0
強欲なコレクターは憎悪を欲する
written by シノト
  • 悪役
  • サイコパス
  • 強欲
公開日2022年11月18日 20:50 更新日2022年11月18日 20:50
文字数
1994文字(約 6分39秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
指定なし
演者人数
1 人
演者役柄
コレクター
視聴者役柄
探偵
場所
コレクターの館
あらすじ
探偵を快く迎えるコレクター。
彼は見せびらかしたいコレクションがあると言い、探偵を地下室に導く。
そこには――。

七つの大罪シリーズ・第五弾【強欲】
※シリーズと銘打っていますが、ひと作品ごとに完結しています。続き物ではありません。

pixivでも投稿しています。
本編
いらっしゃい、探偵さん。
ようこそ、私の館へ。

お待ちしておりました。
どうぞこちらへ。

あ、その絵画、素敵でしょう?
この間知人から譲り受けたんです。

脅してなんかいませんよ。
私が強欲だからと言って、そんなそんな。

ちょっと交渉はしましたけどね。

呆れ顔を浮かべていますけど、あなたも大概ですからね。
この私に協力を仰ぐなんて。

ふふ、確かに私は古今東西あらゆるものを手にしている。
そして、それを貸し出す懐の広い人間だ。

頼りたくなるのも分かります。

嫌そうな顔ですね。
でも、その顔は見飽きたので違う顔をしてください。

愛想悪いんですから。

まあいいでしょう。
今回のご依頼主はどんな方ですか?

え、違う?
じゃあ、何の用だって言うんですか。

私が最近新しくコレクションし始めたもの、ですか?

今月手に入れたのは、先ほどの絵画、ある文豪の初版本、それから、奇妙な形のアレキサンドライト、あとですね……。

もっと違うもの?

なんでしょう。
そう含みを持たせずはっきり言ってくださいよ。
回りくどい。

人間、ですか。

確かに私には数えきれないほどの愛人がいますが。
彼、彼女らの話をすればいいのですか?

聞きたくない?
あ、そうですか。
じゃあ聞かないでください。

あなたのわりに、要領を得ませんねぇ。
何をためらってるんです?

は?
人間をコレクション?

あはは。
まさかまさか。
私と言えどもさすがにそれは――。

半分正解、半分間違い。

案外、たどり着くのが早かったですね。
さすが探偵さん。
素直に尊敬しますよ。

ほら、ついてきてください。
見せてあげます。

私の新しいコレクションを。

そう身構えないでください。
あなたに害は及ぼしませんよ。

ただ、コレクションを見せびらかしたい。
コレクターの性(さが)です

では、行きましょうか。

(階段を下る音)

足元が暗いのでお気をつけて。

ふふ、暗い方が集まるんですよ。
私が手にしたいものが。

ですが、明かりを灯りましょう。
この状態だと、あなた何も分からないでしょう?

正直でよろしい。
では、光を。

あはは!
いい顔ですね!

ええ、そうです。
人間を檻に閉じ込めています。

あ、でも見ていただいたら分かるように衣食住は整えていますよ。
ええ。
私もそこまで非道ではありません。

いや、あまり追い詰められるとね、ほら、こちらを恨む元気がなくなっちゃうでしょう?

そうです。
私がコレクションしたいのは憎悪です。

ほら、聞いてください。
この罵声に込められた恨みを! 憎しみを!

不の感情っていいですよね。
集めてみたいと思いません?

思いませんか。

まあ、確かに悪趣味だとは思いますよ。

でも、欲しいんです。
仕方ないじゃないですか。

えへへ、私は強欲なもので。

さて、そろそろお気づきですか?

この檻の中の人間の共通点に。

そう、あなたの依頼主です。
それも、私が協力した事件の、ね?

だってあなた、私に意見を求めるために簡単に依頼主の情報をこちらに渡したじゃないですか?
それを利用させてもらいました。

迂闊ですね。
ええ、本当に。

私のこと、信じてたんですか?
驚きです。

どうして私が善人だと?
馬鹿にもほどがありますよ。

さぁて、これを知ってあなたはどうします?
私はこれまでと同じく、あなたとよろしくやっていきたいのですが。

ええ、私は今まで通りあなたに協力しましょう。
あなたも今まで通り、私に情報を提供すればいい。

別に依頼主がどうなろうとあなたには関係ないじゃないですか。

あ、評判落ちちゃいますか?
それはこちらで何とかします。

ね?何も問題ない。

おっと、サイレンが鳴っていますね。

へぇ、警察呼んだんですか。
あれほど彼らを嫌ったあなたが。

ひどい。
私のこと信じてたんじゃなかったんですか?

半信半疑だった、と。

半分疑ってたんですね。
えらいです。
褒めてあげましょう。

えらいえらい。

さて、どうしましょうか。

こうなってしまえば、私は袋の鼠ですね。
証拠はいくらだって揃ってますし、きっとあなたのことですから、事件解決一歩手前なんでしょう?

ですよね。
あなた、馬鹿ですが能無しではありませんものね。

うーん。
そうですね。

諦めます。

まだまだ欲しいものはありますが、私は私の物が他人に渡るのが一番嫌な質(たち)でして。

それだったら、壊してしまいたいですよね?
この手で。

ということで壊しましょう!

ん? これですか?
自爆装置ですよ。

こんなこともあろうかと用意していたのです。

はい。私も死ぬ覚悟です。

それくらい分かってますよ。
人を馬鹿にしすぎです。

おやおや、必死ですねぇ。

でも、別にいいでしょう?

私が死ねばあなたのお手柄です。
まあ、あなたも死にますけど。

ふふ、いいですね。
はじめて見る顔です。

そうか。
あなたの最期も私のものになるんですね。

ははっ、悪くない。
私、結構あなたのこと気に入ってましたので嬉しいです。

じゃあ、一緒に逝きましょうか。

はい、スイッチ、押しちゃいました!

あと十秒。
私に恨み言があるなら、どうぞ?

あなたの憎悪を私にください。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
強欲なコレクターは憎悪を欲する
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シノト
ライター情報
主に女性演者様推奨の台本を書いています。

台本使用において、アレンジなどを加えた際は、その旨をリスナー様に伝わるよう概要欄などに必ず記載ください。
また、内容が変わるアレンジはおやめください。

Twitterでご紹介していただく場合、メンションをつけていただけると嬉しいです。
私が聴かせていただきたい。よろしくお願いいたします。

pixivと同じものを投稿しています。
ご了承ください。
有償販売利用の条件
【有償販売について】
販売の際はご連絡ください。
また、アレンジなどを加えた際は、その旨をリスナー様に伝わるよう概要欄などに必ず記載ください。
利用実績(最大10件)
シノト の投稿台本(最大10件)