ある夜、隣の街の花火をたまたま見つけたあなたとその妻。
小さいながらもきれいな花火を見ながら彼女が考えていたのは、あなたとの未来のことでした。

なんか外から音するね。
どん、どんって。
なんだろう？

(ベランダに出る)
うーん？
あ！あそこ！
花火あがってる！

(どこ？)

どこって、あのマンションとアパートの間のとこ！

そうそう！それ！

どこの花火大会だろう？
ちょっとスマホで調べてみよ。

へぇ、川の向こうの街でやってるんだ。

遠くてちっちゃくしか見えないけど、それでもきれいだね。

そうだそうだ、冷蔵庫にビールあるんだった。
とってくるよ。

はいどうぞ。

(缶を開ける)

かんぱーい。

(ごくごくと飲む)
ぷはっ、うめー！

お、おっきいの上がった。

へへ、なんかいいよね。こういうの。

そりゃ、会場で見た方が迫力もあるし、屋台のご飯も食べれるし、周りの人と同じところで盛り上がったりして一体感があるから、それはそれで楽しいけど。

こうしてゆったりと見ていると、花火を二人じめしてるみたいで、なんか特別な気がしてくるんだよね。

ささやかな幸せっていうのかな。こういうの。
きっと、君といるから幸せって思えるんだろうなぁ。

ちょっと酔っぱらってきちゃった。
寄りかかってもいい？

(いつもはビール一缶くらいで酔ったりしないだろ)

いつもはビール一缶くらいで酔ったりしないだろって？

うっさい！
ばーかばーか！黙って肩貸してよ！

うむ、苦しゅうない。
余計なこと言わずに最初っからそうしていればよいのだ。

ねぇ、私、来年も君とこの花火をここで見たいな。
今日みたいにビール飲んで、他愛もない話しながら。

(いたずらっぽく)
もしかしたらその頃には、君と私だけじゃなくなってるかもしれないけど、ね。

・台本（ゆるボイ！）
遠くの花火をあなたとながめて
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン