同じ演劇部に所属する同級生が肩もみをしてくれるという。
だが、肩じゃないところにも触れてきて――。

pixivにも投稿しています。

あれ？
まだ誰も来てない？

お、いるじゃーん！

ねえねえ、何してたの？

ああ、台本の確認？

今回、気合入ってるね。
なんたって、私の王子様役だもん。
そりゃそうだよねー。

台本読みする？
立ち稽古する？

あ、ストレッチしよっか。
この間、うまく身体使えてなかったし。

うん、駄目だった。

ってことで、ストレッチのお手伝いをしまーす！

ほら、早く。
脚開いて。
肩押さえるよ。

なに？
まさかドキドキしてたり？

ないよねー？
そんなことないよねー？

あはは、行くよー。

硬い。
硬すぎる。

身体っていうか、まず肩が凝りすぎじゃない？

何したらこんなになるわけ。

しょうがない。
マッサージしてあげよう。

肩もみくらいはできるよ。
大丈夫、大丈夫。

君はそのまま座ってればいいの。

まずはこのあたりかな。

ぎゅーって押すのと、やわらかーく揉みほぐすのどっちがいい？

きゅうきゅう、もみもみ、どっちが好きー？

ここ気持ちい？

ビクってした。

あ、ここもいいんだね。
ふふ、こっちはどうかなぁ。

んー？
なにー？

わざと？
何の話？

ねぇ、なぁに？

耳まで真っ赤だよ？

次、ここ触ってあげよっか。
それともー？

こっちがいい？

わっ！？
な、なに！？

ちょっと、手、放してよ！
やめたらいいんでしょ。

もう。
そんなに嫌だったの？

喜んでたくせに。

待って、喜んでたの……。

もちろん、引いてる。
バカじゃないの？

言い訳、してみなさいよ。
絶対納得しないけど。

なるほど。
好きな女の子に触られて嫌なわけない、と。

ふぅん。

好きな女の子。

え、誰。

誰が好きなの？

私？

ひゃい！？
私！？

わ、わ、わ、私なわけないでしょ！
だって、だって、そんなそんな！

あ、分かった。
ウソでしょ、ウソ。

いつもの仕返し？
ああ、そういうことだよね。

え、本気？
何言って――。

ちょっと待ってよ。
や、やめて、待って、あの、あの……。

は、恥ずかしい……。

あ、あう。
こっち、来ないで……。

人来ちゃうかもしれないし……。

やめてくだひゃい……。

分かったから！
私も好きだから！

ほ、本当です！
本当に好きなんです！

だから、これ以上近づかないで……。
ダメになっちゃう。
ダメになっちゃうよぉ……。

あ、あう。
もうダメ……。

きゅう。

・台本（ゆるボイ！）
部活の同級生がマッサージと称して触ってくる。
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
シノト