長年続いた恋人の視聴者と演者。
しかし、別れのときが。そのとき、二人が交わす会話とは？

私たちさ、もうこれ以上一緒にいられないと思うんだよね。
《視聴者のセリフ》
なんで？って、そんなこと、私に訊かなくても分かってるでしょ？
私が昔よりもあなたのことを愛せなくなって、あなたが昔よりも私のことを特別だと思ってくれなくなったからよ。
私には、今目の前で笑ってくれるあなたよりも、記憶の中で微笑んでいるあなたのほうが愛おしく思えるの。
あなただってそうでしょ、私と一緒に最近買ったものよりも、私がサプライズで渡した小さなストラップを大切にしてるんだから。
ほら、そう考えると私たちが別れるのもおかしな話じゃないでしょ？
一緒にいられないって言っても、会えなくなるわけじゃないの。
だから、これからの私たちでも会いたくなれば会う、それくらいのことはできるんだよ。
ただ、互いに好き合うわけでも、隣を歩くわけでも、どちらからともなく手を繋ぐわけでも、恋人だと言うわけでもないってだけなんだから。
私の一番好きな人も、あなたの一番好きな人も互いの心の中にいるんだよ。
だから、何かあったときに縋るものはあるよ、きっと大丈夫。
別れよう、なんて話をしたら私もあなたも泣いちゃうんじゃないかと思ってたけど、何もなかったね。
すごく淡々と、事務的なやり取りをしているみたいだった。
これからは、ただの友達だよ。
いつかあなたがかつての私じゃない、どこかの誰かのことを特別だと思ってほしい。
それで、その人があなたのことを今までの誰よりも大切にする、そんなことを心の底から祈ってる。
これは多分、私にはできない人生だろうから。
って、あなたにもできないのかな。
それでも、一方的にそうなってほしいと思っちゃうよ。
それくらいには、これからのあなたの幸せを願うくらいには今のあなたのことを考えてるんだと思う。
もしかしたらそれは、かつてのあなたは誰にも盗られないって知ってるからなのかもしれないけど。
それじゃあ本当にさようなら。
いつかまた、会えるといいね。

・台本（ゆるボイ！）
かつての恋、今の思い
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
山葵餅