隣の席の子はよく忘れ物をするので、あなたはよく筆記用具なんかを貸していました。しかし『おっちょこちょいな子』という彼女の普段の顔は、その正体を隠すためのものにすぎませんでした。

(学校、朝の教室)

ねぇ、きみ。
お願い！シャーペンと消しゴム貸してくれない？
ペンケース、また家に忘れちゃって。
いいの？ありがとう！

そうやって呆れながら貸してくれるきみって、やっぱり優しいよね。

(放課後)
今日もありがとうね。
ホントに助かったよ。

(別の日)
次の授業は音楽だね。
音楽室まで一緒に行こ？

(あれ？リコーダーは？)

え？リコーダー？
あっ！教室に忘れちゃった！

(本当におっちょこちょいだな)

私がおっちょこちょいだって？
もう！そんなことないもん！

教室に戻って取ってくるね！
(走って遠ざかる)

(足を引っかけコケる)
痛っ、転んじゃった～。

(大丈夫か？)

大丈夫！大丈夫！
心配しなくても良いよ。
じゃ、また後で！

(何日か後の放課後)

いっしょに帰るのなんて初めてだね。

今日は掃除手伝ってくれてありがとう。
教科書忘れた罰として、教室の掃除をやれって先生に言われたときはどうしようかと思ったけど、きみのおかげで早く終わったよ。

しかも、しょっちゅう筆記用具貸してもらってるし。

ごめんね、いつもきみに頼ってばかりで。

(気にするな)

気にするなって？ありがとう。

じゃあ、気にせずガンガン頼っちゃおうかな～！

(やっぱりちょっとは気にしろ)

やっぱりちょっとは気にしろ？
は～い。

あ、きみはここ右に曲がるんだ？
じゃあね、ばいば～い！

(時間経過)

あ、やっと起きた。おはよう。寝顔かわいかったよ。

(どうやって俺の部屋に？)

どうやって私がきみの部屋に入ったのかって？

(鍵を取り出す)
これ、なんだかわかる？
そう、きみの家の合鍵。

リコーダーを教室に忘れたとき、あったでしょ？
あれ、わざとなんだ～。

人がいなくなった教室で、きみのカバンにGPSを仕掛けて、鍵のかたを取るための芝居。

それできみの家を特定して、合鍵を作った。

ちなみに借りた消しゴムには、きみが授業中居眠りしている間にくり貫いて、盗聴器を埋め込んだんだ。

それできみの生活パターンを推測したんだよ。

しょっちゅう借りてたのはデータの回収とバッテリー交換のため。

きみは自分で使う筆記用具と、予備の筆記用具を分けてたから、とってもやりやすかったよ。

そうやって、この曜日のこの時間ならきみは昼寝をしていて、かつ家には他に人がいないってことを突き止めたんだ。

(どうしてそこまで？)

どうしてそこまでしたのか？
きみのことを私のものにしたいからだよ。

(ベッドに手を掛ける)
盗聴器のデータにきみが他の女の子に告白されてるのがあったんだ。

きみは断ったみたいだけど、きみを狙っている女の子がまだいるかもしれないと思ったら、気がおかしくなりそうだったよ。

(馬乗りになる)

(馬乗りになってどうするつもりだ)

馬乗りになってどうするつもりかって？
フフ、これからね、私の初めてを全部きみにあげる。

まずはこっち。

(長めのキス)

(熱い吐息を含ませて)
すごい、こんなにきみを感じてる。
もう一度するよ？

(先よりも激しいキス)

こんなことしても私のものになんてならない？
ううん、そんなことないよ。

もし、きみが私から離れるようなことがあったら、今したキスもこれからすることも全部『きみに無理やりされた』って言うからね。

証拠がなくたって私がそれっぽく証言をすれば、みんなきっと信じちゃう。
そしたら、きみの人生に大きな汚点がつく。

進学や就職も難しくなるかもね。
でも、大丈夫。そうなっても私が養ってあげる。

もう後戻りなんて、できないんだよ？

それじゃあ、ココの初めても今からあげるね。

・台本（ゆるボイ！）
おっちょこちょいだと思っていた隣の席の子の正体
https://x.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン