≪あらすじ≫
出掛ければ必ず一人は女性を釣ってくる王子様系女子。
注意しても、「モテるんだから仕方ないだろう」の一点張りで直す気もない様子。
扱いがぞんざいになっていくのを感じ、別れ話をすることにしました。

なに？
いまからお気に入りの女の子と出掛けるんだけど。

…めんどくさいな。

どうした？
昨日あんなにたっぷり愛してあげたのに足りなかった？

は？　別れたい？

はぁ。
やけに真剣な表情だから何事かと思ったけど、聞いたボクがバカだったね。

冗談なら早く撤回した方がいい。
ボクの気が変わらないうちにね。

まぁ、ボクが男女問わずモテるからって
強い言葉で引き留めたくなる気持ちはわからなくはないけどね。

でも付き合う前からボクの素行は知ってたはずだよ？
それを含めて告白してきたのは、キミ本人じゃないか。

とやかく言われる謂れはないね。

キミは慈悲深いボクが隣においてあげてるんだ。
ボクが上で、キミは下。

恋人でちょっと他人より優しくされるからって、思いあがるのもいい加減にしろよ。

本当に別れたいならいつだって別れてやるよ。
ま、キミにそんな勇気はないと思うけどね？

軽口でもボクの心臓に悪い言葉を吐いたことを後悔しろ。家で大人しくご主人様の帰りを迎える存在であることを理解するんだな。

じゃ、ボクは出掛けてくるから。


ひっ！
な、なんだよ、は、離せよっ。

っは。なに？　
こんなことで怒っちゃったの？

前から思ってたけどさ、男のくせに女々しすぎない？
これだからボク以外に目を向けられないんだよ。

っち、お気に入りの服に皺が出来ちゃったじゃないか。

…はぁ。
コーディネートからやり直しだな。
これ、アイロンかけておいてくれ。

…あっ、おい！　どこいくんだっ！

なんだあいつ…。
ボクの大事な服を投げ捨てるなんて無礼すぎるだろ。
寂しくないようにせっかく残り香をたっぷりつけてやったのに。

調教が足りなかったかな。帰ってきたら、お仕置きしてやる。
ご主人様の命令を聞けないなんてとんだペットだよまったく…。

…。

…帰ってくるよね？
ちょっと嫉妬が行き過ぎてるだけで、待ってれば戻ってくるよね…。

言いすぎちゃったかな…。

だぁあ！　
なんでボクがあんなやつに振り回されなきゃいけないんだ！

…今日の予定はキャンセルしよう。

そうだ。
どうせなら久しぶりにボクが料理を振舞ってやろう。
うん。それがいい。

ふふ、きっと驚くぞ…。


１ヶ月後


や、やっと見つけた！
このボクを置いてどこにいってたんだ！

この1か月、ボクがどんな想いでいたかわかるか！？
ボクを寂しくさせた罰は、絶対償わせるからな！

ねぇ…ねぇ…ったら…。
無視すんな！　
…っ。

なんで無視するのっ…。
無視、すんなよぉ…。
せめてこっち見てよ…。

あの日のことは謝るからぁ…。
言いすぎたのは認めるから…だからこっち向いてよ…。

あ、いかないで…ボクを置いていかないで…!!

直すから!!
キミの嫌いなところは直すから!!

なるべくキミが好きなボクになるから…っ!!
だから…もう一度ボクの目を見てよ!!
お願い、お願いだよぉっ!!


あ、見てくれた…♪
キミはやっぱり優しいね…。

…ごめんなさい。
あ、あれからね？　ボクは思い知ったんだ。
キミが隣にいた生活が如何に輝いたものだったのか。
キミがいないとボクの世界はひどくつまらないものになってしまうことに気が付いたんだ。

…いや、気付かせてくれたんだ。

それにこの気持ちにも。

ボクはキミのことが大好き。
だから、お願い。
もう一度ヨリを…ボクを好きになってくれないかな？


≪主「もう二度と浮気しないって誓える？」≫


うん。誓う。誓うよ。もう二度と他の人には手を出さない。

だからボクを、ボクだけを愛してほしい。


≪主「わかった」≫


ほ、ほんと！？

ん゛ん゛っ。（咳払い）

…ありがと。
いつもごめんね。苦労ばっかりさせて。

これからボクはキミのために努力するよ。
だから、いままでのことは許してくれると嬉しいな…。

あ、あと！
…手を出さない分はその、キミに甘えさせてほしい。

もともとボクは多くの愛で満たされないと満足できない体質なんだ。

最後のワガママ聞いてくれるかな？

抱きついても、いい…？

ああ…。
あったかい。

…ボクが求めていた温もりはこの温もりだったんだ。

やだ。
もう絶対離さない。
離さないからな…。

・台本（ゆるボイ！）
浮気性な王子様系女子をわからせたら、愛を満たすようにぎゅっとハグされた話
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
鮎