騎士団の副団長であるあなたは、女団長との絆と愛を育み、遂に結婚に至りました。
あなたは、美しくウエディングドレスを着た彼女と式に臨みます。

その……どこかおかしなところはないだろうか？
騎士団の正装は慣れているが、ウエディングドレスのような繊細な服は着たことがなくてな。

(照れて)
なっ、き、綺麗かどうかは聞いていない！
まったく……お前というやつは。

それにしても、まさかお前と結婚することになるとはな。

副団長として私の下に来たときは、軟派な奴だと思ったものだ。
だが、剣の腕は立つし、団員とはすぐに打ち解けるし、仕事もそつなくこなす。
背中を合わせて戦ったこともあった。
自然とお前を頼りにするようになっていたな。

信頼が親愛に変わったのはいつのことだったか。
そもそもお前に言われるまで、自分の気持ちに気がついていなかったのだから、はっきりわかるわけもないな。

そろそろ時間か。
係の人が呼んでいるぞ。

ああ、先に行って祭壇の前で待っていてくれ。

(新婦入場)

(耳打ちする)
その、出席者が思っていたより多くないか？
こんなにお偉方が来るとは聞いていない。

騎士団長の結婚式なのだから当然？
まあ、それはそうなんだが……

(咳払いして)
失礼。
どうぞ進めてくれ、神父殿。

次は誓約か。

表情が硬い？
緊張しているんだ、仕方ないだろう。
(吹き出しかける)
お前、変顔で笑わせようとしないでくれ。
神聖な場なんだぞ。

緊張がほぐれると思って？　
まあ、確かに、少しはな。

ほら、式に集中しろ。

誓約はお前が先だ。かんだりするなよ。

私の番だな。

(深呼吸する)
私はここにいる者を夫とし、いつ何時何があろうとも、敬い、慈しみ、支え合い、愛することを誓おう。

では、指輪をはめてくれ。
女らしくない手で申し訳ないが。

綺麗な手、か。
いつでもお前は私を肯定してくれるな。
だが、そういうところが不安になるんだ。
私がいつか腑抜けにされてしまいそうで。
もしそうなったときに、お前に幻滅されないかとな。

絶対にない？
言ったな？　では、今後行動で示してもらうとしよう。

次は……
う、ウエディングキスか……
これだけの人の前で、キスをするなんて……恥ずかしいな。

ベ、ベールを上げてくれ……

(扉が勢いよく開く)
(鋭く)
何事だ！？
　
街に賊が出ただと！？
すでに被害もでているのか。
わかった。

すまない、神父殿。
式は中止だ。
避難してきた市民たちを受け入れてくれ。

おい！　剣を！

ドレスのまま行くのか、だと？
当然だ。
市民のために、一刻も早く駆け付けなければならない。
着替える時間が惜しい。

(布を破る音)
裾が長いから、破らせてもらうが。

まさか初めての夫婦の共同作業が、賊の討伐になるとはな。

私たちらしい、か。
確かにな。

行こう、我が夫よ。
奴らに、この街に来たことを後悔させてやろう。

・台本（ゆるボイ！）
クールな騎士団長との結婚式
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン