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私とあなたは会ったことなどありませんよ? 既視感の正体
written by 泣きんぎょ
  • 学校/学園
  • 甘々
  • 同級生
  • ヤンデレ
  • 清楚
  • 歴史
公開日2021年06月24日 00:16 更新日2021年06月24日 00:16
文字数
4009文字(約 13分22秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
転校生(前世での側室)
視聴者役柄
上様
場所
学園
あらすじ
あらすじ

 あなたのクラスに転校生がやってくる。
 その子は黒髪ロングの大和撫子という形容がぴったりと似合うほどの絶世の美少女だった。
 しかし、あなたはその子の姿にどこか既視感を覚えていた。
 見た覚えがある。
 そんなはずはないのに……彼女のことを知っている気がする。
 そのことを彼女に実際に問いかけてみるも返ってくるのは

私とあなたは会ったことなどありませんよ?

 というばかり……
 しかし、それとは裏腹に彼女の声や仕草は自分のことをよく知っている者のそれだった。
 親しみのある動きだった。
 そのことに疑問を感じつつも日々を過ごしていく中、ある日ついにその正体を見極める。
 それは、膝枕され、その頭越しに陽が差しているのを見たときだった。
本編
本編

「こんにちは、今日から同じ学び舎で勉学に勤しむことになりました。皆様、どうかよろしくお願いいたします」

 少し間を空けて

「……隣の席、ですね? これからよろしくお願いいたします。ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが何卒ご容赦を」

