ある日視聴者と話をしていた演者はとある告白を受ける。
しかし、その内容は到底信じられないものだった。

え？今、君は自分がなんて言ったのか分かってる？
《視聴者のセリフ》
そっか、そうだよね、ちゃんと分かってるんだよね。
それを聞いた上で訊くけど、君は私とした約束について覚えてる？
《視聴者のセリフ》
覚えてるから伝えたんだ、ってそんなのおかしいよ。
君は私に、人を好きになるのはどういうことなのか教えてくれって言ったんだよ。
その時、君が今まで初恋すら経験してないんだって思ったけど、それだけじゃなくて、君は私と一緒だなって思ったんだよ。
私だってそんな経験したことないから。
だから二人であんな約束したんでしょ？
だからお互いを恋愛感情として好きになれるようにしよう、って約束したんでしょ？
私は今まで会った男子の中では君に一番好意を抱けたし、君も今まで会った女子の中で私に一番好意を抱けたんだよね？
それなのに、それなのに君は私じゃない人が好きになった、なんて言うの？
どうして？
私は君のことが好きになったんだよ。
君が私に言ってきて、君が私にこんな気持ちを教えたんだよ。
それなのに君は、私を恋愛対象としては思えないって言うの？
ただの友達になってほしいって、しかも君の恋を応援してほしいって言うの？
そんなのおかしいよ。自分勝手すぎるよ。
君が私にこんな気持ちを教えたんだから、ちゃんと責任を取ってよ。
君は絶対に知らないだろうけど、私が君のことを好きになってからは、これが好きって気持ちなんだって知った日からは、その日に君と話したことを思い出して、明日は君とどんな話をしようかなって思いながら寝るんだよ。
それに起きているときはいつだって君のことを考えてるんだよ。
綺麗な景色を見たら君と話すために写真を撮るし、君の好きなものをもっと知りたいなとも思うの。
君はこういうのが好きなのかな、って思ったりもするんだよ。
例えば、音楽とか、本とかね。
だから私はもう、君のことを好きじゃなくなるなんて、想像できないよ。
今じゃもう、君のことを好きになる前に、一日をどうやって過ごしていたのかを思い出せないんだよ。
だから、私のことをただの友達として好き、じゃなくて恋人として好きになってよ。
私は絶対にその人より君のことを知ってるんだよ。
君とは、お互いに好きなるためにデートだって何回もしてる。
だから君の好きなものだって知ってる。
今までずっと君の隣を歩いてきたのは私なんだよ。
君だって私がいない生活なんて想像できないんじゃないの？
お願いだから、想像できない、って言ってよ。
そう言って、私を君の恋人にしてくれるだけで良いんだよ。
私のことはこれから好きになっていけばいいよ。
私は君のことを好きになれた。
だから君だって私のことを好きになれるよ。
《視聴者のセリフ》
そっか、ダメなんだ。
うん、分かってるよ。
私だって君のことを好きになるまでは恋っていうものが、こんなにも単純なことで気持ちが昂ぶって、こんなにも簡単なことで苦しい気持ちになるってことを知らなかったけど、今は知ってるから。
でも、君のことを諦めるわけじゃないから。
君の隣には私がいたいって今でも思ってる。
だから私のほうがその人よりも好きだって思わせる。
それで次は君から告白させる。
私のことが好きだから付き合ってほしい、って言わせるから。

・台本（ゆるボイ！）
好きって何？
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・台本制作者
山葵餅