演者が風邪を引いてしまったある日のお話。

お兄ちゃん、おはよう。
ごめんね、私風邪引いちゃったみたいなの。
寝てれば治ると思うんだけど、今日はお弁当も朝ごはんも作れてないんだ。
お母さんからお兄ちゃんの面倒を見てあげてって言われてこの家に住んで大学行ってるのに、これじゃあお母さんに顔向けできないよ。
心配しなくても大丈夫だから、仕事に行ってきて。
風邪移しちゃうといけないから、私はもう寝るね。
それじゃあ、いってらっしゃい。

あーあ、行っちゃった。
仕事に行ってきてとは言ったけど、もうちょっと悩んでもいいんじゃないの。
可愛い妹が風邪で寝込んでるのに仕事に行くなんてどんな神経してるのよ。
私よりも仕事の方が大事なの。
って、こんなこと言ってても熱が下がることないし、頭痛くて、身体も重いし。
あぁ、いいや、早く寝よ。

はぁー、よく寝た。
あれ？身体が軽くなってる。
それに、あ、熱も下がってる。
お腹空いたな、ってもうすぐ三時だし。
そりゃあお腹も空くか。
何か作ろうかな、って連絡入ってる。
お兄ちゃんからだ。
三時過ぎには帰るから、ってどうしよう、早退してきたのに風邪が治ったなんて知ったら、また会社に戻るかも。
よし、まだしんどい振りをしよう。
仕事ばっかりで最近私に構ってくれなかったんだから、これくらいはいいよね？

【随所で咳をする等、大袈裟に風邪をアピールしているようにお願いします】
お兄ちゃん、おかえり。
ごめんね、私のせいで早く帰ってこさせて。
うん、風邪はまだ治ってないみたいなの。
《視聴者のセリフ》
ご飯？まだ食べてない。
ずっと寝てたから、そんなことする余裕もなかったの。
それにあんまり食欲ないし。
え？お兄ちゃんがお粥作ってくれるの？
分かった、食べる。

ごめんね、お兄ちゃんは料理苦手なのに。
けど作ってくれたんだし、あーんしてよ。
《視聴者のセリフ》
なんで、ってしんどいから。
一人じゃ食べられない。
だから、あーん。
うん、美味しい。
ただちょっとしょっぱいかな。
けど、お兄ちゃんが私のために作ってくれたのは嬉しいからもうちょっと食べる。

え、汗？
そう言えばたくさんかいたし、服も着替えたいな。
棚の下から二つ目に服があるから適当にとって、何でもいいから。
それと下からタオルも取ってきて？
ごめんね、お兄ちゃん。
こんなにたくさんお願いしちゃって。

服取ってきてもらったり、私ためにいろいろさせちゃってごめんね。
それじゃあ着替えるから、その間におでこ冷やすの取ってきてよ。
今つけてるのもう全然冷たくないから。

【ここは普通にお願いします】
お兄ちゃん、私がもう風邪引いてないってこと気づいてないよね。
お腹空いてたからお粥ほとんど食べちゃったけど、大丈夫だと思う。
食欲ないって言ったのを思い出したときには８割くらい食べちゃってたんだよね。
しかも、お兄ちゃんのあーんで。
このあとどうしようかな。

【もう一度大袈裟な感じてお願いします】
お兄ちゃん、それじゃあこれ、おでこに貼ってよ。
自分でやるより、お兄ちゃんにしてもらったほうが綺麗に貼れるから。
それじゃあ、はい。お願い。
【ここからは元気な状態でお願いします】
よし、捕まえた。
【ベッドに引っ張りこむ】
ビックリした、お兄ちゃん？
ずっと私が風邪引いてて、辛そうだと思ってたよね？
実はお兄ちゃんが帰ってくる前から熱は下がってたんだ。
けど、お兄ちゃんがそのことを知ったら、仕事に戻っちゃうと思ったからこんなことしたの。
お兄ちゃん、最近はいっつも仕事、仕事って言って私のこと構ってくれないんだもん。
大学生になったって、妹はお兄ちゃんのことが好きなんだよ。
だから、今日だけは昔みたいに甘えてもいいでしょ？
ギュー、こんな感じで。
《視聴者のセリフ》
子どもっぽいから離せ、っていいんだよ、子どもっぽくて。
他の人には大人っぽい私を見てほしいけど、家族にだけは昔からの私を全部知られてるんだから。
お兄ちゃんが私のこと置いて仕事に行ったときは本当に何考えてるの、って思ったけど私のために早く帰ってきてくれてありがとう。
本当にありがとう、優しいお兄ちゃん。

【以下省略可】
今日は休みだった、って本当に？
あ、そう言えば前に残業し過ぎだから平日休みになったって言ってた気もするけど、それって今日だったんだ。
それならどうして私を置いて出ていったの。
妹が風邪引いてるんだし看病するのが普通でしょ。
休みなんだったらなおさら。
《視聴者のセリフ》
それじゃあ帰ってくるまでずっと外でフラフラしてたの。
最低だよ、お兄ちゃん。さっきまでの私の感謝を返してよ。
《視聴者が袋を渡す》
って何これ？
私にくれるの？
開けてもいい？
《中身を見る》
あ、これって私がずっと欲しいって言ってたイヤリングじゃん。
今日別に私の誕生日とかじゃないよ？
どうして買ってきてくれたの？
《視聴者のセリフ》
日々の感謝、ってそっか。
けど、私は何もしてないよ。
そういうのなら私がこっちの大学行くことを許してくれたお父さんとお母さんにしてよ。
けど、ありがとう。
お兄ちゃんはやっぱり優しいね。

・台本（ゆるボイ！）
優しいお兄ちゃん
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
山葵餅