アイドルで幼馴染の女の子は、仕事終わりによくあなたの部屋にやって来ます。
あなたは、ゲームに負けた罰として彼女にその理由を尋ねます。

(盛り上がるライブ会場)
みんなーっ！今日はライブ来てくれて、ありがとーっ！
また会えるの、楽しみしてるよ！

(トーンをだいぶ下げて)
お邪魔しまーす。
って、もう君の部屋入っちゃってるけど。

(仕事のあといちいち俺の部屋にくるな)

仕事のあとにいちいち部屋に来るなって？
いいじゃない。幼馴染みなんだからさ。

それにわかってるかどうか知らないけど、君って結構恵まれてるのよ？
幼馴染みがこんなにかわいくて、アイドルで、しかも自分の部屋にしょっちゅう来てくれる。

そんな思春期男子の妄想みたいな生活が送れているのも、全部私のおかげなんだから感謝しなさいよねっ。

なーんて、さすがにツンデレまで入れたら盛り過ぎか。

あ、これ今週号でしょ？
あの漫画、先週超アツい展開だったから続き気になってたんだよね。
読んじゃお。

(自分で買えばいいだろ)

自分で買えばいいって、そんなケチケチしないでよ。

(ページをめくる)
やばい。推しキャラが今週もカッコいい。
仲間の為に敵の隙を命がけで作るなんて。
少年漫画としてはベタな展開だけど、それがまたいいのよね。

ねーね、君さっきからなんのゲームやってるの？

これ二人で対戦できるやつじゃん！
なんで私がいるのに一人でやってんのよー。
誘ってくれたらよかったのに。水くさいなぁ、もう。

私はこのキャラにしよっと。
よーし、負けないからね！

そうだ、負けた方が罰ゲームってどう？
相手の言うこと何でもきく、とか。

(時間経過)

え、ウソ。
フツーに負けた。
見せ場もなにもなく負けた。

私、君に言うこときかされちゃう。
私にどんな恥ずかしいことをさせるつもりなの！？

(聞きたいことがある)

聞きたいこと？
なんだぁ、拍子抜け。
いいよ、何でも答えてあ・げ・る。

(なんで俺の家にくるんだ？)

なんで君の家にくるのかって？

まあ、確かに男の子の家にアイドルである私が出入りしているなんて、週刊誌からしたら格好のネタだもんね。

私だって尾行とかには気を付けてるのよ？
君に迷惑かけるわけにはいかないし、私のガス抜きの場がなくなるのは嫌だしね。

そう、私ね君のところにガス抜きに来てるんだよ。

仕事でもそうじゃないときも、私は偶像を演じてなきゃならない。
アイドルはイメージが全てだからね。

そのためなら嫌なことがあっても、辛くても、苦しくても、笑っていなきゃならない。

そりゃあ私だってやりたくてアイドルやってる訳だし、元々覚悟の上。

でもね、演じるってことは自分の本心と違うことを言ったりやったりすること。

そうすると心にやっぱり歪みがたまってくる。

その歪みがたまらないように、これからもアイドルでいられるように。
私はここにくるの。

君の前なら素の自分でいられるから。

いつか、ここで君に愚痴を言ったり泣いたりするかもしれない。
そういうときは渋々でもいいから、受け止めてほしいな。

頼りにしてるからね。

よしっ！言いたいこと言ったし、真面目なのはここでおしまい！

さっきのリベンジするよ！
次こそは君に勝ってやるから！

(時間経過)

十回やって十回負けたーっ！
なんかスッキリしたからいいけど。
次来たときにもう一回勝負だからね！

じゃあ、ばいばーい！

(独り言のように)
アイドルやめたとき君がフリーだったら、私がもらっちゃおうかな。なんてね。

・台本（ゆるボイ！）
幼馴染みはアイドルだけどあなたの部屋に入り浸る
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン