ある日、いつものように使い魔（演者）を呼び出した主人（視聴者）は、今日も同じ相談をする。
その内容とは？

マスター、急に呼び出して何の用なの？
まぁどうせマスターのことだし、恋愛相談だよね。
一応言っておくけど、ボクはマスターの使い魔であって、相談相手じゃないんだよ。分かってる？
いつもいつも恋愛相談ばっかりしてさ。
相談される方の身にもなってみたら？
今までマスターがボクに恋愛相談をして踏ん切りがつかなかった回数が八十三回、告白をした回数が四十八回、振られた回数が同じく四十八回。
そのうち、十回以上告白した人が二人いて、五回以上の人が、何人だったかな。
あぁ、四人だっけ。
しかも、一回だけで完全に玉砕させられたこともあったよね。
そろそろ、自分が誰に告白しても振られ続けるってことを理解するべきなんじゃない？
まぁ、マスターのお願いだって言うから相談にはのるけどさ。
それで、次はどんな子が好きになったの？
ボクも暇じゃないから、マスターの恋愛相談なんて早く終わらせてね。
《視聴者のセリフ》
うん、うん、もうそれでいいんじゃない？
多分だけど、告白のために色んなことを考えたりするより、直球勝負をした方が良いと思うよ。
その方が振られたときのダメージも少ないだろうし。
《視聴者のセリフ》
なんで振られる前提なの？って、むしろ今までのことを踏まえてどうして振られないと思えるのかをボクに説明してほしいよ。
《視聴者のセリフ》
次は成功するかもって、そんなことあり得ないよ。
まぁどうせ明日告白するんだから、結果なんてすぐ分かるでしょ？
告白をたくさんするより、マスターのことをもうすでに好きな人を探す方が早い気もするけどね。

【1】告白が実る場合
あ、おかえり、マスター。
今日はマスターのことを慰めないといけないから、美味しい料理をたくさん作るからね。
だから元気出して。
《視聴者のセリフ》
って今なんて言ったの？
告白が成功したの？なんで？
マスターに彼女ができたってことだよね？
うん、おめでたいね。
それじゃあ、今からするのはマスターを慰めるための料理じゃなくて、マスターに彼女ができたことを祝うための料理じゃないとね。
あ、その前に言い忘れるところだった。
絶対に彼女に対して、失礼なことをしたらダメだからね。
やっとできた彼女なんだから大切にしないとダメだよ。
今までみたいに、少しでも可能性があると思ったら告白したりするなんていうのはもっての外だから。
浮気なんて絶対にダメだよ。
けどマスター、本当におめでとう。
やっと報われたね。

【2】告白が実らない場合
あ、おかえり、マスター。
今日はマスターのことを慰めないといけないから、美味しい料理をたくさん作るからね。
だから元気だして。
《視聴者の行動》　
ってここ玄関なんだから、泣き出さないでよ。
振られるのはこれで四十九回目でしょ。
もうお風呂も沸かしてるから、先に入って来たら？
多分さっぱりして、スッキリすると思うよ。

マスター見て。
今日の料理はマスターの好きなものばかりでしょ？
ボクが今まで、マスターが振られて帰ってくるのを何回見てきたと思ってるの？
これくらいできて当然だよ。
それで今日は、いつもみたいに振られたマスターにボクから相談があるんだよね。
昨日ボクが、告白をたくさんするよりマスターを好きな人を探したほうが良いんじゃない、って言ったの覚えてる？
そのことについてなんだけど、ボクさ、マスターのことを好きな人に心当たりがあるんだよね。
正確に言うと人じゃないんだけどね。
そ、それで、その恋を実らせるために、まずはボクで練習してほしいんだよね。
マスターも人以外に告白するのは初めてでしょ？
だから、さ？
《視聴者のセリフ》
うん、ありがとう、マスター。
マスターの気持ち、ちゃんと伝わったよ。
これからはマスターと使い魔としての関係じゃなくて、恋人としてよろしくお願いします。
《視聴者のセリフ》
何の冗談？って、冗談なんかじゃないよ。
ボクは本当にマスターのことが好きなんだよ。
実際に、使い魔を恋人にしたってマスターも結構多いんだよ。
だからボクじゃダメ？
ボクはマスターの使い魔としてじゃなくて、彼女としてずっと側にいたい。
ボクの気持ちが信じられないのならボクに彼女になれって命令してもいいからさ。
ボクがどう願ってもボクがマスターの使い魔であることだけは、絶対に変わらないんだから。
お願いだよ。

・台本（ゆるボイ！）
使い魔
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
山葵餅