卒業式当日、式もつつがなく終わり、クラスでカラオケに行くことに。
しかし、一向に現れない視聴者を、演者は一人で待つことにした。
その後、二人きりの教室で・・・

あ、やっと来た。
アンタが来るの遅すぎて、みんな先にカラオケに行っちゃったよ。
優しい私が待っててあげたんだから、ちゃんと感謝してね。
《視聴者の表情が暗い》
って、やっぱり落ち込んでるか。
まぁ、それも当然と言えば当然なんだろうけど。
それで、人生で初めて告白を断った気分はどう？
《視聴者のセリフ》
そっか。そこまで罪悪感に苛まれるんだったら、付き合ってあげればいいのに。
《視聴者が口を開こうとする》
あ、わざわざ口にしなくてもいいよ。
アンタの気持ちくらい、ちゃんと分かってるから。
ただの、私の願望というか、同情というか、そういう類の独り言みたいなものだから。
それでどうする、今すぐカラオケ行く？
《視聴者の言動》
まぁ、すぐにはそんな気分になれないよね。
じゃあ、ちょっとだけ話をしよっかな。
実はあの子にアンタへの告白を勧めたの、私なんだよね。
あの子がアンタのことを好きなことくらい、見てたらすぐに分かったし。
気づいてないのはアンタを含めて数人の男子くらいだったし。
それで、アンタが卒業しちゃったら、あの子はアンタと毎日会うことができなくなるでしょ？
だから気持ちを伝えて、しっかりと諦めて、新しい恋を探してほしかったんだけどね。
一応その時に、アンタには好きな人がいるってことも伝えたんだよ。
アンタに告白せずに諦められるなら、それもいいかと思ったし。
まぁ、結果的には気持ちを言うんだ、って言って聞かなかったけど。
しかもアンタのあの時の約束まで引き合いに出したんでしょ？
私が言った手前、何とも言えないけどね。
まぁ、あんなことを言うくらいにはアンタのことが好きだったってことなんだよね。
《視聴者の表情がまた暗くなる》
もう、なんでそんな顔してるの？
アンタには今、好きな人がいて、その人と両思いなんでしょ。
そういうのって、凄く奇跡的なことだと思うの。
だから、今みたいに悲しそうな顔をするのは絶対にダメだよ。
あの子も、ううん、あの子だけじゃなくて、好きな人に思いを伝える人は、好きな人が自分のせいでそんな顔をすることを望んではいないだろうから。
《視聴者の表情が良くなる》
うん、いい顔になったね。
それじゃあ、これからの話をしたいんだけど、いい？
春休みの早い時期だといつが空いてる？
《視聴者のセリフ》
明日以外はいつでも空いてるんだ。
それじゃあ、明後日、私と一緒に家を見に行かない？
《視聴者のセリフ》
「一緒に住む気なのか」って、何バカなことを言ってるの？
私とアンタだけでしょ、このクラスであの大学に行くの。
《視聴者のセリフ》
「同じ大学なのか？」って、なんでアンタは私が同じ大学に行くことを知らないのよ。
そのことに対して非常に物申したいことがあるけど、それはまぁいいや。
三年間一緒の私の進路について知らないのは、また後日詳しく聞くことにしようかな。
せっかく大学生になるんだから、一人暮らししたいんだよね。
それで、一人暮らしするときに知ってるやつが近くに居たら何かと心強いから、近くで物件を探さないかって話をしたかっただけだし。
《視聴者のセリフ》
って、アンタもう住む場所決まってるの？しかも実家じゃなくて？さすがだね。
《視聴者のセリフ》
あ、その駅なんだ。分かった。
それじゃあその辺りで探すことにするよ。
それなら明日行ってもいいな。
早く行かないと住める場所減っちゃうだろうし。
さて、表情も完全に良くなったし、そろそろカラオケに行こっかな。
卒業式終わりの、サヨナラそしてありがとう高校生活って会なんだし、存分に騒ぐぞ。
これからは、このメンバーで集まることも簡単にはできなくなるし。
だからアンタもちゃんと楽しむんだよ。

・台本（ゆるボイ！）
卒業式（同級生）
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・台本制作者
山葵餅