あ、先輩、偶然ですね。
今から帰るところですか？
それなら一緒にお酒でも飲みたいんですけど。
《視聴者のセリフ》
あ、良いんですか。
それじゃあ行きましょう。
実はとっておきの場所を用意しているので。

〚演者の家の前〛
《視聴者のセリフ》
ここはどこだ、って、何言ってるんですか？
私の家ですよ。ほら、入ってください。
《視聴者のセリフ》
先輩は今私の家で飲むなんて聞いてないって言いましたけど、言ってないんですから当たり前じゃないですか。
それよりもほら、お酒持ってきますからここで寛いでいてください。
［お酒やおつまみを持ってくる］
あの先輩、なんでそんなにソワソワしてるんですか？
なんていうか、落ち着きがないっていうか。
もしかして先輩、女の子の部屋に来たのが初めてなんですか？
って、そんなわけないですよね。
《視聴者のセリフ》
え？初めてなんですか。そうなんですね。
えっと、そんなこと言われるとちょっと緊張してきました。
けどやることはお店ですることと変わりませんよ。
二人でお酒を飲むだけなんですから。
確かに私がお酒を準備して、おつまみも私が作りましたけど、それだけです。
だから変に気にしたりせず、早く飲みましょう。乾杯。

〔酔った状態で〕
（どこから酔いが覚めた状態で演じるかはご自由にどうぞ{もちろん最後まで酔ったままでも大丈夫ですし、最初から酔った状態でなくても構いません}）
あの先輩、私が今日、お酒を飲みましょうって誘ったとき、偶然ですね、って言ったこと覚えてますか？
あれ、実は嘘なんです。
私はずっと先輩のことを待ってたんですよ。
先輩と一緒にバレンタインデーを過ごしたかったので。
元々、今日は先輩に家に来てもらうって決めてたから部屋もすっごく綺麗にして、このビールも用意したんです。
これ、チョコのビールなんですけど飲みませんか？
ちゃんと一緒に食べるチョコも用意しましたし。
《視聴者のセリフ》
チョコはある？
え、もしかして会社の誰かからもらったんですか？
って言ってもいつもお疲れ様です、みたいな感じのチョコですもんね。
先輩への恋愛感情から渡してるわけではないですよね。
《視聴者のセリフ》
え、本命チョコだって言われたんですか？確認なんですけど、その人とお付き合いしようとか考えてないですよね？
《視聴者のセリフ》
もういい歳だからな、って何言ってるんですか？
私が前に、先輩に彼女がほしいのかどうか訊いたとき、今は仕事を優先したいからなって言ってたじゃないですか。
それで、もし彼女がほしくなったら私に言うからなって言ってたじゃないですか。
それなのに、今になってチョコを渡してきただけの相手に惹かれてるんですか？
そんなのあんまりじゃないですか。
《視聴者のセリフ》
先輩がそのときのことを覚えてないとか関係ないんですよ。
酔ってたからって嘘をつくわけないじゃないですか。
《視聴者のセリフ》
今年チョコをくれたのは一人だけだし、って、何言い出すんですか、先輩？
今先輩の目の前にあるものはチョコなんですよ。
私からのチョコなんです。
先輩がまだ仕事を優先してたいって言ったから、それを尊重して私は告白とかしてこなかったんですよ。
それなのにずっとその日を待っていた私よりも、先輩のことを知ろうともしなかったその人のことを選ぶんですか？
そんなの許せません。
私は先輩が恋愛をしたいと思えるまで、あくまでも仲のいい後輩として接してきたんですよ。
〚キスをする〛
これが私の気持ちです。
酔った勢いなんかじゃありませんから。
先輩は私のことを恋愛対象だとすら思ってなかったのかもしれませんけど、先輩はずっと私の好きな人なんです。
それにもし先輩が酔った勢いで私がこんなことをしたんだって思ったしても反論できますからね。
私は酔ったからって誰とでもキスするわけではありませんし、そもそもただの友達が来るだけならここまで部屋を綺麗にしません。
好きな人だからどんな些細な理由でも嫌われたくないんです。
お願いです先輩。
私のことだけを見てくださいよ、私を選んでくださいよ。
私はずっと先輩のことだけを見てきました。
思いを伝えられなくて苦しかったことはたくさんありましたけど、先輩への思いが小さくなることはなかったんですよ。
むしろ、日に日に大きくなっていくんです。
もうフタをしておくのも難しいんです。
この気持ちを受け止めてください。

・台本（ゆるボイ！）
チョコに託す思い
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
山葵餅