優しくて穏やかな彼氏だが、彼女を部屋に招いた途端その態度は豹変してしまう。

※フリー台本です。アレンジ自由、使用自由です。書き手の「呂綺」の名前だけ、どこかに記載してもらえたら嬉しいです。


【二人でデートの帰り道】

（優しく穏やかな口調で）
美味しかったですね、あのお店。
でもまさかコース料理の最後に、あんな大きなアイスクリームが出てくるなんて思ってませんでしたよ。

君もびっくりしてましたよね？はは。
でも楽しかったなぁ。
君と一緒に過ごしていると、本当に楽しいです。

こうやって一緒に歩きながら、食事の感想を言ったりしているだけで、僕は心が弾んじゃうんですよねー。
まだ付き合い始めて一週間ですが、もうずっと一緒にいたみたいに、君となら自然に接する事ができるんですよ、僕。


【二人は共に歩きつつ、彼は腕時計で時間を確認する。】


あ、いけない。
君は明日も仕事でしたね？
それなのにこんなに遅くまで引き留めてしまいました。
すぐに自宅まで送りましょう。

ん？
どうしました？
僕の腕を掴んで立ち止まるなんて。


【彼女は恥ずかしそうに彼を見つめている。
そしてポツリと「帰りたくない」とつぶやいた】


「帰りたくない」……と聞こえたのですが
僕の聞き間違いじゃないですよね？


【しばらく無言の時間】


否定しないって事は、そうなんですよね。
……本当に、帰りたくないって……思ってくれているんですか？


【彼女は俯いたまま、首を縦に振る。】


（大きなため息をついた後）分かりました。
実は、僕もまだ君と一緒にいたいと思ってたんです。
だから、もしよかったら僕の部屋に遊びに来ませんか？
あ……でも


【彼は何かを言いかけて言葉を止める。
だがその後、続きを真剣に告げた】


僕も男ですから、二人きりで部屋にいると……その、
理性的ではいられなくなるかもしれません。
それでも大丈夫ですか？
今ならまだ、家に送るっていう選択肢も選べますよ？


【「今日はあなたと一緒にいたいです」】


……それでも、僕とまだ一緒にいたいと言ってくれるんですね。
分かりました、じゃあ、行きましょうか？


＊＊＊


どうぞ、あがって？
男の一人暮らしですから、かなり殺風景な部屋ですが。


【彼の部屋に入り、靴をついで上がる。すると彼は大きく深呼吸して、スイッチを切り替えていく】


なぁ、来いよ。


【彼はいきなり彼女の腕を掴んで引き寄せ、後ろから強く抱き締めた】
　

（クスクス笑いながら）びっくりした？
まさか部屋に入った途端、いきなり抱き締められるとは思って無かっただろ？
はは。
あのさぁ、油断し過ぎ。
部屋に入るって事はさ、もう何されても文句は言えないんだよ？
しかも俺はちゃーんと確認をとったよな？

（耳元で）理性的ではいられなくなるって

あっ、コラコラ俺の腕から逃げんなよ。
だーめ、ほらまた捕まえた。

【彼女の体を壁に押し付け、両手で挟むように壁に手を当て、顔を近づけていく彼】

これってさ、壁ドンって言うんだっけ？
女ってさ、こういうの好きなんだろ？
どう？ドキドキする？
はは、なんだよ、顔真っ赤じゃねーか。

ん？何？
あーいつもの丁寧な敬語を使う俺とは、全然違うって？
そりゃそうだろ、あれが俺の外面だもん。
ああそっか、あの俺だったら部屋に来ても優しーく丁寧にお前を扱ってくれると思ってたんだ？
期待はずれだったな。
でもさ、さっきからずーっと顔赤いぞ？
本当は、こんな風に強引に迫られるの、好きだったりするんじゃねーの？

はは、その顔は図星かぁ。
（耳元で）……可愛いね？

本当は、こんな俺の本性を見せるのはまだ先にしようと思ってたんだよなぁ。
それなのにさぁ、お前が「帰りたくない」なんて言うから、理性が吹っ飛んじまったじゃん。

ん？やっぱり帰りたいって？
いやいやいや、よく考えろよ。
ここまで来て、帰す訳がないよなぁ？
（圧力をかけるように）そのくらい、分かるよなぁ？

それにここに来たのはお前自身の意思だろ。

（ゆっくり威圧的に）だから諦めて、大人しく俺に食われてろよ。な？

だってお前は、俺の……可愛い可愛い彼女じゃねぇか。

end

・台本（ゆるボイ！）
「帰りたくない」が彼を挑発するｰ豹変型彼氏ｰ
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
呂綺