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お願い……わたしを助けてっ! 異世界転移!?と思いきや、ヤンデレなお嬢様に嵌められただけでした
written by 泣きんぎょ
  • ファンタジー
  • 純愛
  • ヤンデレ
  • お嬢様
  • 悪役令嬢もの
  • 異世界転移?
公開日2022年02月12日 01:09 更新日2022年02月12日 01:09
文字数
4614文字(約 15分23秒)
推奨音声形式
バイノーラル
推奨演者性別
女性演者向け
演者人数
1 人
演者役柄
公爵令嬢に憑依してしまった少女(嘘
視聴者役柄
拉致された人
場所
屋敷
あらすじ
あらすじ

 見覚えのない天井、豪奢な部屋
 そこであなたは見た覚えのない美女と対面する、
 そこは異世界。
 彼女が語るには、あなたは別世界に召喚されてしまったらしいのだが……
 説明を聞き、彼女の協力するととある紙にサインをしたところで彼女が笑いを洩らす。
 全ては茶番
 彼女の手の平で踊らされているに過ぎなかった。
本編
本編

 遠くから呼びかける感じで段々と覚醒していく感じではっきりと

「……なさい……お……なさい……」

「起きなさい」

 相手が目を覚ますくらいの間

「ん……ようやく起きたようね? ねぼすけさん? はぁ……こんなのがわたしの切り札だなんて……お先真っ暗ね」

「……まぁ、嘆いててもしょうがないわね。状況の把握は出来る? ここがどこだか、分かる?」

「……そう……ま、そうよね? 分かるわけないわよね」

「多分、あなたはわたしのことも知らないでしょうし、ここがどこだかも分からない」

「でも、それでいいわ……それで、当然だもの」

「単刀直入に言うわ。この場所はあなたが暮らしていた場所じゃない」

「住んでいた国……それどころか世界すら違う。ここはね、地球ですらない場所なのよ」

「……状況、理解できた?」

少し待ち

「ふぅ……何も、理解できて無さそうあ顔ね? 無理もないけど」

「順を追って説明しましょうか?」

「あなた、昨日はどこで寝たの? ここで起きる前の最後の記憶は? 確か……部屋のベッドで寝て、寝つき悪くゴロゴロとしていたのが最後のはず……違う?」

少し待ち

「……ふっ、でしょうね? だって、見ていたもの。あなたには絶対に感知されないこちら側の世界で」

「わたしはね? 魔法使いなのよ」

「それも……ただの魔法使いじゃない、あなたと同じ……こことは違う、恐らくあなたと同じ世界で生きた記憶を持ってこの身体に憑依をした……現代に生きた人間の意識を持った、ね」

「……ふふ、呆けた顔ね? 信じられない?」

「わたしも信じられなかったわ……現実にこんなことが起きるだなんて……顔も身体も、わたしの記憶にあるものとまるで違う……それどころかここではお嬢様だなんて呼ばれて使用人が常に付き従うのよ? 息苦しいったらないわ」

「というか……この口調を手にするのにだって相当な苦労をしたもの」

「わたし……気弱で人とのコミュニケーションは取らない方だったから」

「『あ、あの……付いて来なくて、いいです、よ?』って、いつもの調子で言うと使用人たちが凄く驚いた顔をして医者に見せようとするものだからもう大変だったわ……倒れられてから頭がおかしくなってしまったのではないか!?ってね」

「怪しまれるのも嫌だし、それに……ここには魔法がある、もし、わたしの精神がこの身体の持ち主のものではなくわたしのものだと分かったら……消されるかもしれない」

「そう考えるとね……言えなかったの」

「いつものように……元の、わたしのように……」

「だって……どんな形であったとしても、わたしは今ここに生きているんですもの。せっかく生きてるってのに、それを捨てるなんて……出来るわけないじゃない」

「でも……現代に生きた一般人に過ぎないわたしに、ここは……この、公爵家の令嬢という立場はあまりにも生きづらいものだったわ」

「信じられる? にこやかに話す裏で、腹の中では真逆のことを考えていて、綺麗に着飾られた言葉の中にも真っ黒などす黒い皮肉が常に混じっていて……その全てを頭の中で解読しながら笑顔で話すことを強要されるのよ……信じられる者は誰も居ない、お友達だって誰も居ない……ううん、それどころか……家族さえも」

「わたしだって、最初からあまり期待はしてなかったわ……だって、こっちに居るわたしの親は……わたしではなく、厳密に言うとこの身体の持ち主だった子の親だもの。私のお母さんじゃない、私のお父さんじゃない……妹も、兄も、全部全部、偽りに過ぎない」

「でも、期待してしまった」

「何もかもが嘘で彩られたこの世界の中で、例え偽りであろうとも家族の温もりを求めてしまった……熱が、欲しかったのよ……凍えて傷ついたこの心を慰めてくれる、温かな熱が」

「けど……裏切られた。最初からないって、偽りだって分かってたけど……完膚なきまでに叩き潰された」

「お母様はわたしを疎んでいたわ。兄を公爵家の跡継ぎにしたい……そのためにはごく平凡に過ぎない、公爵家の面汚しであるわたしの存在が許せない。居るだけで兄の顔に泥を塗り続けるのよ、分を弁えなさい……そう、面と向かって言われたわ」

「わたしは、直接的には関係ないけど、ね……この身体の持ち主、出来の良い兄がひどくコンプレックスだったみたいなの」

「子供の頃から比較されて、頑張っても認められず、それどころか馬鹿にされて……兄は凄いけど妹は駄目だなぁ、なんて……そんな言葉に常に晒されて」

「心を壊してしまったのよ」

「そして、自殺をはかった。身体的には失敗だったけれど、精神的には成功したわ」

「だって……今ここにわたしが居るから」

「身体の持ち主だった彼女は消えて……最悪の状況下にわたしだけが放り込まれた」

「巻き込まれた方はたまったもんじゃないわ……本当に……たまったもんじゃ、ないわ」

「お父さんもそうよ、わたしを愛してなんかいなかった。使えないのならばせめて肩書だけを背負って政略結婚の駒として良縁を結んで公爵家に利益をもたらす糧となれ、と」

「……そりゃ、別に恋愛至上主義だとかそんなんじゃないけれど……自由な恋愛が出来る現代で生きてきた我が身からしたら耳を疑ったわ」

「さっさとその家で子供を作って、捨てられないようにしろとまで言われたのよ? 完全に物扱いだわ……わたしのことを何だと思ってるの」

「……そして、ね。そんなわたしを見て、妹はただ楽しそうに笑ってたわ」

「お姉さまって本当無様ねっ!って」

「お姉さまのような凡人でも若さを活かせば性欲が旺盛な高齢貴族の妾くらいにはなれるのではないですか? せいぜい女を磨くことですねっ!まぁ、このわたくしに敵うわけもないのですけどねっ? お~ほっほっほっほっほっ」

「……ですって」

「……はぁ……で、これ、というわけよ」

「わたしが生き残るには味方が居るの」

「絶対に信用できる……魂の絆で結ばれた仲間が」

「……勝手に呼び出しておいて、なんだけど……我が儘だって思われるかもしれないけど」

泣きながら訴えるように

「おねがい……たすけて、っ」

「もう……こんなところに一人じゃ耐えられないっ!誰も信じられないっ、誰もわたしのことを見てくれないっ」

「わたしは……わたし、はっ……違うのにっ、お嬢様じゃないのにっ、無関係なのにっ」

「どうして……どう、してっ、こんな目に遭わなきゃいけないの?」

「帰りたい……かえり、たいよぅ……うぅ、うっ」

「あぅぅぅぅぅっ……うぅぅぅぅぅぅぅっ」

少し間をあけて

「はぁ……はぁ……ごめん、なさい……帰りたいのは、あなたも、よね?」

「ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……けど、わたしにはこれしかなかったから」

「これしか……味方を作れる方法が、なかったから」

「お願い……私を救う……勇者になってっ」

「この世界から脱出するには……本来は異物であるわたしが、解放されるには……この世界でこの身体の持ち主が果たすはずだった役目を果たすしかない」

「向こうに帰る方法は、見つけられなかったけど……それだけは、見つけられた」

「どんなに魔法を研究しても手掛かりすら得られなかった帰還の糸口が、ようやっと見えたのっ」

「だからっ」

「……だから……ここに、あなたを召喚した」

「黒髪黒目の勇者伝説……その冒頭にある召喚術式を何とか再現して、全精神力を使って」

「お願い、あなたはわたしの希望なの」

「もちろん……わたしがしてしまったことは許されることじゃないことだってのは分かってる……こんなの、無責任にもわたしをこんなところに放り込んだこの身体の持ち主と同じことだって、分かってる」

