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家出少年と失恋したあなたの過ちの夜【前編】
written by 夜木嵩
  • ショタ
  • 家出
  • 慰め
公開日2022年03月16日 18:00 更新日2022年03月16日 17:22
文字数
2549文字(約 8分30秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
ショタ
視聴者役柄
失恋女子
場所
夜道→女宅
あらすじ
ある夜、道端に佇む家出少年を見たあなたは、少年を家に泊めることにする。
一見純粋そうな少年だが、あなたが失恋から抜け出せずにいることを知ると……

後編はこちら→台本へのリンク
本編
 (街の喧騒)

はい、お姉さんがボクに、何の用ですか?

確かに、もうこんな時間ですけど……

家に帰るわけにもいかないんです……
ちょっと、家族といろいろあったもので。

今夜は、どこかホテルにでも泊まろうかと思います。
一泊程度ならお金、あるはずですから、お姉さんの家だなんてわざわざ迷惑かけられませんよ。

足りないって、そんな、だ、大丈夫です!
それに、これはボクの問題なんですから。

 (女、少年のリュックを取る)

あ、ボクのリュック!

ちょっと、中身見てどうしたんですか。
ボクごときにお節介が過ぎますよ。

え、財布ですか?
あ、あはは、お姉さんみたいな人には隠し切れませんね。

そうです。無一文です。

さっきのは嘘ですよ。
だって、お姉さんに迷惑かけたくなかったので。

あーあ、お姉さんの誘い、断る口実なくなっちゃいました。
全く、お姉さんはどうしようもなく優しい人ですね。

で、ですが、お姉さんの生活を阻害するようでしたら、ボク、遠慮なく出て行きますから。

大丈夫ですか?
彼氏とかいたらボク、完全に邪魔者ですけど。

んふっ、お姉さん、それ、胸張って言えることなんですか?

そうですか。
安心して泊まっていいってことなんですか。

なんだかお姉さん、面白い人ですね。
そういうところ、嫌いじゃないです。

では、お言葉に甘えることにします。
今夜は失礼させていただきますね。

いえ、ほとぼりが冷めるまでだなんて、何日もずっとお姉さんの家に居座るわけには……

正直じゃないって、お姉さんこそこんな見知らぬボクのこと泊めるの、優しさがそうしてるというだけで本当は嫌なんじゃないですか?

そ、そうですか……
正直な子供の方が、可愛い……ですか……
正直な方が……

いえ、何でもないです。
お姉さん、しばらくお世話になるかもしれません。

わかりやすい笑顔ですね。
お姉さんだって正直な方が可愛いみたいですよ?

え、手ですか?
なんか、繋いだらボクが弟みたいですが……

……いいですよ。

 (手、握る)

手、冷たいですね。
母を……思い出します。

……いえ、なんでもないです。

 (家へ)

ここが、お姉さんの家なんですね。
お邪魔します。

無理ですよ。
さっき知り合ったばかりのお姉さんの家を自分の家だと思えだなんて。
それに、こんな立派なマンションの部屋だなんてボクには緊張してしまいます。

あっ、強引に手を引っ張るのは反則ですっ!

それにしても、お家、綺麗ですね。
ますますボクの場違い感が拭えないのですが……

慣れ、ですか……
そもそもボクはこの部屋に慣れるほど何日も居座るつもりはないですからね?

って、そんな悲しい顔で見ないでください。
不思議な人ですね……

しかし、お洒落な部屋はボクも好きですよ。
ほら、この写真立てとか……

お姉さん、これ、彼氏ですか?
だって、ベッドのそばにある若い男女のツーショット、これをカップル以外の何かと言うには無理があると思うのですが。

なんですか、お姉さんこそ嘘ついてたじゃないですか。

 (女、涙する)

どうしたんですか、お、お姉さん?

あ……す、すみません。
ボク、そういうデリカシーがないものでつい……

大丈夫って、今度こそ嘘つきましたね。
その遠慮した顔、ボクに隠せると思わないでください。

言ったじゃないですか、お姉さんだって正直な方が可愛いですって。

 (女、少年を抱き締める)

ひゃっ、お姉さん、ボク抱き締められる準備できてないんですけどっ!?

そういうひとなんですね。
お姉さんが求めるのなら、ボクも受け入れてあげますよ。

なで、なで、今のお姉さんは、ボクより子供なんですから。
でも、それが可愛いんですけどね?

い、いえ、口説いてるわけじゃないです。
ただ、こんなにも女性を近くに感じたことなんてないですから、ちょっとクラクラしそうですけど……
それにお姉さん、可愛いですし。

んふふっ、お姉さんがボクのことを強引にでも止めようとした理由、なんとなくわかりました。
ある意味ボクは道具なんですね。

ちょっと、嫉妬してます。
こうしてボクの胸を借りておきながら、その中では違う男のことを考えてるだなんて、ボクがただの家出少年でよかったですね。

ですが、なんででしょうか。
ボクの心、お姉さんにモヤモヤさせられているんです。
お姉さんには笑っていてほしいというか……
ボクを求めたということを意識しすぎて、お姉さんの悲しみに責任を感じてしまうというか……

お姉さん、なんだかボクみたいなんです。

はっきりと理由を言えるわけではありませんが、なんとなく、でも強く直感がそう言っているんです。
お姉さんとボクが、同じ人間だっていうことを。

……お姉さん。
過去なんて、忘れてしまえばいいんです。
後悔したって、叶えられない理想でしかないんですから。

……なーんて言っても、忘れられないからずっと苦しみ続けるんですけどね?

 (囁き)
だから、お姉さんの頭、全部ボクで染めてあげます。
お姉さんの過去がどうでもよくなるくらい、この一夜に溺れされてあげます。

お姉さん、驚いてますね。
だけど、そんなに嫌がってなさそう……

ダメじゃないですか、ちょっと誘いの言葉囁かれたらこんなボクにも靡いちゃうなんて。
お姉さんの抱えているものは相当みたいですね。

でも大丈夫です。
全部、ボクに任せてください。

いえ、ボクなんてただの子供ですけど……
それでも、一人の男として女性を幸せにすることは使命だと思ってますから。

それにお姉さん、さっきの囁きの時、完全にボクのことを男として見てましたよね?
本当は、ボクにでも気を紛らわせてほしいほど心、弱ってるんですよね?

いいんですよ。
正直な方がお姉さんは可愛いんですから。

それに、これはボクなりの恩返しです。
お姉さんが今夜路頭に迷うはずのボクを家に泊めてくれたお節介のように、ボクも独りで満たされないお姉さんのこと、幸せにしてあげたいんです。

ちゃんと、本気の気持ちで愛してあげますから。

お姉さんの迷いは、何に対するものなんですか?
相手がボクであること?
元カレへの未練?

……それとも、慰めなんかで抱かれたくないってことですか?

お姉さん。
残酷な現実を教えてあげます。
男は優しさだけで女性を愛すことなんてできないんです。

例えば、ボクがお姉さんの孤独を忘れさせてあげると言葉にする裏で、お姉さんの可愛さに興奮してしまっているように。

ボクだって、男なんです。
もう、お姉さんの迷う理由はないですよね。

ええ、もちろんです。
愛してますよ、お姉さん。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
家出少年と失恋したあなたの過ちの夜【前編】
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
夜木嵩
ライター情報
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