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唯一の友の正体は、最強ヤンデレ魔王。
written by シノト
  • ヤンデレ
  • 魔王
公開日2021年09月30日 19:22 更新日2022年11月01日 13:47
文字数
2070文字(約 6分54秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
魔王
視聴者役柄
勇者
場所
魔王城
あらすじ
孤独な勇者の唯一の友(小動物)の正体は、宿敵の魔王だった。その時、勇者は――。
前半はコメディです。前半は。

pixivにも投稿しています。
本編
おはよう、勇者。

そんなに激しく動くな。
治療はさせたが、まだ十分じゃない。
大人しくしろ。

そうだ。お前は魔王たる私に敗北した。
いとも簡単にな。

何故生かしたか?

生かす意味があるからだ。

何をさせる気か?

そうだな。とりあえず、このウェディングドレスを着てもらおうか。

なんだ、その顔は。
不満か?

白がいけなかったか?
ああ、可愛い奴め。私の色に染まりたいということだな。
どれ、黒に変えてやろう。

違う?
どうしてウェディングドレスか?

やはりタキシードがいいか?
いや、分かるぞ。
お前の気持ちはよく分かる。
だけどな――。

ウェディングドレスを着てくれ。

何故か?
お前が可愛いからに決まってるからだろう。

お前は私に会うために三年も旅をしたな。
そう、その三年もの間、私はずっとお前を見張っていたんだ。
いや、もっと昔から――。

(指パッチン)

どれ、見たことがあるだろう?
この可愛い獣を。

ふふ、仲間だと思っていたか?
残念。
これは私の別側面だ。

(指パッチン)

どうだ? 孤独なお前の唯一の友が魔王だと知った気分は。
ああ、絶望に染まったいい顔だ。
今すぐでも喰ってやりたいぐらいにな。

そう、私はお前を知っている。
お前が赤ん坊の時からな。

勇者になりうる子が生まれたと聞いて、私はお前の村を訪れた。
勿論、殺すためさ。
危険因子は排除してしかるべきだろう?

そして、お前を見た。
私は心に決めた。
将来、お前を婿、いや、嫁にしようと。

どうして、だと?

いや、可愛かったから。
私を見て笑ったんだぞ、この恐れ知らずが。
最高に可愛いかった。

そして、私はお前の傍を片時も離れないと誓ったが……。
まあ、私は魔王だ。政務がある。

時々、姿を消していただろう?
そうそう、仕事してたんだ、うん。

お前の成長を見守るうちに、私はますますお前のことが欲しくなった。

顔立ちは日を追うごとに愛らしく、声もいい程度にハスキー、髪の毛はサラサラで、その鍛え抜かれた上腕二頭筋は美しく、なのに、いかつくない。美青年。完璧。

正直、そのまま攫っていってもよかったんだが、さすがに十八までは手を出さないと決めていたんだ。
えらいだろう?

その間、私も苦労したんだぞ。

お前は顔がいいし、優しいからな。
いらない虫が付くんだ。
助けた村娘に、どこぞの姫。
一番厄介だったのは、魔導士や聖職者だな。
勇者にはパーティが必要だ、なんだと。

ああ、全て焼き尽くしてやったさ。

いい顔だな。
だが、私さえいれば十分だっただろう?

え? 魔族を殺してたじゃないかって?
お前に疑われないためだったら、部下の一人や二人――。

外道?
私は魔王だ。

ということで、十五歳で出発、三年旅をし、十八歳。
もういいだろう。

うん、孤独で物憂げな青年。
いいなぁ。

え? 街で誰も話しかけてくれなかったのは、まさか、だと?
私が追い払っていたからだ。当然。
お前と話すのは、私だけでいい。

そう、お前を孤独に仕立て上げたのは私だ。

だからといって、今更、人との繋がり方など分からないだろう。
ほら、いつものように私に甘えた声で話をするといい。
恥ずかしがることはない。

まだ戦う意思を見せるか。
あれだけねじ伏せたというのに。

お前が一番分かってるだろう。
お前に勝ち目はない。

そう、お前には選択肢がないんだよ。
大人しく私のものになるといい。

逃げるか?
いいぞ。
でも、お前は必ず戻ってくる。

魔王に敗北し、逃走した勇者など、誰が歓迎する?
お前はそしられるだろうなぁ、後ろ指をさされるだろうなぁ。
親しい人は誰もいない。
たった一匹の愛しい獣は魔王。
その時、お前の隣にいることはない。

さみしいだろう? 怖いだろう?

そんな強い目で睨んでも、お前の癖なら誰よりも知っている。
泣きそうな時、お前はまばたきが増えるんだ。
強がらなくていい。

ここにはお前を非難する者も危害を加えるものもいない。
そんな奴はすべて私が屠るからな。
何も心配ない。

ここにいれば、お前は孤独じゃない。
何があっても私がいる。

そうだ。
家族を作ってもいいな。

温かな部屋の中、家族で食卓を囲む。
それが夢だと語っていたじゃないか。

私はお前に全てを与えてやることが出来る。
お前に不利益なことは何もないはずだ。

ほら、おいで。
いつものように慰めてやろう。

何? 人類はどうなる、か?

当然、滅びてもらう。

弱肉強食だ。
お前も見てきただろう?
それが運命だ。

ならば抗う……?

おかしいな。
お前は人間に好意的ではなかったはずだが?

それでも、罪なき人が殺されてほしくない……?

あはははははは!

そうだ、お前は可愛い上に優しかったな!
そうだ、そうだ。
はぁ。
これは誤算だな。私としたことが。

じゃあ、仕方ないな。
無理矢理にでも、お前を私のものにしよう。

力で屈服させるのもいいが……。
せっかく、正体も明かし、こうして本来の姿で顔を合わせることができたんだ。
あの小さな獣の姿では出来なかったことをしてやろう。

そう。
愛と情に溺れさせてやる。

甘い言葉を囁こう。
深い快楽を与えよう。
身も心も私に浸してやろう。

孤独なお前は耐えられるか?
無理だろうな。
お前はすぐに染まってしまう。

私、一色に。

覚悟しろ、勇者。
十八年越しの恋慕を惜しみなく注いでやるからな。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
唯一の友の正体は、最強ヤンデレ魔王。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シノト
ライター情報
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