「……あの? どうされましたか? 私の顔をじっと見つめられて?」

「顔に、何か付いていますか?」

「……はい?私と、どこかで会った覚えがある……ですか?」

「ふふ、面白いことをおっしゃいますね? 上さ……コホン、あなたという方は」

「私たちはこれが初対面です」

「私とあなたは会ったことなどありませんよ?」

「ふふ……何やら昔のナンパ文句みたいですね? そういうご本や映画にご興味が?」

「……おや?そうでしたか? どちらかと言えばアニメやゲーム……ふふ、それもいいですね? いつかぜひご一緒しましょう!」

 チャイムの音

「っと、あまり長々とお話している場合ではありませんね?」

「また、お昼休みにでもゆっくりとお話しましょう……」

 小声で

「久方ぶりに……ね」

 少し間を空けて
 チャイムの音

「ふぅ、やっとお昼休みになりましたね。約束通り、一緒にお昼といきましょう」

「……おや?どうされましたか? そのようなお顔をなさって」

「……ふふ、何ですか?社交辞令って? 本気でお誘いしたに決まっているではありませんか?」

「お話しましょう?」

 耳元で

「二人っきりになれる場所に行って、ゆっくりと」

 離れて

「でないと、まともにお話すら出来そうにありませんから、ね?」

 他の人に話しかけられた感じで

「ふふ、あぁ、ごめんなさい。お昼はこの方との先約があるのです。ええ、またの機会にご一緒しましょうね? 私、皆さんと良いお友達になりたいと思っていますから」

「はい、では、また~」

 見送るように口にしてから
 今度は耳元で

「ちなみに、今のが社交辞令ですよ? 先程の方々には秘密、ですけどね?」

 茶目っ気を含ませる感じで言って
 離れて

「では、参りましょう。今日は良いお天気ですから、中庭に行きましょう」

「お昼の準備は出来ていますか? たまにはお外で食べるのもおつなものですよ? ふふ」

 場面転換

「では、いただきます」

「……おや? お昼はそれだけですか?」

「菓子パンが一つだけなど……それでは身体が持たないのではありませんか? 何か理由でも?」

 聞いたことに上品に笑うような感じで
 
「ふふ、ふふふふふふっ……ご、ごめんなさい。おっしゃられたことがあまりにも可笑しかったものですから……ふふっ」

「欲しいものがあるから節約だなどと……欲深いお方ですね? 人の三大欲求は食欲・睡眠欲・性欲であることをご存じないのですか?」

「ふふ、ふふふふふっ♪食欲を優先なさる方がよっぽど健全ですよ?」

「ええ!そうですとも、この私のように、です!」

「重箱で持ってこなければ到底満足できませんからね?」

「ふふ……相変わらず物欲優先なのですね? 本当……あなたという人はお変わりありませんね?」

「……っと、ごめんなさい。口が滑りました。つい、前々から知っているような気になってしまって……気安い口を聞いたことを許してくださいね?」

「ん~……しかし、これでは私が嫌がらせをしているようで気が引けてしまいますね」

「そちらは菓子パン一つで細々と終えるというのに、こちらは重箱を心行くまで堪能するなど……嫌がらせもいいとこです」

「可哀そうなので分けてあげましょう!」

「はい、あ~ん」

 少し待ってから
 不思議そうに

「……どうされましたか? 遠慮されなくても宜しいのですよ? 私が分けると言っているのですから! 遠慮なさらず!」

「警戒などされなくとも、変なものなど入っていませんよ? 戦国の世ではないのですから、今更毒見など必要ないでしょう?」

「それとも……この唐揚げの味付けが信じられませんか?」

「大丈夫です。心配などせずとも、あなたの苦手なものなど入っていないと保証します。私を誰だと思っているのですか?」

「……ええ、初対面のクラスメイトですけど……」

 小声で言ってから
 気を取り直すように

「とにかく!不思議とあなたの好みに合う味になっているはずです!」

「あなたの嫌いな生姜は味付けに入っていませんよ? お醤油とみりんを使いました」

「揚げ方だって……あなたの苦手とする油っこさを避けるためにあっさり目にしましたし、きっと好みの……」

「……と、少々暴走してしまいました。とにかく食べてください! 美味しいですから!」

「はい、あ~ん」

 少し待って

「……どうです?美味しいでしょう?」

「ふふ、ええ、そうでしょう、そうでしょう!」

「この日の為に練習を重ねたのですから!」

「ふふ、ふふふふ♪私がどれほどこの時を待ち焦がれたことか!」

「あの日……宮中の……」

 言いかけて気が付く感じで

「……と、また少々暴走してしまいました。ごめんなさい。私、妄想癖が凄いものでして」

「要するに男の方とこうして共にお昼を食べる日を夢見て練習に練習を重ねていたというわけです。ありがとうございます、乙女の夢に貢献してくれて」

 耳元で

「その、出来れば……これからももっと、貢献してくれると嬉しいのですけど、ね」

 囁き

「どうですか?」

「これからも一緒に、お昼を食べていただけませんか?」

 囁き終了
 少し待ち

「はい!ありがとうございます!では、これからよろしくお願いしますね?」

「一緒にお昼を食べる仲になりましょう!ふふ♪」

場面転換

「ふぅ……今日も良いお天気ですね~」

「どうですか? 今日も中庭でお昼など……おや? 使われていない空き教室をお見つけになられたのですか? ふふ、ええ、それも良いですね」

「では、今日はそちらで……」

「ところで、今日も菓子パン一つなのですか?」

「……おや? 今日は十二分に用意なされたのですね?」

「はて? まだ、あなたが買いたいと言っていた新作ゲームの発売日ではありませんが?」

「……はい? 私ばかりに頼ってはいられない、ですか?」

「ふふ、沢山ありますので遠慮なさらずとも宜しいのに」

「お優しいのですね?」

「でも、私のお昼も少しお食べになりませんか? あなたに食べてもらいたいと思って、今日も頑張って作ってきたのですよ?ふふ♪」

「はい!では、そのように!」

「お互いのおかずの交換し合い、というのも趣があってよろしいですね?」

 少し間を空けて

「では、いただきます」

「……こうして、あなたとお昼を食べるようになってからどれくらいになりますかね?」

「ふふ、あの日から何度も何度も……とても、楽しい時間が過ぎ去っていきました……本当に、幸せで暖かな……まるで、夫婦のような、夢のような時間でしたね?」

 夫婦 読み めおと

「いつも、よく食べるのに……あなたは物欲が優先で我慢をなさって……私が居なければ倒れてしまっていましたよ?」

「ええ、このように……」

「はい、あ~ん♡」

「……と、私が食事面で支えていなければ、とっくのとうに、ね?」

「まぁ、それで用意されてしまうと、こちらとしても少々寂しいものがあるわけですが……」

「どうです? もう一口……私の手から食べていただけませんか?」

「あ~ん」

 それから少し不安そうに

「……あ~ん」

「ふふ、はい、それでよいのです。遠慮せずに私の料理を食べてくだされば。私はこの上なく幸せです」

「……わぁ、どうされましたか?大きな欠伸をされましたけれど」

「眠いのですか?」

「……そうですね。いつもより沢山お食べになりましたもの。眠いでしょう」

「構いませんよ。そのまま横になってください」

「私の膝に頭をお乗せになってください」

「大事な頭ですもの、固い地べたやコンクリートの壁に置くわけには参りません。私の膝に、ぜひ」

「……良いのですよ?遠慮なさらずとも?」

 耳元で

「この私は……私の全ては、あなた様の為に存在するのですから」

 囁き

「存分にこき使ってください♡」

 甘やかすように言って
 それから独り言のように

「ぁ、寝てしまわれましたね? ふふ、可愛らしい……」

「普段の横顔はとても凛々しいのに……こうして見ると、どうして幼子のように感じられるのでしょうね?」

 幼子 読み おさなご

「よしよし……よ~しよし……私は……私だけは、どんなことになろうとお傍に付いていますからね? よ~しよし……よ~しよし……」

 段々とフェードアウトするようによしよしと撫でる音を続けて
 間を空けて

「あ、お目覚めですか? おはようございます」

「よくお眠りになられていましたね?」

「……おや?どうされましたか?」

「……はい?このままの状態で、ですか? ええ、動くな、と言われればそうしますが……どうかなさったのですか?」

「……っ、ぇ? この光景、見た覚えがある、ですか?」

「あ、はは……何をおっしゃるのです? そのようなことは」

「私たちは、あの日が初対面だとはっきりとお伝えしたはずですよ?」

「……っ、え、あ……そう、ですね……あの日も、ちょうど日当たりの良いお部屋で……膝に、頭を……ぇ?」

「まさか……もしかして?」

「……私の、ことを、覚えていらっしゃるのですか?」

「前世のことを、明確に、覚えておいでなのですか?」

「上様」

 上様 読み うえさま

「ふふ……ふふふふふ……人生を跨ぐ以上、このような奇跡は無いと思っていたのに……まさかこのようなことがあるだなんて……」

「私のことが、分かりますか?」

「私のことを、覚えていますか?」

「はい……はい!私です! 上様の側室の……上様だけの、私です」

「ふふ、ふふふふふふふ♪」

「はい、そうです……上様が感じておられた既視感は、嘘ではありません。私たちは、前世で既に出会っていたのです。今世では、あの時言ったようにあれが初めてでしたけどね」

「……上様が思い出してくださるだなんて……今世まで追いかけた甲斐がありました……」

「お傍に、居た甲斐がありました……」

「上様……今世では、以前のような邪魔な側室たちも居りません……あの、順番が早かっただけで本妻になったあの者も……」

「私だけです」

「前回は全て始末して回りましたが……今回は平和です」

「一緒に、心行くまで、誰にも邪魔されることなく共に居られます……」

「一緒に……死ぬまで一緒に……どこまでもどこまでもお供しますから」

「この私を傍に置いてくださいね? 上様♡」
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
私とあなたは会ったことなどありませんよ? 既視感の正体
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
泣きんぎょ
ライター情報
 ASMR、シチュボ台本を主に書いています。
 細かい指定や、指示が書いてあることがありますが、不可能な場合や不明瞭なことがあれば代替あるいは無視してもらっても結構です。
 また勢いのまま書き連ねているため誤字や脱字が見られる場合がありますのでご使用の際はお気をつけ下さいますようお頼み申し上げます。
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