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人生を変える出会い
written by 山葵餅
  • 年上
公開日2022年01月13日 22:00 更新日2022年01月09日 02:33
文字数
1945文字(約 6分29秒)
推奨音声形式
指定なし
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
初めて会った姉の友達
視聴者役柄
不登校の少年
場所
視聴者の自室
あらすじ
私は友達の弟が不登校だと聞き、その子に会いに行くことに。そこで二人がする話とは。
本編
《扉をノックする音》
入ってもいいかな?って言ってもよく知りもしない人に急に部屋に入っていいか訊かれても怖いよね。
私は君のおねぇちゃんの友達なんだ。
君が最近学校を休みがちだって聞いて会いに来たんだけど開けてくれないかな?
《扉をゆっくりと開く音》
ありがとう、初めて来た顔も知らない相手に扉は開けないだろうって思ってから嬉しいよ。
〘視聴者のセリフ〙
そっかそっか、おねぇちゃんから私が来るって聞いてたのか。
それで部屋の中に入ってもいいのかな?
うん、ありがとう。お、結構キレイにしてるんだね。
男の子の部屋なんだしもっと散らかってるのかと思ったよ。
それでプリン買ってきたんだけど君も食べない?
おねぇちゃんから君はプリンが好きだって聞いて、近くの美味しいお店で買ってきたんだけど。
そっか、食べてくれるんだね。
〚プリンを食べる〛
うぅん、やっぱり美味しい。
それで、どうして学校行ってないのか聞いてもいいかな?
やっぱり教えてくれないよね。
まぁ、初めて会ったんだしそれが当然だよね。
それじゃあ私の話をしよっかな。
プリン食べながら気楽に聞いてくれたらいいから。
私ね昔は不登校だったんだ。中学生のときに、学校でイジメられちゃって。
クラスのリーダーっていうか、まぁそんな感じの人といろいろあってね。
それから学校に行くのが怖くなったんだ。
最初は頑張って行ってたんだけど、日に日に内容がエスカレートしていってさ。
あぁ、これ以上ここにいたら私どうにかなっちゃうかもしれないなって思って。
それで逃げ出しだしたんだ。
そしたらさ、お父さんはどんな理由があっても学校に行っていないお前のほうが悪いんだって言って、お母さんは不思議なくらい私のことを心配してくれた。
それで学校になんてこれからずっと行かなくていいよ、なんて言ってたんだ。
そのときはただ、お父さんは私の気持ちのことを何も考えてくれてなくて、お母さんは私に優しくしてくれてるんだなってそんなふうに漠然と思ってた。
〈少し間を置く〉
不登校になって1ヶ月くらいしたときにお兄ちゃんが帰ってきたんだ。
私のお兄ちゃん、結構年が離れててその時から一人暮らしして働いてたんだけど、私が不登校だって知ったらこんなこと言ってくれたんだ。
「人間ってのはどんなに頑張っても関わる人間しか選べない。どうやったって出会う人間は選べないんだ。それなのにこっちが関わりたくないって思っても、向こうから関わって来たりするんだよ。だから、もう関わらなくてもいいようにしてみないか」って。
急だったから何言ってるんだろお兄ちゃんは、って思ったんだけどそれから二人を説得して自分のところに私を住まわせて、学校まで行けるようにしてくれたんだ。
それで私は君のおねぇちゃんに出会ったんだよ。
それから仲良くなって、同じ高校に行ってる。
世の中には君を傷つけようとする人がいるかもしれない。
けどね全員が君の敵ってわけじゃないんだよ。
もし今いる場所から見える人が全員自分を傷つけようとする怖い人に見えてるだったら、自分が立っている場所を変えればいいんだよ。
視点が変われば見える景色も変わってくる。
人の表情だって違うものに見えるかもしれないよ。
少なくとも私はそれで救われたから。
それからお兄ちゃんはこんなことも言ってたんだ。
「親父は本当にお前の将来を心配していたからあんなことを言ったんだ、お袋はお前に苦しんでほしくないからあんなことを言ったんだ」って。
君のおねぇちゃんも君のことをとっても心配してるんだよ。
けど、なんて声をかけたらいいのか分からないんだよ。
どうやって言えば君が傷つかないのかが分からないんだよ。
君のことが大切だから、傷つけたくないって思ってるんだよ。
学校にいても、いつも上の空って感じだし、笑ってるときも心から笑えてないって感じがする。
あの子はやっぱり心の底から笑ってるときが一番可愛いから、おねぇちゃんがちゃんと笑えるようにしてあげてよ。
〘視聴者のセリフ〙
って泣いてるの?
そっか、今まで苦しかったんだね。
逃げることは悪いことじゃないんだよ。
君は苦しんで、傷ついて、心も体もボロボロにして、それでも頑張ろうと思っていられたんでしょ?
それなら大丈夫だよ、新しい場所から見た世界が君を傷つけようとする人で溢れてるなんてことは絶対にあり得ないから。
だから、一歩も動けないのならせめて見ている世界を変えてみようよ。
人間の視野なんて結構狭いんだから今見えている世界が全てじゃないんだよ。
〈少し間を置く〉
じゃあ、私は帰るね。ちょっと話しすぎちゃったみたいだし。
今度は君の話を聞かせてよ。
もちろん、学校に行ってない理由なんかじゃないよ。
今までで楽しかったこととか、嬉しかったこととか。
そういう気分の明るくなる話だから。
約束ね。
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
人生を変える出会い
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
山葵餅
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