ある日、帰ってきた主人のコートから、いつもと違う匂いを嗅ぎ取った屋敷のメイド。
その匂いは、彼女にとってちょっと許せないものでした。

お帰りなさいませ、ご主人様。
コートとカバンをお預かりします。
夕食は不要、でしたね。
お風呂の用意はすでに終わっております。

はい、それではごゆっくり。

さて、上着はハンガーに掛けて……ん？何かしら、この匂い。

(匂いを嗅ぐ)
これは。
カバンの中も確認する必要がありますね。

あった。
私というものがありながらこんなことを。
後で問い詰めなければなりませんね。

ご主人様、湯加減はいかがでしたでしょうか？

ちょうどよかったですか。
それはよかったです。

(少し不機嫌そうに)
ところで、ご主人様。
本日の夕食はどちらでめしあがったのですか？

(怒ってる？)

怒っているか、ですか。
ええ、怒っていますとも。
私に黙ってあんなところへ……

焼き肉に！一人で！

上着から焼き肉の匂いがしたので、もしやと思い、カバンの中をあらためさせていただきました。

出てきたレシートがこちらです。
なんですか!？
いいお肉ばっかり食べて！
特上カルビ。
ザブトン。
ミスジ。
極めつけはシャトーブリアン！

シャトっとしてブリっとしたシャトーブリアンですよ!？
裏切りです！これは！

(最後何言ってんのかよくわかんない)

最後何言ってるのかわからない？
私自身、何言ってるのかわかりませんよ！

それくらい怒ってます私は！

(わかった、もう焼き肉には行かない)

わかったって、ご主人様は何もわかってません！

いいですか？私は焼き肉に行ったことを、怒っている訳じゃないんです。

一人で、焼き肉に行ったことを怒っているんです。

次は……私も連れてってください。
おいしいお肉、食べたいです。

・台本（ゆるボイ！）
メイドはご主人様が付けてきた匂いで怒る
https://twitter.com/yuru_voi

・台本制作者
メロンフランスパン