夜の散歩中によく会う黒猫を可愛がっているあなた。
しかし今日、いつもの場所にいたのはあの猫と同じ目の色をした少女でした。

こんばんは、おにーさん。

誰って？まあ、そうなるよね。

いつもこの時間、ここで会う黒猫がいるよね？

それがぼくだよ。

何を言ってるかわかんないって顔してる。
じゃあ、この黄色い目に見覚えはない？

(あの猫と同じ色)

そう、ぼくが猫だったときと同じでしょ？

この耳と尻尾だって本物。
いつもみたいに触ってもいいよ。
あっ、引っ張っちゃダメだからね？

んっ、くすぐったい。

これで信じてくれた？

(何で人の姿に？)

何で人間になったのかって聞かれても、ぼくにもよくわかんないんだよね。
気がついたらこの姿になってたし。

ただ、ぼくがおにーさんのこと気に入ってて、できることならお話してみたいなって思ってたのは事実だよ。

どうやら、神様ってのは本当にいるらしいね。
何でぼくの願いを叶えたのかはさっぱりだけど。

ところでさ、おにーさんのお家についてっていいでしょ？

(えっ？)

こんな姿じゃ、野良として生きていけないよ。
すぐに『猫人間発見！』とか言ってテレビなんかが来て大変なことになっちゃう。

もし捕まったりしたら、ぼく解剖されちゃうかも。
好奇心は猫も殺すんだよ？
まあ、意味違うけど。

(あざとく)
というわけで、おにーさんちでかくまって？

(わかった、いいよ)

いいの？やったー。

(玄関を開ける)

へぇ、ここがおにーさんのお家かぁ。
フツーだね。

でも、普通くらいが一番いいと思うな。
他の子からの話だと、でっかい家も狭い家も落ち着かないらしいし。

そうかぁ、ここが今日からぼくの家になるんだ。

(ここペット禁止なんだけど)

ここペット禁止？
大丈夫だよ。大家さんには彼女と同棲始めましたって言っておけばいいんだから。

(からかうように)
それともおにーさん、ぼくをペットとして飼いたいの？
人の姿のぼくを？
わー、へんたーい！

あはは、あわてて否定しなくても、そういう人じゃないってわかってるよ。

おや、おにーさんいいものの持ってるね。
あれはいわゆる人をダメにするクッションってやつでしょ？
じゃ、ものはためしってことで。

ほわぁ～沈み込む感じがたまりませんなぁ～。

(とろけた感じで)
おにーさん、これ今日からぼくのね。
勝手に使ったらダメだよ。

なにこれ、スタンプカード？
猫カフェのだ。しかもだいぶたまってる。

おにーさん。ぼくというものがありながら、猫カフェなんて行ってたんだ。

ふーん、他の子の臭いがする日があるなぁと思ってたら、そういうことだったんだね。

でも、これからは行かなくてもいいでしょ？
ぼくが家にいるんだから。

ほらおにーさん、こっちにきてよ。

ぎゅう、すりすり～。

おにーさんにぼくの臭いをたっぷりつけてマーキングしてやる～。

ほら、おにーさんも。
いつもみたいになでなでして？
その大きくて優しい手で。

ヘヘヘ、これ好き。

おにーさんとお話できて、抱きしめあえて、いっしょに暮らせる。
人の体も意外と悪くないね。

・台本（ゆるボイ！）
夜の散歩道のネコミミ僕っ娘
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン