ネコミミの僕っ娘が居着いてしばらく。
寒い中家に帰ると、彼女はこたつに潜っていました。

おかえり、おにーさん。
今日は遅かったね。

晩御飯は？　食べてきたんだ。
うん、ぼくもちゃんと食べたよ。

ちょっと、おにーさん？
ぼくが入ってるんだから、こたつに無理に入ろうとしないでよ。

やだ、入れてあげない。
ぼくはこたつで丸くなるんだ。歌のように。

あ、猫じゃらし。

(余裕を見せつつ)
おにーさん、ねこみみと尻尾が残っているとはいえ、今は人の姿なんだよ？
さすがにそんなおもちゃに釣られるなんて……

にゃっ。にゃっ。にゃーっ。

はっ、つい手が……

で、おにーさん。なんでぼくの手首を掴んでるの？
もしかして、そのまま引きずり出す気なんじゃ。
猫じゃらし持ってきたのも、手をこたつから出させるためだったり……

カンがいいなって、やだ！　寒いのやだぁ！
(こたつから引きずり出される)

(抗議するように)
おにーさん、こたつ入れてよ。
ぼくはこたつの中にもぐりたいの。

それにはおにーさんの足がじゃま。
後はわかるよね？

むう、おにーさんも強情だなぁ。

仕方ない。無理に入ろ。
ほら、足どかして。

ふぅ、あったかい。

ねえ、おにーさん。
みかん剥いて。

だって、ぼくうまく剥けないんだもん。
なんか皮がボロボロになっていくんだよ。

ありがとう。
おにーさんって、皮剥くの上手だよね。

ねえ、もう一度やって見せてよ。

え？　自然にもう一個剥かせようとするな？
へへ、ばれちゃった。

ん？　お風呂入るの？
いってらっしゃーい。

(眠そうに)
あ、お風呂から出たんだ。
そろそろ寝る？

じゃあ、お布団敷かないと。

敷布団こっちにちょうだい。
毛布と掛け布団を広げてっと、これでよし。

うん、おやすみ～。



おにーさん。寝てる？

なんだ、起きてたんだ。

ねえ、おにーさんのお布団入れて？

自分のはあるけど……
だって、ひとりは寒いんだもん。

入っていいの？　やったー。

ぎゅう、すりすり～。

ほら、おにーさんも、ぼくのことぎゅーってして。

へへへ、おにーさんの腕の中、あったかい。

ん？　うん、今日は甘えん坊。

なんでか今日はさみしかったんだ。
おにーさんが仕事で一日いないの、いつもなら平気なのに。
部屋がなんだか広く見えて。
だから、こたつにもぐってた。

狭いところなら落ち着けると思って。

ほら、なでなでして？
ぼくがさみしかったぶん、甘やかして？

おにーさんのあったかくて大きい手でなでられるの気持ちいい。

ねえねえ、背中も、背中もなでて。

うにゃあ。
おにーさん、なでるの本当にじょうずだね。

そっか、ぼくが野良猫のときからの仲だもんね。
もう、ぼくがよろこぶツボがわかってるんだ。

つまり、おにーさんはぼく専用。

(うとうとしながら)
おにーさんはぼくのものなんだから、離れちゃヤダだからね……

(寝息をたてる)

・台本（ゆるボイ！）
ネコミミ僕っ娘は温かいところがお好き
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン