普段から何かと絡んでくる生意気な後輩の女の子が、バレンタインデーでもからかってきました。
しかし、あることから彼女の態度が一変します。

せーんぱい。
今日がなんの日か知ってますかぁ？

え？煮干の日？
いや先輩、現実逃避はいけませんよ。

今日はバレンタインです。バ・レ・ン・タ・イ・ン。

あまーいチョコと一緒にあまーい想いを伝える日ですよ。

まぁ去年、お母さん以外からはクリーニング屋のおばちゃんにしか貰ってない先輩には関係のない話ですけどね。

(そういうお前は渡す相手いるのか？)

そういうお前は渡す相手いるのかって、トーゼンいるに決まってるじゃないですか。

誰に渡すか気になりますか？
気になりますよね？
なら教えて差し上げましょう！

(ウキウキした感じで)
バスケ部の部長さんです！
優しくてイケメンでモテモテ。
今年も校内で最もバレンタインチョコを貰うであろう、先輩とは月とスッポンというより、もはや月とミシシッピアカミミガメ？
みたいな。
そんな人にチョコを渡しにいくんです。

(からかうように)
先輩は誰かに貰う予定とかあるんですか？
って、ないですよね。
クラスではぼっちで話せる女の子も私しかいない先輩にあげようだなんて考える人なんていませんよ。

だから私が……え？
朝、机に手紙が入ってて放課後校舎裏で待ってるって書いてあった？

いやいやいやいや！
ベタすぎですって！
妄想にしたってもうちょい捻りましょうよ！

証拠もある？
あ、ほんとだ。
かわいい字。

(小声で)
先輩にこんないたずら仕掛けて笑ってやろうなんて人もいないだろうし、だとしたらこれって……ガチ？

そろそろ時間だから行くって、ちょっと待ってください！

(しおらしく)
い、嫌です。
行かないでください。

あの、これどうぞ。
バレンタインのチョコです。

私、先輩のこと好きです。
先輩の優しさにつけこんで散々からかったり、傷つけるようなこと言ったくせになに言ってんだって思われるでしょうけど、私は本気です。

かまってほしかったのと、先輩のこと好きなのがバレたくなくて今まで色々してしまいました。
ごめんなさい。

これからはからかったり、ひどいこと言ったりしないので、私を彼女にしてください。

(わかった、付き合おう)

いいん……ですか？
本当に？
よかった～！

(本命チョコ、バスケ部の部長にあげるんじゃ？)

え？先輩、もしかして私が本命チョコをバスケ部の部長にあげると思ってたんですか？

あれは義理ですし、もうとっくに渡しました。
この間、委員会でプリント作るの手伝って貰ったので、そのお礼にって。

先輩にやきもち妬いてほしかったんですが、まさか私が妬くことになるとは思いませんでした。

えっと、それじゃ一緒に帰りましょうか。

(ちょっと手紙をくれた人のところへ行ってくる)

え、手紙をくれた人のところへ行くんですか？
まさか私という彼女がありながら、他の女の子のチョコ貰うつもりですか？

(待たせたままは申し訳ないし)

待たせたままは申し訳ない、ですか。
そういう真面目なところも好きです。
私は校門で待ってますから、誘惑されちゃダメですよ。

あ、先輩！こっちです！
告白、ちゃんと断ってきましたよね？
そうですか、それならいいです。
そろそろバスも来ますし行きましょうか。

ただ帰るんじゃ味気ないので放課後デート、しちゃいましょうね！

・台本（ゆるボイ！）
生意気な後輩のバレンタイン
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン