バレンタインでも厳しく取り締まりを行う風紀委員長。
そんな彼女に放課後連れてこられたのは、彼女の家でした。

そこ！　校内にお菓子を持ち込むのはいけません！
お菓子は没収します。
放課後に風紀委員室へ来てください。
反省文を提出した後に返却します。

(バレンタインだし大目にみたら？)

バレンタインだからといって、大目にみるなんてことはしません。
ルールはルールですから。

だいたい、あなたは甘いんです。
副委員長であるにも関わらず、違反した生徒を見逃したりしてましたよね？

違反の軽い重いは関係ありません。
風紀委員であるならば、見つけ次第注意して改善を促さなくては。

特に、今日のような校内が浮つく日には特に気を引き締めないと。

(チャイムが鳴る)
昼休みの見回りはここまでですね。
放課後もよろしくお願いします。

(放課後)
では、放課後の見回りに行きましょうか。
まずは、校舎裏ですね。
あそこは人目に付きにくいので、重点的に見ていきましょう。

誰もいませんね。
特に今日のような日には、違反生徒がいると思ったのですが。

次の場所に行きましょうか。

(時間経過)

これで見回りはおしまいです。
お疲れ様でした。

その、この後予定はありますか？
なければ、私に付き合ってほしいのですが。

ありがとうございます。
では、わたしについて来てください。

着きました。
ここ、ですか？
私の家です。

どうぞ上がってください。

お茶の用意をしますので、わたしの部屋で待っていてください。
二階に上がってすぐのところに、わたしの名前のプレートが掛かった扉があるのでわかると思います。

(扉が開く)
お待たせしました。

今日ここに連れてきた理由、ですか。
それは、これを渡そうと思って。
どうぞ。

はい、チョコレートです。
バレンタインなので。

もしかして、甘いものは嫌いでしたか？

そうではない？　よかったです。

なぜ、学校で渡さなかったのか？

お菓子を学校に持ってくるのは校則違反だからです。
あなたもよく知っていますでしょう？

学校で渡せないのでわたしの家に来てもらいました。

え？　家の方がマズくないかって……

(みるみる顔が赤くなっていく)
(取り繕うように)
い、いえ、まだわたしたちは付き合っているわけではありませんし、そのような男女が同じ部屋に二人きりでいたとしても、それは決して不純なものではなく、健全な友人関係の範疇と言えると思います。

まだってどういうことか……？
できれば、その……
聞かなかったことにしてもらえないでしょうか……？

だめ、ですか。
いじわるです。

わたしは、あなたのことが好きです。

ですが、風紀委員長として、色恋に現を抜かすのは示しがつかないと、卒業した後に告白しようと思っていました。

今日のチョコレートは、恥ずかしながらあなたへの想いがあふれた結果用意してしまったものです。

こんな形での告白になるのは想定外でしたが、わたしのことを悪く思っていないのであれば恋人になってくれませんでしょうか？

本当、ですか？　
いいのですか？

嬉しい、です。

それと、恋人関係の開始日は卒業の日とさせてもらいたいのですが……

今日からで構わない？

だ、だめです！　
今でさえ、あなたに告白を受けてもらえた喜びで顔がにやけてしまいそうなのを必死に我慢しているのに、もう正式に関係を始めてしまったらわたしはしてはならない大きな過ちをしてしまいそうで……

これでも自分を律しようとしているのです。
どうか、その一線だけはともに守ってくれませんか。

ありがとうございます。
では、卒業の日まで清く正しい学校生活を。

・台本（ゆるボイ！）
堅物風紀委員長のバレンタイン
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン