死体の女抱いてる男って、普通にヤバいけど。


(押し倒される)


…ッ！押し倒すってことは、本気なんだ…死体相手に欲情するとか、マジもんの変態だね。救いようがないから、後で思いっきり噛んであげるね？


はは…そりゃどーも。アタシも女として捨てたもんじゃないってことね。


ん……それじゃあ、アンタも一緒に死んでもらおうかな…？

・台本（ゆるボイ！）
【依存】ゾンビな幼馴染からの心中提案
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
松平蒼太郎