目を覚ましたあなたの目の前に、あなたを買ったというお姉さんが現れます。あなたが売られた理由、そして彼女があなたを買った理由。二人の不幸と幸福のお話です。

あ、目が覚めたんだね。
おはよう。今は夕方だけど。
寝てていいよ、お薬の効果まだ切れてないだろうから。

(男の子　ここはどこ？おねえさんはだれ？)

ここはお姉さんの家で、私は君の新しいお母さんだよ。
なにいってるのか分からないって顔してるね。無理もないか。

(男の子　誘拐は犯罪だよ)

誘拐は犯罪？確かにそうだけど私は君を誘拐したんじゃなくて、買ったの。

(男の子　人身売買も犯罪じゃ？)

人身売買も犯罪って、意外と難しい言葉知ってるのね。

私は君が外に行くのを止めたりしない。もちろん警察に駆け込んだっていいよ。
まともに取りあってくれないと思うけどね。

(男の子　どうして？)

どうしてって、言ったでしょ？
私は君のお母さんだって。
書類の上では君は私の養子なの。

君の両親は借金を返すために君を私に売った。そして今日からここが君の家になるんだよ。

(合点がいった顔をする男の子)

あれ？なんか納得したような顔してるね。
普通ならお家に帰りたいって泣き出すところだと思うんだけど。

(自分の両親について話す男の子)
(相づちを打って聞くお姉さん)

ああ、なるほど。
両親が小さいときから自分に冷たかった理由も、
夫婦喧嘩ばかりで家の空気が悪かった理由も、
ここ数週間、急に優しくされたり、喧嘩がなくなった理由も全部解っちゃったんだね。

君は冷静で賢い子。
この年ですごいわね、よしよし。

(困惑する男の子)

どうしたの？困った顔して。
もしかして頭なでられるの初めてとか？
でも、嫌な感じはしないでしょ？

(男の子　ねだるような視線を送る)

もっとしてほしいの？
いいよ、よしよし、いい子、いい子。

(男の子　お姉さんはなんで僕を買ったの？)

君を買った理由？
そうだなあ、寂しかったっていうのが大きいかな。

だいぶ前にね、彼氏に愛が重いってフラれたの。

私は愛を注ぐ相手がいないと、生きてるって実感がしなくてね。
生きてる実感がないものだから、ずっと寂しかったんだ。

そんなときに君を見つけた。

君は覚えていないかもだけど、友達がみんな帰ったあとも、しばらく独りでブランコを漕いでいた君に私、話しかけたんだよ。

家に帰らないの？って。
そしたら君は、
帰りたくない、お姉さん誘拐犯なら僕のこと遠くへ連れて行ってよって言ったんだよ。

(ハッとする男の子)

もしかして思い出した？

(男の子　顔が影になってたから)

そっか、あの時は夕日の逆光で顔がよく見えなかったのね。じゃあ、私のことわかんなくても仕方ないか。

その時の君の悲しそうで、すがるような表情はよく覚えているよ。

それで気になってね。
家のひとに頼んで君のことを調べて貰ったんだ。
そしたら君が売りに出されてることがわかったの。

そして私は君の両親と話をしに行った。
君の値段を決めるためにね。
その場で君の両親はこう言ったんだ。
君の事が邪魔だって。
君がいるせいで余計にお金がかかって借金が減らない。
厄介払いできてお金も手に入るならこれ以上いい話はないってね。

私はそれを聞いて、君に私の愛を受けてほしいと思ったの。
肉親にすら疎まれている君なら、重いって言われた私の愛でも受け止めてくれるって。

君の望むことならなんでもしてあげる。
君の欲しいものだってなんでも買ってあげる。
毎日君を甘やかして、とろけさせてあげる。

だから私の傍に居てほしいな。どう？

(男の子　わかった)

いいの？ふふっ、ありがとう。
じゃあ、早速だけどなにかしてほしいことある？

(男の子　ぎゅーってして)

ぎゅーってしてほしいの？
隣、入るね。

(ベッドに入るお姉さん)
ほら、おいで。
ぎゅー。
(少し間をおいて)
どう？

(男の子　あたたかい)

あたたかい？それが私の温もり。ちゃんと覚えてね。
これから毎日、君はこの温もりに包まれるんだから。

(男の子　いい匂もする)

いい匂い？それが私の匂いだよ。君に染み付いちゃうくらい色んなことをしてあげる。

顔がとろんとしてきた。かわいい。

(優しくささやく)
血縁なんかよりずっとずっとずぅ～っと、強い繋がりをつくっていこうね。

・台本（ゆるボイ！）
ショタを買った甘々お姉さん
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン