あらすじ
　宇宙のとある惑星で一人きり、そんな少女が居た。
　そこにある日、あなたがワームホールから抜け出て放り出される。
　彼女はあなたに興味津々、色々なことを聞いてきて、色々なことに目を輝かせる。
　彼女は愛を知らなかったがゆえにあなたに頼みごとをしてくる

　一緒に居て、くれないかな？

本編

「ねぇ？あなたはどうしてそこに居るの？」

「……ふぅん、そっか。あなたも……独りぼっちなんだ？」

「寂しい、ね？」

「私もね、一人だった……ずっとずっと……ここで、一人だった」

「でも、だから今は、違う……あなたが居るから」

「ねぇ？あなたはどうして……ここに来たの？」

「ここは……ね。私以外、誰も居ない星」

「あるのは木々や草花だけ……他には何にも」

「気付いたら、一人だったから……何にも疑問を持たずに生きてきたんだ」

「でも……うん、実は、私以外にも前にここに居た人が居たらしいの」

「そこに、書いてあった」

「誰かとお話出来るって、素敵なことだって」

「美味しいものについて語れるのは楽しいことだって」

「一緒に居られるのは……幸せだって」

「最初は、意味が分かんなかった」

「だって、一人だから……知る機会がなかったから」

「けど……うん、今なら、分かる気がする」

「話すって、楽しいね？」

「誰かが居るって、素敵だね？」

「私、いっぱい話がしたいよ……一緒に居たい」

「今まで、誰も居なかったから……」

「分かったんだ……寂しいってこういうことなんだって、辛いってこういうことなんだって……人の暖かさって、こういうことなんだって」

「……手、温かいね？」

「ねぇ？もう少し、こうやって、持ってて、いいかな？」

「人のぬくもり、感じたことがなかったから……もうちょっと感じてたいの……」

「……はぁ、温かい……それに、ごつごつしてて、固い、けど……柔らかさもあって、優しい……そんな感じがする」

「……うん、心が、温かいね？」

「とても……幸せな感じがする」

「知れて、よかった……」

「……あなたにとっては、もしかしたら、不幸、かもしれないけど……うん」

「私は、あなたがここに来てくれて、よかったって、そう思う」

　ふりかけの音

「……ん？それは、何？ちょっと、見せて？」

ふりかけを振る音

「……シャンシャン、って音がする……何だか、楽しいね？」

ふりかけを振る音

「へぇ……面白い、かも」

掛け声に合わせてふりかけを振る音

「シャンシャン……シャンシャン……シャンシャンシャ～ン」

「へへ……こういうこと、かな？」

キョトンとした感じで

「……ん、ぇ？これ、食べ物、なの？」

「ご飯に、かける？」

「……へ～、お米ならあるよ？」

「うん、こっちにも……収穫前だから、まだ、だけど……」

「へぇ、これ、かけて食べるんだ？」

ふりかけを振る音

「……ふふ、私は、食べてしまうより、こっちの方が楽しくて、好き、だけどね」

　ふりかけを振る音

「ふ～ん……楽しいね？」

「あなたの世界には、色んなものがあるんだね」

「色んな工夫が、されてる……そういうの、不思議だなぁ」

「すごいって、私、思う」

「だって、私一人じゃそういうの思いつかないから」

「やっぱり、人がたくさん居るって、いいことだね」

「……ねぇ？ここには……私とあなたしか居ないけど……もう少し一緒に
居て、くれるかな？」

「……出来れば、ずっと一緒に……駄目なら、帰るまでの間でも、全然……ねぇ？」

「一緒に、居てくれない、かな？」

「…………ん、ふふ、ありがと♪そう言ってくれて、嬉しいよ」

「私、一人には、慣れてるつもりだった。どうってことないつもりだった」

「けど……分かったんだ、今日、ここで」

「ただ、知らなかっただけだったんだって」

「……この、温かさを……人の、温もりを知ってしまったら……こんなの、もう元には戻れないよ」

「一人は、耐えきれない……一緒に居たい……寂し、過ぎるから」

「……ねぇ、私……その、あんまり、詳しくないけど……うん、これが、今の私の気持ち、だよ？」

「昔の記録……私の前に誰かが居たときに書き残した、この記録……」

「このお花……名前は、消えてて分からなかったけど、花言葉っていうのが、書いてあったから」

耳元で

「愛の信託、誠実、幸せ」

離れて

「これが、今の私の気持ち、だよ？」

「誰かを愛するって、素敵なことだって……今なら分かる。人と居る幸せが……人と人との絆が、愛なんだなって……」

「だから……これから、よろしくね？」

「今日から二人ぼっち！だね？」

・台本（ゆるボイ！）
孤独の宇宙で　たんぽぽの花言葉
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
泣きんぎょ