「けど……本当に、他に、方法が……なかったから」

「あなたにしてしまったことの分、望めばわたしが何でもやってあげる。どんな損失だって埋め合わせるって約束する」

「この身体を求めてくるのなら……それでも」

「……何だって、する」

「……けど、あなたにとってもこれは、あまり悪い話じゃない……と思うんだけど、どう?」

「今ある全てを放り出して別の世界に行きたい、転生とか都合の良いことが起きないかな? って、そう考える人を対象にした魔法なの、これは」

「……だから、わたしのしたことが正当化されるってことでもないけれど」

「お願い……わたしに熱を……温もりを、ちょうだい?」

「この世界でも……確かに消えない真実の絆をわたしにちょうだいよ……わたしも……わたしの全てを、あなたに捧げるから」

「だから、ね? お願い……契約、しましょう?」

「わたしを……救って? もう、あなただけが頼りなの、だから」

少し待ち

「……そう……あり、がとう……ありがとうっ」

「受け入れてくれるって、信じてた、よ」

 泣きながら喋る感じで

「あぁ……暖かい……あった、かい……あの人たちとは違う、確かな温もりを感じるっ。心の熱を感じることが出来るっ」

「わたしを……ありのままのわたしをっ、心から心配して、見てくれてるっ」

「ありがとう……ありがとうっ! ぐすっ」

「ぅ、ごめんなさい……嬉しすぎて、涙が……」

「それじゃ……契約の証に、この紙にサインをしてくれる?」

「それで、霊的なパスが繋がるはずだから……」

サインする音

「わっ、ありがとっ……これで、ふふ、ふふふふふふっ」

「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ! これでっ、あなたはわたしのものねっ!」

「くっははははははっ!あ~ぁ、真面目なおバカさんで良かったぁ~。まさかこんな与太話を信じるなんてぇ」

「ぷぷ、くくくくっ! 純粋過ぎて心配になっちゃうっ♪ これからはわたしがし~~かりと守ってあげないとぉっ、へへ」

「……ん? どうしたの? わたしの顔に惚れちゃった?」

「いいわよ? チューする? 見てる人が裸足で逃げ出すような、お互いを貪り合うようなドロドロとした舌と舌を絡め合わせた濃厚な愛情表現を」

「くく、馬鹿ね? もうわたしのモノになったというのに、何を呑気な顔をしてるんだか」

「はは、ははははははっ!まさか信じたの?」

「ここは元居た世界でもなくて、わたしは現代で生きてこの身体に憑依をしてしまった、なんて下らない馬鹿げた話?」

「そんなわけないじゃない?」

「ある日突然、異世界に、なんて都合の良いこと訪れるはずがない」

「そんな馬鹿げたことなんて起こるはずがない」

「ここはあなたの生きた世界で、まったく同じ時間軸よ?」

「はぁ、苦労した」

「この日の為だけにこんな建物立てて、演技の練習までして……好みを調べあげてきたんですもの」

 耳元で

「ねぇ? 奴隷? あなた、こういうの好きでしょう?」

「ドレスで着飾った……金髪碧眼の美女」

「あなたの部屋の中にあった本は全部読ませてもらったわ、苦労、したんだから、ね?」

耳フー
離れて

「ぷっ、くくくくくっ! 何よ? その反応? 耳に息吹きかけられて感じちゃったぁ?」

「この先が思いやられるわね?」

「一生、わたしの奴隷でオモチャだって言うのに」

少し待ち

「……うん? 何言ってるのよ? その紙を確認しなさい?」

「私は全ての権利を委ねます、って長ったらしく回りくどく書かれたところの下に……しっかりと名前が書いてあるでしょう? あなたが、自分で書いた、名前が?」

「あなたはもうわたしのものよ?」

「感涙でむせび泣きなさいな」

「このわたしのモノに慣れたことを感謝しなさい?」

「大事な大事な……子供の頃からず~~~っと監視して手に入れたいと願っていたオモチャですものっ」

「心の底から大切にするわ」

「覚悟しなさい、ね?」

「これからは……ドローン越しでなく、目の前で見守ってあげる」

「この屋敷に閉じ込めて、ずっとずっと……わたしを好きだって認めるまで、肌も触れ合う距離で見つめ続けてあげる♡」

耳元で

「ずっとず~~っと、一緒に居ましょうね♡」

「……あの日、公園で、たった一回だけ遊んだ時に……約束したわよね?」

「お嫁さんにしてくれるって?」

「嘘に……しないでね?」

囁き

「だ~~いすき、だから、ね? こうやって……動けないように身体を縛り付けちゃうほどに、ね?」
クレジット
・台本(ゆるボイ!)
お願い……わたしを助けてっ! 異世界転移!?と思いきや、ヤンデレなお嬢様に嵌められただけでした
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
泣きんぎょ
ライター情報
 ASMR、シチュボ台本を主に書いています。
 細かい指定や、指示が書いてあることがありますが、不可能な場合や不明瞭なことがあれば代替あるいは無視してもらっても結構です。
 また勢いのまま書き連ねているため誤字や脱字が見られる場合がありますのでご使用の際はお気をつけ下さいますようお頼み申し上げます。
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