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魔王に弱体化させられ、愛でられ、悪堕ち。
written by シノト
  • ファンタジー
  • ギャグ
  • 悪堕ち
  • 魔王
  • 百合も可
公開日2023年03月29日 22:17 更新日2023年03月29日 22:17
文字数
2224文字(約 7分25秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
魔王
視聴者役柄
勇者
場所
魔王城
あらすじ
不死身の魔王と100回目の対決。
今まで3分で倒せていた魔王が、弱体化の魔法で勇者を弱らせ甘やかす――。

pixivでも投稿しています。
本編
ああ、勇者よ!
今日も会いに来てくれたんだな!

本当にお前は私のことが好きだなぁ。
勇者と魔王、これは禁断の恋だ。
そそるな。

おや、いつもみたいに否定しないのか。

呆れてる。呆れてるんですね。
だが、それがいい!

可愛いぞ、愛しいぞ、麗しいぞ、勇者!
その全身を舐め回したいくらいにな!

(咳払い)

さて、勇者よ。
今日は何の日か知っているか?

そうか。

今日は私とお前の100回目の戦いとなる日だ。

今まで私はお前に99回敗北している。
その度に命を奪われている。

だが、私は不死身だ。

不死身。
それがどれほど苦痛かお前は知っているか?

死の恐怖を、死の苦しみを何度も味わうんだ。
どれだけ辛くとも、生から逃れることができないんだ。

私は我が身を何度も呪った。

しかしながら、だ。
お前と出会って、私は不死身であることに感謝した。

何故なら、お前は私を害すことで、その愛を余すことなく私に伝えてくれるからだ!

え、違う?
そんなことないだろ。

私の首を撥ねる。
それがお前の愛情表現だろ?

いや、多少歪んでいるのは分かっている。
だが、私はそんなお前も好ましく思っている。

さあ、今日も思う存分私を愛してくれ!

……といいたいところだが。

流石に私も飽きてきた。

だってお前、必殺仕事人みたいだもん。
さってきて、ばってやって、ぷしゃあああ。
お前はもう死んでいる、みたいな感じじゃん。
毎回三分もかからずに私のこと殺っていくじゃん。
もうちょっとスローペースで優しくしろ。

ということで、記念すべき100回目の今日、今度は私がお前を愛そうと思う。

そう身構えるな。
お前のように相手を傷つけて悦ぶ趣味はない。

私はお前を慈しみたいんだ。
何処までも甘やかして蕩けさせてやりたいんだ。

お前はいつも肩ひじを張っているように見える。
安らげる場所はあるか? 心を許せる者はいるか?

そこまで必死に答えなくていい。
憐れに見えるぞ。

さて、そろそろか。

ふふ、身体の力が抜けてきたと思わないか。

気のせいじゃない。
いずれその剣も持っていられなくなるだろう。

ほら、な?

悪いが、お前に弱体化の魔法をかけさせてもらった。

ああ、使えるさ。
私は魔王だからな。

今までお前に僅か三分で首を落とされていたのには訳がある。

私は生からを解放されたかった。
お前ならこの不死身の苦しみを終わらせてくれるんじゃないか、と。
はじめの10回くらいはそうだった。

11回目から53回目は困惑した。
私は命を奪われる度、お前に心を奪われていったんだ。
ちょっとうまいこと言った。
褒めてくれ。

54回目から98回目。
もはや、お前と会えるならなんでもよかった。
というかむしろちょっと楽しんでいた。
お前に与えられる痛みにだんだんと興奮を覚えるようになって――。
この話はやめよう。

そして、99回目。
お前を手に入れたいと思った。

人間は私が魔王というだけで殺害を企てる凶悪な種族だ。
そんなやつらに歯向かえば、面倒なことになるのは火を見るより明らか。

だから、私はお前を愛しながらも手出しができなかった。
人間がお前を手放すわけないのだから。

だけど、もう耐えられない。

お前が欲しい。

そして100回目。

私はお前を奪う。
命ではなく、その存在を。
私のだけのものにする。

ほら、こちらに来い。

弱体化したお前に勝ち目はない。
分かっているだろう?

剣も持てない。
盾すら構えられない。

そんなお前に何ができる。

おっと、己の拳を使ってまで抵抗してくるか。
だが、残念だ。

猫パンチより弱々しい。
いや、猫パンチは結構強いか。

ほら、捕まえた。

大丈夫。
痛いことなんかしない。
怖いこともしない。

安心して私に身体を預ければいい。

いい子だ。

息が浅いな。
深く呼吸をしてみろ。

楽になるはずだ。

もう逆らうな。
負けは決まっている。

もう強がるな。
意味がない。

……そういえば、人間は誰かの命を奪う度、心に深く傷を負うと聞いたことがある。

お前は私を何度も殺した。

命を失う寸前に見るお前の顔はいつも悲痛なものだった。
涙すら流す時もあったな。

すまない。
私はお前に辛い思いをさせていたのだろう。

……泣いているのか?

どうした、急に。

ああ、お前はもしかして、人間に愛をもらえなかったのか?
お前は人間にとって、ただの魔王を倒すためだけの駒だったのか?

そうか。

今までよく頑張ったな。

よしよし。

存分に泣くといい。
私がすべてを受け入れよう。

なあ、勇者。
私の伴侶にならないか?

ああ。
生涯お前の側にいることを誓おう。

どうだろうか。

まあ、突然言われても迷うだろう。
答えはいつでもいい。

だが、このまま元の生活に戻るのは嫌だろう?

だったら、しばらく私の城に泊まっていけ。

私の部屋のベッドはキングサイズだ。
ともに眠れるし、なんならいろいろなことができる。

もちろん意味深ないろいろだ。

別室がいい?

ケチ。

ん? 瞼が落ちかけているぞ?
眠いのか。

そうか。たくさん泣いて疲れたんだな。
ゆっくり休むといい。

大丈夫だ。
服を脱がしてどうこうとかはしない。

分かった。
ベッドに運ぶ時以外、身体的接触はなしだな。

約束する。
約束するって。

まったく疑り深い奴だな。

早く寝ろ。

ああ。
あと、一点だけ。

身体には触れないが、心は少し弄らせてもらう。

心配ない。

今まで人間と関わり抱いた負の感情を増大させる。
ただ、それだけだ。

人間に大きな憎しみを抱いたお前はさぞ可愛らしいだろうな?
私とともに奴らを滅ぼしたくなるだろうな?

ふふ、抗いたいか?
だが、もうこのまどろみには勝てないだろう?

おやすみ。
いい夢を。

愛しているよ、勇者。
いや、私の可愛い伴侶。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
魔王に弱体化させられ、愛でられ、悪堕ち。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シノト
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