いつもと同じように通学路で視聴者と話そうとする演者。
しかし、視聴者がいつもと違うことに気づく。

先輩、おはようございます。
ってどうしてそこまで生気のない顔をしてるんですか？
いつも周りが近づけない雰囲気を醸し出しているのに今日はいつも以上に近づけない、というよりも近づきたくない雰囲気になってますよ。
《視聴者のセリフ》
はぁ、告白して振られたんですか。
へ！？告白して振られた？
誰が？先輩がですよね、分かってます、分かってますよ。
けど、先輩が振られたこと以前に先輩に好きな人がいたことに驚いてます。
先輩に好きな人がいるなんて知りませんでしたから。
それで、その、先輩が告白した相手は誰なんですか？
《視聴者のセリフ》
あの人ですか。
確かその人って先輩の隣の席で、よく本を読んでる大人しそうな人ですよね？
どうして好きになったんですか？
ってすみません。
つい知りたいと思ってしまって。
けど今の先輩にそんなこと聞くの酷ですよね。
言わなくてもいいですから。
《視聴者のセリフ》
本を読んでるときいつもより表情が豊かになってるところが可愛くて気になってよく見るようになって気がついたらいつの間にか好きになってた、ですか。
そんなの私だって小説くらい読むじゃないですか。（小声）
あ、何でもないです。
独り言なので気にしないでください。
それよりもその、振られたのは残念でしたけどあまり気にしないほうがいいと思いますよ。
先輩のことを好きになる人がこの世界にはちゃんといますから。
先輩はいつも笑顔がなくて周りと喋ろうとしないから近づきにくいって思ってる人が多いですけど、実際は喋ろうとしないんじゃなくて喋るのが苦手なだけだって私は知ってますから。
変なことを言って誰かに笑われたりしないかな、とか誰かに嫌われたりしないかな、とかそんなことばかり気にしてるだけなんですよね。
先輩はたまに変なことも言いますけど、私がそれで先輩を嫌いになったことありましたか？
笑ったことはあるかもしれませんけど、先輩のことを嫌いになったことは絶対にありません。
そもそも先輩は周りに気配りができる人なんですよ。
ほら、今もそうです。
私と一緒に通学路を歩いてるときも当然のように車道側を歩いてくれてますよね。
私はそういう何気ない優しさが嬉しいです。
初めて会ったときも私の落としたストラップを一緒に探してくれたじゃないですか？
普通なら初めて会った相手のためにそこまでしませんよ、実際みんな私のことを気にしても声はかけてくれませんでしたから。
しかも通学途中だったんですよ。
そのあと二人で遅刻もしましたけど。
結局見つかったから良かったものの、見つからなかったら私に先輩に対しての罪悪感みたいなものが残っただけだったんですよ。
《視聴者のセリフ》
ってもしかして覚えてないんですか？
信じられません、あの日から私は先輩のことが・・・。
《視聴者のセリフ》
よく聞こえなかった、ってあぁもう、あの日から先輩と話すようになったのに忘れるなんてヒドイですって言ったんです。
まぁ、先輩からしたらあんなことは当たり前のことですもんね。
忘れてしまって当然ですよね。
初めて会った相手とは普通に喋れるのにクラスメイトとはどう話したらいいのか分からないなんて先輩は変わってますよね。
まぁ、一度クラスの人と話してみたらどうですか？
意外と話せるかもしれませんよ。
まずは隣の席から始めていきましょう。

【以下省略可】
先輩その人ってもしかして？
《視聴者のセリフ》
やっぱり彼女さんですか。
《視聴者のセリフ》
私のお陰で話せるようになった、ってそうですか。
それは良かったですね。
ちゃんと幸せになってくださいね。

・台本（ゆるボイ！）
いつもと違う通学路
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
山葵餅