金曜日は「君」とのオンライン飲み会の日。
過去を振り返れば、「君」への感謝が溢れだす――。

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それじゃあ、金曜日の夜に、カンパーイ！

いやぁ、我々のオン飲みももう長いねぇ。
三年くらい？
感慨深いなぁ。

ん？
今日はオレンジジュース。
身体にいいでしょ。

君は、いつものビールかな？
ノンアル？
珍しいね。

あー、引っかかっちゃったかぁ。
血液検査。

そっか、健康診断の季節か。
社会人は大変だね。

いやいや、大丈夫よ。
気遣いありがと。

ってか、今日すっごい湿度じゃなかった？

だよね。
コンビニ行ってきたんだけどさ、もうムシムシしててさぁー。

そう、コンビニ行った！
えらいでしょ！
ドヤッ！

しかもだよ！
買い物もしてきた！

このオレンジジュース。
すごかろう。

へへ、そんな素直に褒められると照れる。
自己肯定感爆上がりしちゃうぞ？

……ありがと。

もう、三年だね。
あれから。

あ、いや、もちろんあのことは思い出したくないよ。
でもさ、あの後のことは少し振り返りたいなって思い始めたんだ。

うん。
あの後のこと。

職場から逃げる時、友達皆協力してくれたなって。
君も含めてね。
疎遠になってたくせに。

あと、喧嘩ばっかだった家族も。
あれは意外だったね。

あの時は、なんでこれくらい耐えられないんだって、怒鳴られてたし、私だってそう思ってた。
そんな私によく頑張ったね、もう泣いていいよって皆言ってくれた。

でも、その頃の私に余裕なんかなくて、優しい人たちの声すら怖くて、耳をふさいでた。
部屋に閉じこもって、朝から晩まで頭から布団かぶってさ。

そんな時、君がオンライン飲み会しようってメッセージ送ってきて。

正直、バカかと思った。
こんな状況でパリピみたいなことできるかって。

だけど、君はしつこくて。

でもね、嬉しかったんだよ。

だって、引きこもってるとさ、毎日毎日朝から夜までなーんにも変わらないもん。
君からのメッセージだけが私の生活の中の唯一の変化。

そういえば、メッセージにゲームの感想付けてきてたよね。
あれ、おかしかった。

笑っちゃったよ。

そう、笑えちゃったんだよ。
何もかも怖い、そんな私が。

音声通話から始まって、ただただゲームの話をして。
私もゲームに興味出てきて、通話しながらプレイして。

で、その内、君は私の顔が見たいなんて言い出して。

ちょっと引くと思うけど、そのおかげで私しばらくぶりにお風呂に入れたんだ。
ずっとお風呂までたどり着く気力すらなかったから。

で、ぼさぼさになった髪縛って。
でもお化粧はしてなかったなぁ。
今もだけど。

こうして振り返ると、君って結構強引だよね。
責めてるわけじゃないよ。
でも、ちょっと呆れてる。

ありがとう。
君のおかげで私、今もここにいる。

いや、君たち皆のおかげだね。

うん、家族とか片手で数えるのもおこがましい数の友達とか。

でもね、それに気づかせてくれたのは君なんだよ。

君が暗闇に光をくれた。
見えなくなってたものが、見えるようになった。

自分を支えてくれる大切な人達のこと。

本当に感謝だね。

……ねぇ、この間言ってくれたこと嬉しかったよ。

だから、もう少し時間をください。

まだ怖い。
いろんなことが。

家族とも上手く話せないし、君以外の友達とはやっとメッセージのやり取りができるようになったくらい。

部屋から出ても徒歩五分のコンビニで精いっぱいだし。

だけど、いつか必ず君に会いに行く。
そして、君の目を見て、君の言葉をちゃんと聞く。

ワガママだけど、待っててほしい。
自分にそんな価値があるとは思えないけど。

でも、君がそう言ってくれるなら。
私は君を信じてるから。

それまでは、どうか、この金曜日の夜を続けてほしい。

いつも、ありがとう。

・台本（ゆるボイ！）
金曜日の夜は、画面越しの君と
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シノト